朝方発表された注目の7月のCPIは前年同月比8.5%上昇。3カ月ぶりに伸びが減速したほか、市場予想(ロイター通信調べ)を下回った。変動の激しい食料やエネルギーを除いたコアも市場予想を下回り、インフレ高止まりをめぐる懸念がやや緩和した。
7月の米雇用統計が労働市場の需給逼迫を示す内容だったのを受け、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ抑制に向け、利上げペースを加速させるとの見方が浮上していたが、この日のCPIで積極的な金融引き締め観測が後退し、買い安心感につながった。ハイテク株をはじめ幅広い銘柄が買われた。
S&P500種株価指数が、チャート上の上値抵抗線とされた4200近辺を上に抜け「投資家心理が一段と強気に傾いた」(Bライリーのアート・ホーガン氏)との指摘もあった。投資家心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は前日比1割低下して19.74で終えた。不安心理が高まった状態とされる20を終値で下回ったのは4月以来。
CPI発表直後に米長期金利が一時大きく低下し、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株が買われた。顧客情報管理のセールスフォースとスマートフォンのアップルが3%高で終えた。インフレが消費を冷やすとの見方が和らぎ、スポーツ用品のナイキやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスなど消費関連株の上げも目立った。
ナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反発し、前日比360.876ポイント(2.9%)高の1万2854.805で終えた。交流サイトのメタプラットフォームズと半導体のエヌビディアがともに6%高、電気自動車のテスラが4%高など主力株が総じて上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前日比300円高の2万8120円で引け、10日の大取終値を330円上回った。
NYダウは、7月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったため、物価上昇減速を好感した買いに、寄り付き後、大幅上昇。連邦準備制度理事会(FRB)も大幅な利上げを継続する必要がなくなるとの見通しに伴う金利低下を受けハイテク株も強く、主要株式指数は終日堅調に推移した。
CPIを手掛かりに米利上げ加速への警戒感が薄れ、米株とともに買い進まれた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28120 ( +330 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28135 ( +345 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日に比べ18.96ポイント(0.25%)高の7507.11と、約2カ月ぶりの高値で引けた。
FTSEでは、指数構成銘柄の8割近くが値上がりした。個別銘柄では、自動車保険大手アドミラル・グループと2022年1〜6月期の好調な決算と自社株買いの予定を発表した保険大手アビバがそれぞれ12.6%高、12.2%高と急伸。一方、製薬大手グラクソ・スミスクラインから分社化したヘイリオンは8.1%安と売りが膨らんだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ165.96ポイント(1.23%)高の1万3700.93で終えた。7月の米消費者物価指数(CPI)の上昇率が市場予想を下回った。インフレ懸念が和らいだことで買い安心感が広がり、幅広い銘柄に買いが入った。
DAXでは、通販大手ザランドが6.2%高で上昇率首位。スポーツ用品大手プーマが5.2%高、食材宅配大手ハローフレッシュが4.4%高で続いた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.52%高だった。
この日発表された7月の米消費者物価指数(CPI)の伸び率は市場予想を下回り、インフレ圧力が和らいだことを示す内容となった。これを受けて市場では米大幅利上げ観測が後退し、株価の上昇を支援した。