8日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比130ドル49セント(0.36%)高の3万6247ドル87セントと1週間ぶりに年初来高値を更新した。2022年1月以来およそ1年11カ月ぶりの高値。
朝方発表された11月の雇用統計によると、景気動向を敏感に反映する非農業部門就業者数の伸びは前月から拡大し、市場予想を上回ったほか、失業率も改善した。市場では堅調な雇用情勢と受け止められ、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期の利下げ観測が後退。ダウは弱含みで寄り付いた。
一方で雇用統計を受け、深刻な景気悪化は回避できるとの楽観的な見方も徐々に広がり、午前の大半の取引でダウはプラス圏で推移。午後に上げ幅を拡大した。ただ、来週公表される米物価統計や連邦公開市場委員会(FOMC)を見極めたいとの警戒感もある中、上値も限られた。
11月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数が前月に比べ19万9000人増え、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(19万人増)を上回った。失業率は3.7%と前月の3.9%から低下した。平均時給は前月比の上昇率が0.4%と市場予想の0.3%より高かった。
雇用統計の発表を受け、米債券市場では長期金利が上昇(長期債価格が下落)し、株式の相対的な割高感を意識した売りが先行した。
その後は次第に買いが優勢となった。市場では「雇用統計は景気が大幅に落ち込むことへの懸念を和らげ、株買いを促した」との見方があった。
ミシガン大学が8日発表した12月の消費者態度指数(速報値)は前月から改善した。1年後の予想インフレ率は3.1%と前月(4.5%)を下回り、21年3月以来の低水準となった。消費者マインドが上向き、期待インフレが下がったことも、株式相場には追い風となった面がある。
個別では、航空機のボーイング、金融のゴールドマン・サックスが上昇した。石油のシェブロンや半導体のインテルも上げた。半面、機械のハネウェル・インターナショナルと小売りのウォルマートが下落した。
ナスダック総合株価指数も続伸した。前日比63.979ポイント(0.44%)高の1万4403.973と、およそ5カ月ぶりに年初来高値を更新した。22年4月以来の高値。半導体のエヌビディア、交流サイトのメタプラットフォームズなどが買われた。
S&P500種株価指数も続伸した。前日比18.78ポイント(0.40%)高の4604.37と、22年3月以来の高値となった。
【シカゴ日本株先物概況】
8日のシカゴ日経平均先物は上昇した。2024年3月物は前日比160円高の3万2520円で終えた。8日発表の11月の米雇用統計は労働市場の底堅さを示し、景気懸念を和らげた。
一方、一段の金融引き締めを招く内容ではないと受け止められ、株買いを誘った。米株式市場では主要3株価指数がそろって年初来高値を更新し、日経平均先物にも買いが波及した。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
32520 ( +320 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
32595 ( +395 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
8日の欧州株式市場は軒並み反発した。英FT100種平均株価指数(FTSE100)は前日終値比40.75ポイント(0.54%)高の7554.47と、約7週間ぶりの高値水準でこの日の取引を終えた。週間では0.33%高だった。
主要中央銀行の金融引き締め策が終了し、来年初めにも利下げに切り替わるとの見方が広がって欧州株式市場は上昇。旅行・レジャー株や高級品関連株の押し上げにより、欧州株は約22カ月ぶりの高値水準となった。英株は原油価格の反発で石油・メジャー株がけん引した。
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アントファガスタが4.23%高と上昇率トップ。インターコンチネンタル・ホテルズ・グループが3.64%高、建機レンタルのアシュテッド・グループが3.01%高と続いた。アングロ・アメリカンが18.97%安、住宅大手バークリー・グループが4.05%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
8日のドイツ株価指数(DAX)は反発した。終値は前日比130.23ポイント(0.78%)高の1万6759.22と、2営業日ぶりに最高値を更新した。米格付け会社S&Pグローバル・レーティングが信用格付けを引き上げたドイツ銀行など、銀行株に買いが集まった。航空機のエアバスなど資本財、スポーツ用品のアディダスといった消費財の関連銘柄も上昇した。
個別では、製薬大手サルトリアスが3.63%高、通販大手ザランドが2.81%高、航空機大手エアバスが2.49%高と買われた半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーが2.19%安、医薬大手メルクが1.70%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は1.32%高(週間2.46%高)だった。
主要中央銀行の金融引き締め策が終了し、来年初めにも利下げに切り替わるとの見方が広がった。