【大引け概況】
18日の日経平均株価は3日ぶりに反発し、終値は前日比70円56銭高の3万8981円75銭だった。
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前日の米株式市場では、NYダウ工業株30種平均が161ドル高と続伸し最高値を更新したことが投資家心理を支えた。
米9月小売売上高が堅調だったことなどが好感され、為替も1ドル=150円台へ円安が進行した。これを受け、東京株式市場も朝方は買いが先行し一時上昇幅は270円を超え3万9100円台まで上昇した。ただ、買い一巡後は戻り売りに押され、後場には前日比マイナス圏に下落する場面があった。為替も149円台の円高方向に振れた。大引けにかけやや値を戻したが、結局3万9000円台に届かず取引を終えた。主力の半導体関連株には軟調な銘柄も目立った。
アドバンテストやレーザーテクなど半導体関連の一角には前日に続き売りが出たほか、ソフトバンクグループ(SBG)やソニーGなど時価総額の大きい銘柄が下げ、上値を追う雰囲気は乏しかった。日経平均は午後に下げる場面もあった。
米経済の底堅さを示す経済指標などを受け、リスク許容度が増した投資家の資金が日本株にも流入した。もっとも、主要企業の決算発表や日米の政治イベントなどを前に積極的に上値を追う動きは限られた。
報道各社による27日投開票の衆院選の情勢調査では、政権与党である自民党の議席数が過半数に届かない可能性も伝わっている。
市場関係者は「政権の不安定さが伝わる報道が相次ぎ、投資家は積極的に運用リスクを取りにくくなっている」と話す。東京証券取引所が18日発表した海外投資家の地域別株券売買状況で、9月は欧州勢が過去最大規模の売り越しだったことが判明し、投資家心理の悪化につながった面もある。
日経平均はチャート上で、8日連続で始値より終値が低い陰線となった。8日連続の陰線は2019年12月16日〜25日(8日連続)以来の長さ。陰線は取引時間中に投資家の売り圧力が強まっていることを示唆する。
円安、米株高と引き続き外部環境は絶好調ながら、日経平均は今ひとつ伸び切れない上値の重さが感じられる1日に。米市場のけん引役である半導体大手エヌビディアが昨日に最高値を更新しても、国内の半導体株の動きは今ひとつであった。
日経平均の日足は本日まで8日連続で陰線を記録。国内に買い材料がないため取引時間中(ザラバ)に買いが入って来ないのも一因であろう。
東証株価指数(TOPIX)は3日ぶりに反発した。終値は1.15ポイント(0.04%)高の2688.98だった。JPXプライム150指数は3日ぶりに反発し、0.67ポイント(0.06%)高の1204.57で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆6276億円、売買高は14億3152万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は757。値下がりは798、横ばいは89だった。
業種別株価指数(33業種)は医薬品、機械、銀行業などが上昇。石油・石炭製品、ゴム製品、電気・ガス業などが下落した。
個別銘柄では、2024年4-12月期の連結純利益が前年同期比52%増の742億円になるとの見通しを発表したディスコが高く、富士電機、SMC、ファナック、クボタなど機械株もしっかり。三菱重工業や川崎重工業が堅調。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループなど金融株も値を上げた。日本郵船やフジクラ、トヨタ自動車がしっかり。ファーストリテイリングやファナックが値を上げた。このほか、大塚ホールディングス、ソシオネクスト、HOYAなども上昇した。
半面、レーザーテックやアドバンテスト、東京エレクトロンが安く、SCREENホールディングスやルネサスエレクトロニクスも軟調だった。中国関連銘柄の資生堂、安川電機の下げもやや目立つ。ソフトバンクグループやソニーグループ、三菱商事、ブリヂストンが値を下げ、霞ヶ関キャピタルが急落した。このほか、良品計画、アサヒグループ、住友鉱山、三井化学などが売られた。
[株価材料]
■生保も情報漏洩35万件 代理店に存在感 広告費支払いも
■みずほFG<8411>
インド拠点の陣容3倍へ 新オフィスも
■携帯大手「一番つながる」競う 英調査 KDDI<9433>が初の品質首位
■ニデック<6594>
買収各社の技術融合 工作機械新製品
■長瀬産業<8012>
電子ビームで新素材開発 原子レベルで動態分析
■富士ソフト<9749>
創業者 ベイン案賛同を要望 買収巡り意見書
■ディスコ<6146> 純利益29%増 10-12月 AI向け好調続く
■日本光電<6849>
4-9月純利益下振れ
■日産自動車<7201>
北米で25年にPHV参入 三菱自動車<7211>の技術活用
■TSMC熊本第2工場建設 25年初めに開始
■ラピダス 1000億円調達めど トヨタ自動車<7203>・デンソー<6902>追加出資へ
■クシュタール幹部インタビュー セブン&アイ<3382>
買収への本気度示す
■クシュタールのセブン&アイ<3382>
買収 米当局は厳しく審査か
■政府 「廃車資源化優遇」26年度導入 樹脂・ガラス回収に報酬
■エアウォーター<4088>
北海道・石狩に新棟 LNG輸送車の生産5割増
17日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比161ドル35セント(0.37%)高の4万3239ドル05セントで終え、連日で最高値を更新した。
半導体受託生産の世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)が17日発表した決算が好調で、米半導体大手エヌビディアなど関連株に買いが集まった。直近は米金融大手の好決算が相次いでいるほか、この日発表された9月の米小売売上高が市場予想を上回り、米経済に対する強気な見方が株買いを促した。
