【大引け概況】
4日の日経平均株価は続伸し、終値は前日比83円56銭高の3万8635円62銭だった。
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前日の米株式市場では、NYダウは184ドル安と反落。中東情勢への警戒感で売りが優勢だった。米国株が下落したものの、日経平均株価は日銀による早期の利上げ観測の後退を手掛かりとした買いが引き続き優勢だった。前引けは180円高とこの日の高値圏に上昇した。
ただ、後場に入ってからは、上値は重く3万8600円台を中心とする一進一退が続いた。週末要因に加え、今晩は米9月雇用統計が発表されることもあり様子見姿勢が強まり、引けにかけ一時マイナス圏に転じる場面もあったが、結局買い直されて取引を終えた。
海外短期筋などによる株価指数先物への断続的な買いが入った場面で、日経平均の上げ幅は200円に迫った。もっとも、日本時間今晩発表の9月の米雇用統計を見極めたいとの雰囲気などから、積極的な買いは続かなかった。
日銀の金融政策を巡り、石破茂首相が2日に「追加利上げをする環境にない」と発言した。将来的には金融政策の正常化が進むとみられているが、市場では早期利上げの思惑が急速に後退しており、株買い・円売りの勢いが強まっている。米欧など世界の中央銀行が利下げや金融緩和に動いており、海外投資家の投資余力が増していることも日本株の先高観を強めているようだ。
石破首相は4日午後、衆院本会議で所信表明演説に臨み、経済政策では岸田文雄前政権の方針を踏襲する考えを示した。金融所得課税などへの言及はなく、「波乱なく通過した」との受け止めも一定の安心感につながったとみられる。
日経平均は下げに転じる場面もあった。イスラエルとイランの衝突など中東情勢の緊迫が警戒されたほか、外国為替市場で円相場が前日比で上昇に転じるなど足元の下落が一服したことも重荷となった。米雇用統計の発表を前に、週末とあって持ち高調整の売りも出やすかった。
さて、東京株式市場は週末ということで活発な売買は控えられたが、円安や半導体株人気によって高値圏ながらも堅調さは維持している。
石破首相が当初のタカ派的姿勢からハト派に転換し、市場や経済を安定させる方向を示していることも下値不安の後退につながっている。中東問題で原油価格が急上昇してる点は不安だが、現状では極度のエスカレーションは避けられそうなところもありそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。終値は10.36ポイント(0.39%)高の2694.07だった。JPXプライム150指数も続伸し、2.18ポイント(0.18%)高の1212.04で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で3兆8802億円、売買高は18億1827万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1150。値下がりは448、横ばいは47だった。
業種別株価指数(33業種)は鉱業、石油・石炭製品、電気・ガス業、銀行業などが上昇。下落は海運業、輸送用機器など。
個別銘柄では、三菱重工業や川崎重工業が高く、三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループといった銀行株が値を上げた。原油価格の上昇を受け、INPEXやENEOSホールディングスがしっかり。三菱商事や三井物産が高く、東京電力ホールディングスや北海道電力も値を上げた。ファーストリテイリングが上場来高値を更新した。エムスリー、ソフトバンクG、ソニーG、リクルートHD、任天堂などが大幅高となった。
ほか、第1四半期好決算や自社株買いを発表したクスリのアオキが急騰、上半期営業利益は従来予想を上回る着地となったワールドなどが値上がり率上位となった。
一方、米港湾スト終了で海上輸送混乱に伴う運賃上昇の思惑がはく落した川崎船や日本郵船などの海運株が軟調に推移。ディスコ、東京エレクトロン、トヨタ自、フジクラ、住友林業、伊藤忠、ソフトバンクグループ(SBG)、日立製作所などが下落。米金利低下期待織り込んだとして米系証券では格下げとなった住友林業、6-8月期コンセンサス上振れも目先のピークアウト感強まったキユーピーなどが大幅安となった。ほか、瑞光、レック、ジャパンディスプレイなどがとなった。
3日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比184ドル93セント(0.43%)安の4万2011ドル59セントで終えた。中東情勢が一段と悪化するとの警戒感が投資家心理の重荷となった。4日には9月の米雇用統計の発表を控えていることもあり、主力株に持ち高調整の売りが出やすかった。
