2日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比367ドル17セント(1.1%)安の3万3684ドル53セントで終えた。
米中堅銀行ファースト・リパブリック銀行が1日、経営破綻したものの、大部分の資産について大手行のJPモルガン・チェースが買収し、全預金を引き取ると表明した。だが、この日も地方銀行への売り圧力が強く、金融不安がくすぶる中で投資家心理が悪化し、ダウは取引序盤から売り優勢の展開となった。
また、イエレン米財務長官が1日、議会が政府の借入限度を速やかに引き上げなければ、6月1日にも一部支払いを履行できなくなる恐れがあると警告。米国のデフォルト(債務不履行)への警戒もあり、ダウの下げ幅は一時600ドルを超えた。
中堅地銀ではパックウェスト・バンコープが一時4割安となったほか、ウエスタン・アライアンス・バンコーポレーションとザイオンズ・バンコーポーレーションは2割超下げた。ダウ平均の構成銘柄ではゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースが売られた。
2〜3日開催のFOMCでは0.25%の利上げが決まるとの見方が多く、市場の関心は米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の記者会見に集まる。インフレ圧力が根強い中で金融引き締めが長期化するとの見方も米株相場の重荷だった。市場では「景気が減速する中で利上げが続けばさらに経済が冷え込むと懸念する投資家が多い」との声があった。
原油相場が大きく下げたのを受け、石油のシェブロンも売られた。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスや顧客情報管理のセールスフォースが安かった。半面、製薬のメルクや医薬品・日用品のジョンソン・エンド・ジョンソンは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比132.092ポイント(1.1%)安の1万2080.506で終えた。ネット検索のアルファベットや半導体のエヌビディアの下げが目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は大幅に下落した。6月物は前日比515円安の2万8815円で引けた。
NYダウは、米銀行システムと米債務上限問題に対する警戒感が広がり、続落した。
米地域銀行の破綻が連鎖しかねないとの警戒感から投資家がリスク回避姿勢を強め、売りが優勢だった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28815 ( -315 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28840 ( -290 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
連休明け2日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前週末に比べ97.54ポイント(1.24%)安の7773.03と、4月6日以来ほぼ1カ月ぶりの安値で終えた。エネルギー大手BPが前週末比9%近く下落するなどエネルギーセクターの下落が指数を押し下げた。
BPは2日、2023年1〜3月期の決算発表と同時に、23年4〜6月期の決算発表前までに17億5000万ドルの自社株買いをすると公表した。22年10〜12月期の決算とともに発表の27億5000万ドルの自社株買いと比べて、規模が縮小したことが嫌気された。
半面、銀行セクターは上昇。23年1〜3月期決算が大幅増益となった金融大手HSBCホールディングスは3%強高で取引を終えた。
個別では、教育・メディア大手ピアソンが15.0%安と急落。石油大手BPは8.6%安、情報サービス会社RELXは5.1%安、石油大手シェルは4.5%安となった。
一方、住宅大手パーシモンは5.5%高、金融大手HSBCは3.5%高、流通大手セインズベリーは2.5%高だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
連休明け2日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。前週末に比べ195.44ポイント(1.23%)安の1万5726.94で取引を終えた。2日の米株式相場が下落すると、投資家心理が悪化し、引けにかけて下げ幅を拡大した。金融や化学、自動車など幅広いセクターに売りが出た。
個別では、不動産大手ボノビアが4.5%安、素材化学大手コベストロが4.4%安、製薬大手バイエルが4.3%安と売られた半面、半導体大手インフィニオンは1.9%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーは1.6%高、化粧品大手バイヤスドルフは0.3%高だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.45%安だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定を今週に控えた警戒感からリスクオフの地合いとなった。