【大引け概況】
31日の日経平均株価は5日ぶりに大幅反落し、前日比440円28銭(1.41%)安の3万0887円88銭で終えた。
本日のマーケット動画
時間:00:01:13 容量:16.29M
過去のマーケット動画はこちら
中国の経済指標の悪化を受けて世界景気の先行き不透明感が強まり、機械や鉄鋼、商社など中国関連株への売り圧力が強まった。日経平均は前日までに4日続伸し、1990年7月以来の高値を連日で更新したことで、利益確定売りも出やすかった。
主力株をはじめ幅広い銘柄に利益確定の売りが顕在化し、先物を絡め日経平均は大きく下値を探る展開に。前日の欧州株市場が全面安に売られたほか、米国株市場でも債務上限問題の採決を警戒して、NYダウが反落するなどリスク回避ムードが強まった。
また、取引時間中に発表された中国の経済指標を受け景気の減速懸念が嫌気され、アジア株が全面安商状に売られたことも投資家心理を冷やした。外国為替市場で円高に振れたことは、輸出株やインバウンド関連を中心にネガティブに作用した。
中国国家統計局が午前に発表した5月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月比0.4ポイント低下の48.8と市場予想を下回り、景気判断の分かれ目となる50を2カ月連続で下回った。中国景気の低迷が世界経済の減速につながるとの見方から安川電やJFE、丸紅などが大きく下落した。
財務省と日銀、金融庁は30日夕、国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)を開いた。市場では1ドル=140円台まで進んだ円安に対するけん制との見方もあり、この日は円安基調が一服。トヨタなど輸出関連株を中心に重荷になったとの見方があった。
朝方に経済産業省が発表した4月の鉱工業生産指数は前月から0.4%低下。民間予測の中央値は前月比1.5%上昇で、予想に反して3カ月ぶりに低下した。日本と中国の生産停滞を警戒した売りが幅広い銘柄に広がった。アドテストや東エレクなどこれまで相場をけん引してきた値がさの半導体株が下げた。
月間では日経平均は5カ月連続で上昇した。5月の月間上昇率は7.0%と、20年11月以来の大きさだった。
日経平均は目先的に調整局面入りするとの指摘が聞かれるなか、米国ではボウマン米連邦準備制度理事会(FRB)理事やボストン連銀のコリンス総裁など複数の金融当局者の発言機会のほか、5月のシカゴ購買部協会景気指数や4月のJOLT求人件数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)の発表が予定されており、目先的には米国市場の影響を受けやすくなりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は続落し、前日比28.59ポイント(1.32%)安の2130.63で終えた。東証プライムの売買代金は概算で6兆9552億円と2022年4月の市場再編後では最大だった。大引けで主要な株価指数の構成銘柄の入れ替えに伴う売買が活発化した。売買高は25億8648万株だった。値下がり銘柄数は1571、値上がりは230、変わらずは34銘柄だった。
業種別株価指数(33業種)では卸売業、鉄鋼、鉱業の下落が目立った。上昇は保険業、空運業の2業種。
個別では,三菱商事や丸紅、三井物産などの商社がそろって大きく下落。日本製鉄、JFEHD、INPEX、石油資源開発、三菱マテリアル、DOWA、コマツ、クボタの下落率が大きい。海運では川崎汽船の下落が目立った。為替の円高でSUBARU、マツダなどの自動車も軒並み安。レーザーテック、東エレク、ソシオネクスト、SUMCOの半導体の一角、新光電工、太陽誘電、安川電機などのハイテクも安い。ファーストリテ、ソニーG、OLCなど値がさ株も下落。業績予想を下方修正したカナモトは大きく下落した。
一方、独ダイムラー傘下の三菱ふそうトラック・バスとの経営統合が発表された日野自は12%高。ルネサス、HOYAが半導体株安のなかで逆行高。米長期金利の低下を受け、Sansan、JMDC、マネーフォワードなど内需系グロース(成長)株が高い。三井住友、みずほFG、東京海上HDなどの銀行・保険や、ヤクルト本社、アサヒGHD、ユニ・チャーム、塩野義製薬などのディフェンシブ系の一角も堅調。メタバース関連企業の子会社化を発表したモバイルファクトリー、業績フォーキャストが好感されたADワークス、目標株価が引き上げられたサンアスタリスクなども大幅高。今期の黒字転換と復配計画が好感された四国電力も上昇した。
30日のNYダウ工業株30種平均は反落し、3連休前の前週末と比べ50ドル56セント(0.2%)安の3万3042ドル78セントで終えた。
バイデン大統領と野党共和党のマッカーシー下院議長は28日、債務上限の引き上げについて最終合意した。次の焦点は合意を踏まえた法案が議会を通過するかだが、共和党が多数派を占める下院での審議は難航も予想され、市場参加者は警戒を強めた。
ただ、市場の一部には議会の承認を巡って慎重な見方も残り、ダウ平均の重荷となった。米利上げが続けば景気を冷やすとの観測も、景気敏感株や消費関連株への売りにつながった。
