NYダウ834ドル高、ワクチン期待で

 
9日のNYダウ工業株30種平均は大幅反発した。前週末比834ドル57セント(2.9%)高の2万9157ドル97セントと2月中旬以来、ほぼ8カ月ぶりの高値で終えた。
 
新型コロナウイルスワクチンの承認が近いとの見方が広がり、寄り付き直後には一時1610ドル高となった。引けにかけて主力ハイテク株への売りが強まり、ダウ平均は伸び悩んで終えた。
 
米製薬大手ファイザーは朝方、独ビオンテックと共同開発中の新型コロナワクチン候補について、臨床試験(治験)で9割以上の確率で感染を予防する効果があったと発表。
安全性の検証が終わり次第、11月第3週にも米食品医薬品局(FDA)にワクチンの緊急使用許可を申請するという。
 
ワクチン実用化で経済活動の再開が加速するとの見方から景気敏感株に買いが集まった。ダウ平均の構成銘柄ではクレジットカードのアメリカン・エキスプレス(アメックス)が2割超上昇。航空機のボーイングや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、石油のシェブロンも10%を超える上げとなった。米長期金利の上昇を受けてJPモルガン・チェースなどの金融株も急騰した。
 
市場では、経済活動の正常化への期待が広がり、買いが膨らんだ。外国為替市場では、投資家のリスク回避姿勢が後退。安全通貨とされる円が売られ、円相場は、1ドル=105円台前半に急落した。
 
7日に米大統領選で民主党のバイデン前副大統領の当選が確実になった。バイデン氏は同日に勝利宣言し、コロナ対策や米経済の立て直しなどの政策の準備を始めた。米政治を取り巻く不透明感が後退したとの見方も、投資家が積極的に運用リスクを取る動きにつながった。
ダウ平均は2月12日に付けた過去最高値(2万9551ドル)を上回って推移する場面が目立ったが、引けにかけては上げ幅を縮めた。在宅勤務や巣ごもり消費拡大を背景にコロナ禍でも買われてきたソフトウエアのマイクロソフトなど、主力ハイテク株などの下げが加速した。ダウ平均構成銘柄では、ホームセンターのホーム・デポの下落も目立った。
セクター別では、エネルギーや銀行が大きく買われた一方、家庭・パーソナル用品が下落した。
 
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前週末比181.447ポイント安の1万1713.783で終えた。ハイテク株を売って相対的に割安な景気敏感株に乗り換える動きが強まった。動画配信のネットフリックスやビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズなど、在宅勤務の関連銘柄に売りが目立った。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
29,157.97+834.57
S&P500種
3,550.50+41.06
ナスダック
11,713.783-181.447
NY金(ドル/トロイオンス)
1,854.40-97.30
NY原油(ドル/バレル)
39.84+2.70
円・ドル
105.28 – 105.32+1.78
 


【シカゴ日本株先物概況】

9日のシカゴ日経平均先物は急伸した。
12月物は前週末比1110円高の2万5440円で引け、9日の大取終値を580円上回った。

新型コロナウイルスのワクチン実用化への期待から日経平均先物は米株とともに買い進まれた。米製薬大手のファイザーが9日、新型コロナウイルスのワクチン治験で予防の有効性が90%を超えたと発表した。ハイテク株から景気循環株へのポートフォリオの移行が目立ちダウ平均株価は日中取引で過去最高値を更新した。
この日の12月物高値は2万5900円、安値は2万4365円。
 

シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
25440 ( +580 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
25450 ( +590 )
( )は大阪取引所終値比

 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6186.29(+276.27)
9日のFTSE100種総合株価指数は6日続伸した。前週末の終値に比べ276.27ポイント(4.7%)高の6186.29と、終値ベースで8月中旬以来、約3カ月ぶりの高値で引けた。構成銘柄の約7割が上昇した。
この日のFT指数は、米大統領選でバイデン民主党候補の勝利が確実になったことを受けて高寄りし、6000の大台を回復した。その後は狭いレンジをジリ安で推移したが、正午前に米製薬大手ファイザーが開発中のコロナワクチンは90%以上の効果があったと発表したと伝わると、8月中旬以来3カ月弱ぶりに6200台に乗せた。
原油相場の大幅高を背景に石油株が買われ、金融株の上昇とともに株価指数の上げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、ファイザーの発表をきっかけに、航空機エンジンのロールス・ロイスと航空のインターナショナル・エアラインズ・グループに買い圧力が強まり、それぞれ43%、25%急伸して引けた。
一方、ファイザーの発表後に金価格が大きく下落に転じると、関連のフレスニージョとポリメタル・インターナショナルは大幅安となった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13095.97(+615.95)
 
9日のドイツ株式指数(DAX)は大幅に反発した。終値は前週末と比べて615.95ポイント(4.9%)高の1万3095.97だった。
米ファイザーが開発中の新型コロナウイルスのワクチンについて有効性が確認されたと発表し、景気回復への期待が強まった。
個別では、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは16%高で引けた。ミュンヘン再保険も大幅高だった。半面、不動産サービスのドイチェ・ボーネンは大幅に下落した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5336.32(+375.44)
ファイザーの発表をきっかけに、欧州各国の株式相場もそろって急上昇した。フランスの株価指数CAC40の終値が前週末に比べて7.6%上昇し、終値ベースで3月上旬以来、8カ月ぶりの高値となった。
 

株ちゃんofficial xはこちら!
目次