1日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸した。前日比294ドル61セント(0.81%)高の3万6245ドル50セントと連日で年初来高値を更新した。2022年1月以来の高値。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はこの日、利上げ打ち止めや利下げに関する議論は時期尚早だとの考えを示した一方で、FRBは「達成したかったことに到達しつつある」と、金融政策の効果に自信をのぞかせた。市場では「利上げは終わり、金融引き締めが長引かない」(日系証券)との観測が台頭し、安心感から幅広い銘柄が買われた。
1日発表の11月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は46.7と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(47.7)を下回った。個別項目では「製造」や「雇用」が落ち込んだ。景気減速を示す内容だったとの受け止めから、FRBによる金融引き締め長期化観測が後退した。
米債券市場では長期金利が4.2%台前半と9月上旬以来の低水準を付ける場面があった。米金利低下で株式の相対的な割高感が和らいだ。
個別では、ドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスや顧客情報管理のセールスフォース、金融のゴールドマン・サックスなどが高かった。石油のシェブロンや航空機のボーイングも上昇した。一方、半導体のインテルやソフトウエアのマイクロソフト、医療保険のユナイテッドヘルス・グループは売られた。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発した。前日比78.814ポイント(0.55%)高の1万4305.032で終えた。ネット通販のアマゾン・ドット・コムなどが買われた。半面、前日に新型車の出荷を始めた電気自動車のテスラは下落した。
S&P500種株価指数は続伸した。前日比26.83ポイント(0.58%)高の4594.63と、およそ4カ月ぶりに年初来高値を更新した。22年3月以来の高値となった。
【シカゴ日本株先物概況】
1日のシカゴ日経平均先物は反落した。12月物は前日比70円安の3万3470円で引けた。同日の東京株式市場で日経平均株価が下落したのを受け、日経平均先物が売られた。一方で、NYダウは、米利上げが終了したとの見方が広がったことを受け、4日続伸した。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
33470 ( +50 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
33475 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
1日のFTSE100種総合株価指数は続伸した。前日に比べ75.60ポイント(1.01%)高の7529.35で終えた。1日発表の11月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が50.7と10月の49.5から改善したのを受けて英豪リオ・ティントなど資源株が上昇し、指数をけん引した。一部金融機関が投資判断を引き上げたと伝わった英資源大手アングロ・アメリカンが大幅高となり、他の資源株に買いが波及した面もあった。
FTSEの構成銘柄では、産銅大手アングロ・アメリカンが7.89%高と上昇率トップ。鉱業大手アントファガスタが6.18%高、資源大手リオ・ティントが3.70%高と続いた。一方、流通大手テスコが2.17%安、教育・メディア大手ピアソンが1.88%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
1日のドイツ株価指数(DAX)は4日続伸した。前日比182.09ポイント(1.12%)高の1万6397.52と7月末以来、4カ月ぶりの高水準で終えた。欧州中央銀行(ECB)が来年に利下げに転換するとの見方が、引き続き投資家心理の支えとなった。1日発表の11月の財新中国製造業購買担当者景気指数(PMI)が前月から改善したことも好感された。
素材や不動産、テクノロジー関連と幅広い銘柄に買いが入った。DAXを構成する40銘柄のうち、33銘柄が前日比で上昇した。
個別では、素材化学大手コベストロが5.81%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーは4.18%高、不動産大手ボノビアは4.04%高と買われた半面、製薬大手のサルトリアスとバイエルがそれぞれ2.50%安、0.80%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
フランスCAC40種指数は0.48%高(週間で0.73%高)だった。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長発言後も米株価が高値を維持したことを背景に、欧州でも株価が上昇した。