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[5128]WOW WORLD GROUP

[10月24日更新]

WOW WORLD GROUP(持株会社が10月3日付で新規上場)は上値試す

 WOW WORLD GROUP<5128>(東証プライム)(WOW WORLDが単独株式移転によって設立した持株会社が22年10月3日付で新規上場、WOW WORLDは22年9月29日付で上場廃止)は、自社開発e−CRMシステムのWEBCASシリーズを中心に企業のCRM運用支援を展開している。23年3月期は先行投資や一過性費用の発生などで減益予想(WOW WORLDの22年3月期実績との比較)としているが、積極的なリカバリ策や先行投資の成果で後半の挽回を期待したい。株価は持株会社としての初値890円から水準を切り上げている。上値を試す展開を期待したい。なお10月31日に23年3月期第2四半期決算発表を予定している。

■持株会社WOW WORLD GROUPが10月3日付で新規上場

 旧エイジアが21年7月1日付で商号をWOW WORLDに変更した。さらにM&A推進などグループ成長に向けて、WOW WORLDが単独株式移転によって設立した持株会社が22年10月3日付で新規上場した。WOW WORLDは22年9月29日付で上場廃止した。

 M&A・アライアンス関連では、18年9月にハモンズからベビー服ECサイト事業「べびちゅ」を譲り受けた。19年11月には暗号資産関連を展開するデジタルアセットマーケッツに出資した。20年10月には国産クラウドCMS(コンテンツ・マネジメント・システム)のトップベンダーであるコネクティを子会社化した。22年5月にはデータ分析サービス開発のデータビークルが実施する第三者割当増資を引き受けて資本業務提携(出資比率9.13%)した。22年8月にはスペースシップが設立したデジタル・マーケティング支援の新会社ニューストリームに出資して子会社化した。

■e−CRMシステム「WEBCAS」シリーズが主力

 22年3月期のセグメント別構成比(22年3月期からセグメント区分変更、消去・全社費用等調整前)は、売上高がエンタープライズ・ソフトウェア事業67%、デジタル・マーケティング運用支援事業28%、EC事業4%、その他0%、営業利益がエンタープライズ・ソフトウェア事業107%、デジタル・マーケティング運用支援事業▲5%、EC事業▲2%、その他0%だった。

 エンタープライズ・ソフトウェア事業は、マーケティングプラットフォームWEBCASシリーズの開発・販売、および子会社コネクティが展開するエンタープライズCMSのConnecty CMS onDemandの開発・販売である。

 自社開発e−CRMシステムのWEBCASシリーズをベースとして企業のCRM運用支援を展開している。WEBCASシリーズは、メール配信システムWEBCAS e−mailを中心とするe−CRMアプリケーションシリーズである。国内メール送信パッケージ市場シェア1位で、導入企業数は22年3月末時点で8000社を突破している。メール配信システムWEBCAS e−mailは、顧客の嗜好、属性、購買履歴などに基づいたOne to Oneメールを、世界トップレベルの最高300万通/時で送信することが可能な超高速性を強みとしている。

 22年3月にはメール配信システムWEBCAS e−mailの最新バージョンを発売、22年6月にはWEBCAS SMSの新バージョンを発売した。22年8月には、CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)ソリューションの新製品WOW engageを発売した。

 デジタル・マーケティング運用支援事業は、WEBCASシリーズをより効果的に活用するためのコンサルティング、Webサイト制作支援・コンサルティング、および子会社コネクティのCMS(Connecty CMS onDemand)運用である。

 EC事業はベビー服ECサイト「べびちゅ」を運営している。製品開発を強化するため、ECのマーケティングノウハウを吸収して製品開発のヒントを得る研究的位置付けとして展開している。その他のオーダーメイド開発事業は新規受注を積極的に展開せず、既存の利益率の高い案件のみを継続している。

 21年7月にはベビー服ECサイト「べびちゅ」において、世界125ヶ国に向けて多言語対応の越境ECを開始した。21年10月には、子会社コネクティが開発したCDPサービスのConnecty CDPの販売を開始した。

