12日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比424ドル38セント(1.3%)高の3万3761ドル05セントで終えた。
今週発表された7月の米消費者物価指数(CPI)は、前月から伸びが鈍化。卸売物価指数(PPI)は低下し、下げ幅は市場予想を上回った。12日朝方に公表された輸入物価指数は前月比1.4%低下と市場予想を上回って下がった。市場では、物価上昇圧力が弱まり、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが減速するとの見方が広がり、株買いが優勢となった。
次回9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、0.5%の利上げにとどまり、前回会合の0.75%から上げ幅が縮小するとの見方に傾きつつある。英調査会社エコノミストは、「高インフレとの戦いに関する勝利宣言には早すぎるが、インフレ率の減速は歓迎すべきことだ」と指摘し、投資家心理が好転し始めていると話した。
インフレがピークアウトしたとの見方が広がり、米連邦準備理事会(FRB)が利上げペースを緩めるとの期待が相場を押し上げた。消費関連銘柄の上昇が目立ち、米長期金利の低下でハイテク株も買われた。
12日はミシガン大学が発表した8月の米消費者態度指数が前月比3.6ポイント上昇の55.1と市場予想(52.5)以上に改善し、相場上昇を支えた面もあった。
米景気の堅調が続く中でインフレが終息に向かえば景気後退入りは避けられ、米経済は軟着陸が可能との見方が強まった。「物価指標が出そろうまで買いを手控えていた投資家が、相場上昇に乗り遅れまいとして買っている」との声があった。
インフレが消費を冷やすとの懸念が和らぎ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーが3%高となるなど消費関連銘柄の上げが目立った。米長期金利が低下し、金利が下がると相対的な割安感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株も買われた。スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトが高い。
S&P500種株価指数は前日比72.88ポイント(1.73%)高の4280.15で終えた。週間では4週続伸と、昨年10〜11月以来の連続上昇記録となった。また、同指数は1月の過去最高値から6月に付けた今年の安値までの下落幅の半分を取り戻す水準(4231)を超えた。株式相場が大幅に調整後で下落幅の「半値戻し」を達成すると上値を追う買いが入りやすい。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比267.273ポイント(2.1%)高の1万3047.186で終えた。S&P500種と同じく昨年10〜11月以来の4週続伸となった。
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比590円高の2万8710円で引け、12日の大取終値を170円上回った。今週発表になった米物価指標が軒並みインフレ鈍化を示したため、利上げ加速による景気悪化への懸念が薄れ、日経平均先物は米株とともに買われた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28710 ( +170 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28725 ( +185 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
英FT100 7500.89(+34.98 +0.47%)
12日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日に比べ34.98ポイント(0.47%)高の7500.89で引けた。12日発表の4〜6月期の英国の実質国内総生産(GDP)速報値が市場予想ほど落ち込まず、投資家心理の支えとなった。前日に売られた医薬品株には自律反発を見込んだ買いも入った。
FTSEでは、指数構成銘柄の約5割が上昇。賭け屋大手に買いが集まり、フラッター・エンターテインメントとエンテインはそれぞれ14.1%高、4.1%高となった。包装資材大手モンディも11.2%高と急伸した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
独DAX 13795.85(+101.34 +0.74%)
12日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。前日に比べ101.34ポイント(0.74%)高の1万3795.85で終えた。米国でのインフレがピークアウトしたとの見方から米株相場が上昇し、投資家心理の改善につながった。自動車株や消費関連株など幅広い銘柄が買われた。個別では、製薬大手バイエルが4.8%高、素材化学大手コベストロが2.4%高、不動産大手ボノビアが2.2%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
仏CAC40 6553.86(+9.19 +0.14%)
フランスCAC40種指数は0.14%高だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを落とすとの観測が台頭。この日も安心感から株式などリスク資産を買い戻す動きが優勢となった。