11月5日の米大統領選まで3週間を切る中、市場では「共和党のトランプ前大統領と民主党のハリス副大統領のどちらが勝っても、上下両院の多数派が異なる『ねじれ』となり、大きな政策変更は行われない」との予想が浮上。金融市場への影響は限られるとの安心感も相場を支えている。
朝発表の9月の小売売上高は前月比0.4%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.3%増)を上回った。
米経済の大半を占める個人消費の伸びを受け「景気はかなり良好だ」と受け止められた。週間の新規失業保険申請件数は24万1000件と前の週から1万9000件減り、市場予想(26万件)も下回った。底堅い労働市場は今後の消費も支えるとの見方も誘い、消費関連株や景気敏感株の一角が買われた。
半導体受託製造大手の台湾積体電路製造(TSMC)が17日に発表した2024年7〜9月期の決算は人工知能(AI)向け需要の強さを背景に、市場予想を上回る実績と見通しを示した。オランダの半導体製造装置ASMLホールディングが今週発表した低調な決算をきっかけに広がった半導体株の先行き不安が後退したことも、投資家心理の改善につながった。半導体株の一角が買われ、ダウ平均の構成銘柄ではないがエヌビディアは株式分割後ベースの高値を付けた。
相場の上値は重かった。ダウ平均や多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は最高値圏で推移するなか、高値警戒感から一部の主力株には利益確定売りも出やすかった。発表が本格化する企業決算を見極めたい投資家も多かった。
米長期金利が一時前日比0.09%高い(債券価格は安い)4.10%を付けたことも、株式相場の重荷となった。「金利上昇は米景気の底堅さを背景としているものの、米利下げペースが想定よりも緩やかになる可能性も映している」との声も聞かれた。今後の経済指標の発表や米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和のペースを確認したい雰囲気もあった。
個別銘柄ではトラベラーズが9%高となり、ダウ平均を押し上げた。17日に発表した24年7〜9月期決算が市場予想を上回った。シェブロンやアメリカン・エキスプレスや、インテルも買われた。半面、コカ・コーラやユナイテッドヘルス・グループ、ホーム・デポは下げた。
ナスダック総合株価指数は小幅に続伸した。前日比6.530ポイント(0.03%)高の1万8373.609で終えた。エヌビディアのほか、ブロードコムやマイクロン・テクノロジーといった半導体株が高い。一方、17日夕に決算発表を控えていたネットフリックスは売られた。アルファベットも安い。
【シカゴ日本株先物概況】
17日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比245円安の3万9205円で終えた。
米景気への楽観的な見方を背景にダウ工業株30種平均が連日で最高値を更新したが影響は限られ、シカゴ市場の先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39205 ( +105 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39305 ( +205 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
17日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比56.06ポイント(0.67%)高の8385.13で終えた。終値として5月21日以来およそ5カ月ぶりの高水準となる。欧米での利下げ観測や米経済の底堅さを背景に、投資家心理が楽観に傾いた。
英バークレイズなどの銀行やエネルギー株が買われ、指数を押し上げた。
FTSEの構成銘柄では、北米事業の改革案を発表した有害生物管理会社レントキル・イニシャルが8.77%高と急伸。投資会社メルローズ・インダストリーズが4.01%高、ビジネス情報会社インフォーマが3.93%高で続いた。
一方、包装資材大手モンディは7.45%安、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズと資源大手リオ・ティントは共に1.85%安と下げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
17日のドイツ株価指数(DAX)は3営業日ぶりに反発し、前日比150.58ポイント(0.77%)高の1万9583.39で終えた。終値としての最高値を3営業日ぶりに更新した。欧州中央銀行(ECB)の利下げが投資家心理を支えた。
個別では、通期業績予想を据え置いた医療機器のザルトリウスが16.45%高と大きく買われたほか、医薬大手メルクは7.56%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーも4.20%高と上伸。半面、同業イーオンは1.47%安、不動産大手ボノビアは1.46%安、商用車大手ダイムラー・トラックは1.25%安だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3営業日ぶりに反発し、前日比1.22%高で終えた。電機大手シュナイダー・エレクトリックや航空機エンジンのサフランが上げた。BNPパリバなど金融株が買われた。LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど消費関連にも買いが優勢だった。自動車の欧州ステランティス、食品大手の仏ダノンが下げた。