 なお、23年3月期からセグメント区分を変更し、エンタープライズ・ソフトウェア事業(コミュニケーションプラットフォームがWOWのSaaS・オンプレ、CMS・CGPがコネクティのCMS・CDP)、大規模Web開発事業(コネクティの構築・運用)、コミュニケーション支援・コンサルティング事業(コミュニケーションがWOWのメール運用支援・コンサルティング、子会社FUCA、子会社ニューストリーム、CDPがコネクティのCDP運用・コンサルティング)、その他(受託開発、ベビー服EC販売)とした。

■クラウドサービスやM&Aで中期成長目指す

 中期経営計画の目標値は、最終年度23年3月期の売上高38億円、EBITDA11億円としている。顧客のマーケティング活動に対する横断的なソリューションの提供を目指し、M&Aを積極活用して、クラウドサービスを中心とする既存事業の飛躍的成長、グループシナジーの創出、財務戦略の最適化などを推進する。

 22年3月には従業員のキャリア形成を目的として、新しい働き方「兼業制度」を導入した。従業員の多様な働き方を推進し、さらなる組織の活性化と顧客価値の創造を目指す。また22年4月には一部の部門を対象に、日本全国どこでも居住が可能なフルタイム在宅勤務制度を導入した。

■プライム市場上場維持基準適合に向けた計画書

 22年4月に実施された東京証券取引所の市場再編については、WOW WORLDとしてプライム市場を選択し、21年12月15日付でプライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。

 その後のコロナ禍も背景とする事業環境の変化や計画外の費用の発生などにより、22年5月10日公表の23年3月期連結業績予想が21年5月11日公表の中期経営計画で掲げた目標値(20年5月公表の従来計画に対して目標値を上方修正)を下回る見込みとなったため、22年6月15日付で計画書の更新(変更)を発表し、従来は23年3月期までとしていた計画達成期間を25年3月期まで延長した。

 さらに22年10月3日付でWOW WORLD GROUPとして東証プライム市場に新規上場したため、22年10月3日付で新たにプライム市場上場維持基準適合に向けた計画書を開示した。WOW WORLDとしての適合計画書を引き継いでいるため、22年6月15日付の計画書更新(変更)の内容に大きな変更はないとしている。

 経営計画達成に向けた各種施策を着実に遂行するとともに、情報開示およびコーポレートガバナンスの充実、株主還元などの取り組みによって企業価値の向上(時価総額の増大)を図り、プライム市場の上場維持基準適合を目指すとしている。

■23年3月期減益予想だが後半挽回期待

 23年3月期の連結業績予想(持株会社WOW WORLD GROUPとしての予想を22年10月3日付で公表だがWOW WORLDとしての予想に変更なし、IFRS任意適用のため前期比増減率非記載、22年8月5日付で下方修正)は、売上収益が30億円、EBITDAが6億20百万円、営業利益が3億30百万円、親会社所有者帰属当期純利益が2億円としている。配当予想は22年3月期比3円増配の33円(期末一括)としている。連続増配予想となる。

 従来予想に比べて売上収益を4億40百万円、EBITDAを1億10百万円、営業利益を1億80百万円、親会社所有者帰属当期純利益を1億20百万円それぞれ下方修正した。IFRS任意適用のため22年3月期比増減率は非記載だが、22年3月期のIFRS適用のための監査実施後の実績値との比較で売上高は5.9%増収、EBITDAは7.0%減益、営業利益は17.3%減益、親会社所有者帰属当期純利益は18.2%減益となる。

 修正後の通期セグメント別売上収益の計画は、エンタープライズ・ソフトウェア事業のコミュニケーションプラットフォームが1.6%減の16億47百万円(クラウドが7.1%増の14億47百万円、オンプレミスが38.2%減の2億円)、CMSが22.5%増の2億87百万円、CDP(新規)が11百万円、大規模Web開発事業の構築が6.2%減の3億54百万円、運用が19.0%増の2億27百万円、コミュニケーション支援・コンサルティング事業のコミュニケーションが42.2%増の3億23百万円、CDPが9.6倍の52百万円、その他が20.7%減の95百万円としている。

