15日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸した。前日比90ドル55セント高の2万9030ドル22セントで終え、終値で初めて2万9000ドル台に乗せた。
米中両国は米東部時間15日午前、貿易協議「第1段階」合意文書に署名。中国による米農産品の購入拡大や金融サービス市場の開放などが盛り込まれた。米中摩擦の緩和や米経済の後押しにつながるとの期待から株価は上昇した。
合意文書には、知的財産の保護や中国による米IT(情報技術)技術移転の強要禁止、米農産品輸入額の拡大など7項目が盛り込まれた。発動済みの対中制裁関税は当面続く見通しだが、貿易摩擦による米景気の不透明感が後退した。
朝方発表の2019年10~12月期決算で1株利益が市場予想を上回った医療保険のユナイテッドヘルス・グループが上昇し、1銘柄でダウ平均を55ドル押し上げた。製薬のメルクとファイザーも高い。ダウ平均は一時、2万9127.59ドルまで値を上げた。
ただ午後に入ると、高値への警戒感や利益確定売りなどが出て、ダウ平均は伸び悩んだ。市場では「材料の出尽くし感があった」との声もあった。
米銀行大手バンク・オブ・アメリカが19年10~12月期の決算発表で今年前半の純金利収入が減るとの見通しを示し、嫌気した売りが出た。JPモルガン・チェースなど銀行株全般に売りが広がった。
セクター別では、公益事業や家庭用品・パーソナル用品が上昇する一方で銀行や半導体・半導体製造装置が軟調。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比7.366ポイント高の9258.695で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトやSNS(交流サイト)のフェイスブックなど主力ハイテク株が上げた。一方、米中合意で中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の取引規制の解除が盛り込まれず、半導体株の売り材料になった。
NYダウ工業株30種(ドル)
29,030.22+90.55
S&P500種
3,289.29+6.14
ナスダック
9,258.695+7.366
NY金(ドル/トロイオンス)
1,554.00+9.40
NY原油(ドル/バレル)
58.10-0.13
円・ドル
109.87 – 109.88-0.03
【シカゴ日本株先物概況】
15日のシカゴ日経平均先物は小幅反落した。
3月物は前日比45円安の2万3935円で引け、15日の大取終値を25円上回った。
15日の大取で日経平均先物が反落した地合いを引き継ぎ、上値の重い展開になった。
米中は15日に貿易協議を巡る「第1段階」合意に正式調印したが買いは限られた。
この日の9月物は2万3980円まで上げたが、2万4000円を抜けず売りに押された。9月物安値は2万3850円だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23935 ( +25 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23955 ( +45 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7642.80(+20.45)
15日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日の終値に比べ20.45ポイント高の7642.80で引けた。上昇と下落の銘柄数は拮抗した。
米中貿易協議の「第1段階」合意署名を控えて小動きとなった。米国株が取引時間中の史上最高値を更新するのを眺めてプラス圏で引けた。
医薬品株やたばこ株、酒類のディアジオなど多国籍企業銘柄が買われた。景気動向に左右されにくいとされるディフェンシブ銘柄の公益事業株も上げた。銀行株を筆頭に金融株は軒並み下落した。英長期金利が1カ月ぶりの低水準を付けたことを背景に利ざや縮小を意識した売りが膨らんだ。
個別銘柄では、アナリストが投資判断を引き下げたロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)が2.5%安かった。英保険大手プルーデンシャルが3.7%の大幅安。前日急騰したアラブ首長国連邦(UAE)の民間医療NMCヘルスケアは2.9%安と再び売りが先行した。
半面、オンライン食品販売オカド・グループが2.7%高で上昇率トップ。アストラゼネカ(1.9%高)、グラクソ・スミスクライン(1.7%高)など大手製薬株も堅調。日用品・食品大手ユニリーバは0.8%高と上昇した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13432.30(-24.19)
15日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて24.19ポイント(0.18%)安の13432.30だった。
個別では、ダイムラーを筆頭に自動車株が売られ、相場を押し下げた。半導体のインフィニオンテクノロジーズとIT(情報技術)のSAPも下げた。
一方、オンライン決済サービスのワイヤーカードは4日続伸した。電力株も上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6032.61(-8.28)
欧州の主要株式市場も総じて下落した。