今回の合意で、債務上限の効力は2025年1月まで停止する。合意案は31日にも下院で採決される見通しだが、民主、共和の両党ともに不満を抱える議員がいる。イエレン米財務長官は6月5日に政府の資金繰りが行き詰まると予測する。「議会が分断しているだけに、承認を得るまでは解決したとはいえないとみられている」との声が聞かれた。
米利上げ継続観測が高まっていることも、相場の重荷となった。リッチモンド連銀のバーキン総裁は30日のイベントで、インフレが「多くの人々が想定する以上に頑固に続きそうだ」との考えを示したと伝わった。
前週末に発表された4月の個人消費支出(PCE)物価指数の上昇率は市場予想から上振れした。インフレ高止まりへの懸念が強まり、米連邦準備理事会(FRB)が6月に追加利上げを決めるとの見方が広がった。
消費関連株や景気敏感株の一角が売られた。クレジットカードのビザやスポーツ用品のナイキ、建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)が安い。ディフェンシブ株も売りが優勢で、製薬のメルクや日用品のプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が下げた。
半面、米長期金利が低下し、相対的な割高感が薄れた高PER(株価収益率)のハイテク株に資金が向かった。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが買われた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、前週末比41.738ポイント(0.3%)高の1万3017.426で終えた。1万3000台を回復し、昨年8月以来ほぼ9カ月ぶりの高値を付けた。新製品の発表などが好感された画像処理半導体のエヌビディアが3%高で終え、時価総額は初めて1兆ドル台に乗せる場面があった。電気自動車のテスラやネット通販のアマゾン・ドット・コムも買われた。
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は3連休前の前週末と比べ355円安の3万1145円で終えた。
米債務上限引き上げに向けた法案審議の先行きに懸念が広がり、30日のダウ工業株30種平均が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
31145 ( -235 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
31155 ( -225 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7522.07(−105.13)
連休明け30日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前週末に比べ105.13ポイント(1.38%)安の7522.07と3月下旬以来、約2カ月ぶりの安値で終えた。今週末に予定の主要産油国でつくる石油輸出国機構(OPEC)プラスの会合を前に、原油先物相場が大幅に下落しており、エネルギーセクターに売りが出た。外国為替市場で英ポンドが対ドルで上昇し、売上高の海外比率が高い医薬品や日用品など輸出企業の下落も指数を押し下げた。
個別では、オンライン食品販売大手オカド・グループが3.71%安と下げを主導。航空機エンジン製造大手ロールス・ロイスが3.12%安、石油大手シェルが3.00%安、日用品・食品大手ユニリーバが2.97%安で続いた。
一方、小売り大手フレイザーズ・グループは2.68%高、同業B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールは2.14%高、投資会社ハーグリーブス・ランズダウンは1.77%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15908.91(−43.82)
30日のドイツ株価指数(DAX)は続落した。前日に比べ43.82ポイント(0.27%)安の1万5908.91で終えた。堅調に推移する時間が長かったが、取引終了にかけて売りが優勢となった。米連邦政府の債務上限問題は前週末に基本合意に達したものの、議会での採決を巡る警戒が残り株式相場の重荷となった。化学やヘルスケアのほか、金融や自動車など幅広いセクターが下落した。
個別では、ヘルスケアのフレゼニウスが2.71%安、化粧品大手バイヤスドルフが2.26%安、日用品大手ヘンケルが1.
84%安。半面、郵便・物流大手ドイツポストは1.51%高、半導体大手インフィニオンは1.34%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーは1.24%高だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 7209.75(−94.06)
フランスCAC40種指数は1.29%安だった。