大規模なミサイル攻撃を受けたイスラエルは、近くイランに報復するとみられ、石油施設や核施設が標的になる可能性が報じられている。産油国からの石油供給に悪影響が生じるとの懸念が高まり、足元の原油先物相場は上昇基調が続く。インフレ再燃リスクが意識され、米国の利下げペースが鈍るとの見方が広がり、金融株など幅広い銘柄が売られた。
1日から始まった米東海岸での港湾労働者によるストライキも相場の重荷となった。食品や自動車などのサプライチェーン(供給網)の混乱による投資家心理の冷え込みを受け、ダウはマイナス圏に沈んだ。
ダウ平均は9月30日に最高値を付けており、高値警戒感も意識された。米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースを見極める上で重要な9月の米雇用統計の発表を4日に控えて売りが出やすかった。
ただ、米株相場の下値は堅く、ダウ平均は下げ幅を70ドルほどに縮める場面があった。3日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した9月の非製造業(サービス業)景況感指数が54.9と8月(51.5)から改善し、市場予想(51.8)を上回った。個別項目では「新規受注」が大幅に上向き、市場では「全体的な活動と需要は引き続き堅調だ」との見方があった。米経済の底堅さが改めて意識されたのは相場を下支えした。
メルクやボーイング、アマゾン・ドット・コムが下落した。ナイキやゴールドマン・サックスも下げた。半面、IBMとセールスフォースには買いが入った。
ナスダック総合株価指数は小幅に反落した。前日比6.647ポイント(0.03%)安の1万7918.476で終えた。テスラが下げた。半面、エヌビディアは上昇。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)が人工知能(AI)向け半導体の需要が非常に強いとの見方を示し、好感された。
【シカゴ日本株先物概況】
3日のシカゴ日経平均先物は下落した。12月物は前日比40円安の3万8625円で終えた。
NYダウ平均は、中東情勢の緊迫化を嫌気した売りに押され、反落した。
米株式相場が下げ、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38625 ( +25 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38810 ( +210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
3日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比8.34ポイント(0.10%)安の8282.52で終えた。英利下げ観測を支えに指数は前日終値を上回って推移する場面があった。だが中東情勢の緊張が投資家心理を冷やし、ドイツなど欧州の他の主要な株式相場が下げ幅を広げるとFTSE100種指数も次第に水準を切り下げた。
中東情勢の悪化で原油供給に悪影響が及びかねないとの警戒感が原油先物相場を押し上げ、エネルギー株に買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、保険大手フェニックス・グループ・ホールディングスが5.76%安、生命科学分野などの専門的商品・サービスを提供するディプロマが5.10%安、金融大手M&Gが2.50%安と大きく売られた。
一方、航空機エンジン大手ロールス・ロイスは2.81%高、流通大手テスコは2.56%高、石油大手シェルは1.71%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
3日のドイツ株価指数(DAX)は4日続落し、前日比149.34ポイント(0.77%)安の1万9015.41で終えた。中東で緊迫した情勢が続くなか、運用リスクをとりにくくなるとの見方が株式の売りを促した。
個別では、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)グループの持ち株会社ポルシェSEが3.57%安、自動車部品大手コンチネンタルが3.48%安、不動産大手ボノビアが2.92%安。半面、商用車大手ダイムラー・トラックは1.50%高、通販大手ザランドは1.11%高、コメルツ銀行は0.90%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比1.31.%安で終えた。建設大手の仏ブイグ、自動車の欧州ステランティスの下げが目立った。スイスの半導体メーカーであるSTマイクロ・エレクトロニクスや、産業用ガス大手エア・リキードといった素材関連にも売りが出た。石油大手トタルエナジーズには買いが続いた。