20日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比92ドル20セント(0.3%)高の3万2849ドル74セントで終えた。
ダウ平均は前日までの4営業日で約1350ドル下げており、主力銘柄の一部に短期的な戻りを見込む買いが入った。ただ、世界の主要中央銀行による金融引き締めが景気を冷やすとの懸念は根強く、上値は重かった。
この日は米国の主要経済指標などの材料に乏しく、クリスマスを控えて低調な商いとなる中、このところ売られた反動で朝方から底堅く推移。ただ、週末に発表される個人消費支出(PCE)物価指数を見極めたいとの警戒感もあり、上値も重かった。
日銀が20日まで開いた金融政策決定会合で、長期金利の変動許容幅を拡大することを決めた。大規模緩和の縮小に向かうと受け止められ、主要国の長期金利の上昇につながった。
外国為替市場ではドルが主要通貨に対して売られ、「米国外での事業比率が高い企業の収益悪化が今後は和らぐとみる買いも入った」との指摘もあった。
IT(情報技術)のIBMや航空機のボーイング、建機のキャタピラーなど海外での売上高比率が高い銘柄の上げが目立った。米原油先物相場の上昇を背景にシェブロンが買われ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーなど消費関連銘柄の一角も高い。米長期金利上昇で利ざや拡大の思惑から銀行のJPモルガン・チェースも上げた。
一方、金利上昇の局面で割高感が意識される高PER(株価収益率)のハイテク株は軟調に推移し、顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルは下げた。
ナスダック総合株価指数も5営業日ぶりに小反発し、前日比1.080ポイント(0.01%)高の1万0547.112で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズなど足元で売り込まれてきた主力ハイテク株の一角が買い直された一方、アナリストが目標株価を引き下げた電気自動車のテスラは8%下落した。
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は続落した。2023年3月物は前日比845円安の2万6325円で引けた。米景気の先行き不安から続落した反動で5営業日ぶりに反発した。また、日銀が長期金利の許容変動幅の拡大を決めたことを受け、20日の東京株式市場で日経平均株価が大幅に下落。日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
26325 ( -195 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
26350 ( -170 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7370.62(+9.31)
20日のFTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前日に比べ9.31ポイント(0.13%)高の7370.62で引けた。商品相場の持ち直しで資源株やエネルギー株が買われた。一方、主要中央銀行による金融引き締め継続に伴う世界的な景気懸念が重荷となり、消費関連株などへの売りが上昇幅を抑制した。
個別では、産銅大手アントファガスタが3.2%高と上昇率トップ。エネルギー小売大手セントリカ(2.6%高)や資源大手グレンコア(2.1%高)、金融大手HSBCホールディングス(1.4%高)も買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13884.66(−58.21)
20日のドイツ株価指数(DAX)は反落し、前日に比べ58.21ポイント(0.42%)安の1万3884.66で終えた。主要中央銀行の積極的な金融引き締め継続の見通しが強まるなか、金利上昇や景気悪化への懸念が投資家心理を冷やした。自動車や小売りなど消費関連株のほか、ハイテク株に売りが出た。
個別では、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズ(4.3%安)や高級車メーカーのポルシェ(4.1%安)が売られた。ドイツ銀行は5.7%高と堅調だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6450.43(−22.86)
フランスCAC40種指数は0.35%安だった。日銀の大規模金融緩和の修正を受け、日本などアジア株が値下がりしたのを嫌気し、下落した。