 売上面では予定していたWEBCAS大型オンプレミス案件の剥落が影響する。またクラウドサービスWEBCAS SaaSスタンダード版の売上も従来予想を下回る見込みだ。なおEBITDAについては、前回予想では使用権資産に係る償却費を含めていなかったが、今回予想では含めて算出している。

 第1四半期(WOW WORLDとしての実績、IFRS)は、売上収益が前年同期比0.4%増の6億79百万円、EBITDAが53.7%減の78百万円、営業利益が4百万円の赤字(前年同期は1億13百万円の黒字)、親会社株主帰属四半期純利益が1百万円の赤字(同69百万円の黒字)だった。売上収益が計画を下回り、積極的な先行投資や一過性費用の発生も影響してEBITDA減益・営業赤字だった。

 売上面は、クラウドサービスのWEBCAS SaaSスタンダード版やCMSが伸長したものの、WEBCAS SaaSプレミアム版やオンプレミス導入版が計画を下回り、さらにニューストリームの連結化スケジュールの遅れなども影響して、全体として伸び悩んだ。なおクラウドサービス合計売上高は8.3%増の4億07百万円だった。利益面では、積極的な先行投資(マーケティングや開発体制の強化)に加えて、一過性費用の発生(官公庁取引継続のために必要なISMAP認証取得費用、持株会社化対応費用など)も影響してEBITDA減益・営業赤字だった。

 エンタープライズ・ソフトウェア事業の売上高は8.6%増の4億80百万円だった。クラウドサービスWEBCAS SaaSプレミアム版が減収だが、クラウドサービスWEBCAS SaaSスタンダード版が伸長し、コネクティのCMSも寄与した。売上総利益率は65.6%で1.1ポイント低下した。

 大規模Web開発事業の売上高は10.6%減の1億23百万円だった。売上総利益率は2.2%で25.2ポイント低下した。コネクティのCMSを活用したウェブサイト構築案件の進捗が遅れ、外注費の増加も影響した。

 コミュニケーション支援・コンサルティング事業の売上高は21.4%減の49百万円だった。売上総利益率は15.8%で4.8ポイント低下した。コロナ禍影響の長期化で需要が減少した。

 その他(子会社ままちゅによるベビー服ECサイト「べびちゅ」運営など)は売上高が22.1%減の25百万円だった。売上総利益率は42.0%で1.2ポイント低下した。中国のロックダウンの影響でオリジナル商品の入荷が遅延した。

 第1四半期が計画未達だったため第2四半期累計および通期の連結業績予想を下方修正したが、第2四半期以降の売上拡大に向けて新規顧客獲得に向けた営業強化、既存顧客向けのクロスセル・アップセル、CDPソリューションの新製品WOW engageの拡販などを推進する。コスト面では外注費や不要不急の経費の抑制などを推進する。また経営責任を明確にするため、代表取締役の報酬減額も実施する。積極的なリカバリ策や先行投資の成果で後半の挽回、さらに中長期成長を期待したい。

■株主優待制度は3月末と9月末の2単元以上保有株主対象

 株主優待制度については、WOW WORLDとしての株主優待制度を引き継ぎ、毎年3月31日および9月30日時点の2単元(200株)以上保有株主を対象として、保有株式数および保有期間に応じて株主優待ポイントを進呈(詳細は会社HP参照)する。

■株価は水準切り上げ

 株価は持株会社としての初値890円から水準を切り上げている。上値を試す展開を期待したい。10月21日の終値は926円、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS50円00銭で算出)は約19倍、今期予想配当利回り(会社予想の33円で算出)は約3.6%、前期実績連結PBR(前期実績の連結BPS385円57銭で算出)は約2.4倍、そして時価総額は約37億円である。(情報提供:日 本インタビュ新聞社=Media−IR)
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