NYダウ779ドル高、新型コロナ感染ペース鈍化

8日のNYダウ工業株30種平均は反発した。前日比779ドル71セント(3.4%)高の2万3433ドル57セントと、3月11日以来約1カ月ぶりの高値で終えた。
 
新型コロナウイルスの感染拡大が近く峠を越えるとの見方が投資家心理の改善につながった。感染ペース鈍化への期待から、寄り付きから買いが先行。米国で感染者が最多のニューヨーク州では、8日発表された新たな死者数が779人と、1日の増加数としては2日連続で過去最多となった。一方クオモ州知事は、現在のペースで新規入院者が減り続ければ、「(医療)体制は今後2週間で安定するだろう」との見方を示した。
 
また、急進左派のサンダース上院議員が、米大統領選の民主党候補指名争いからの撤退を表明。同氏の撤退で、11月の大統領選では、中道派のバイデン前副大統領とトランプ大統領が対決する構図が固まった。撤退したサンダース氏は、民間の医療保険を廃止して公的な国民皆保険の導入を訴えていた。それらの政策が導入されるリスクがなくなり、医療保険のユナイテッドヘルス・グループが8%高となり、ダウ平均を押し上げた。
 
米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が8日、新たな入院患者数が減っていることから「(米国の感染は)来週以降に転換点を迎える」と前向きな発言をしたと伝わった。感染者数が最も多いニューヨーク州では8日も1日あたりの死者数が最多となったが、入院数は減少傾向が続いている。
 
大規模な協調減産の観測が強まり、米原油先物相場が大幅に上昇した。業績悪化への懸念が和らぎ、石油のエクソンモービルやシェブロンが大幅高だった。米長期金利の上昇を受けて、金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースも買われた。
 
米連邦準備理事会(FRB)は8日午後、3月15日に開いた臨時の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。「雇用の最大化を達成する軌道に乗るまでは、政策金利を据え置く」と、ゼロ金利政策を続ける姿勢を示し、株式への買い安心感につながった面もあった。
 
セクター別では自動車・自動車部品や不動産、エネルギーが大きく上昇した一方で、電気通信サービスの上昇は小幅にとどまった。
 
ナスダック総合株価指数も反発し、前日比203.64ポイント高の8090.90と、3月10日以来の高値で終えた。SNS(交流サイト)のフェイスブックやスマートフォンのアップルなどが高い。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
23,433.57+779.71
S&P500種
2,749.98+90.57
ナスダック
8,090.903+203.643
NY金(ドル/トロイオンス)
1,684.30+0.60
NY原油(ドル/バレル)
26.30+1.21
円・ドル
108.88 – 108.89+0.05

 


【シカゴ日本株先物概況】

8日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
6月物は前日比170円高の1万9145円で引け、8日の大取終値を225円上回った。
新型コロナウイルスの感染拡大がピークに近いとの期待から日経平均先物は米株とともに買われた。米国立アレルギー感染症研究所の所長が8日、「来週以降に転換期が始まる」と述べ、投資家心理が上向いた。急進左派のサンダース上院議員が8日に米大統領選からの撤退を表明したことも支援材料になった。
 
この日の6月物高値は1万9435円、安値は1万8705円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19145 ( +225 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
19300 ( +380 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5677.73(-26.72)
8日のFTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落した。前日の終値に比べ26.72ポイント安の5677.73で引けた。
新型コロナウイルスの感染拡大ペースについて、英国では7日、8日と続けて24時間で過去最多の死者数を更新し、歯止めがかかっていない。全国的な都市封鎖も延長されるとの見方が強く、投資家心理の重しとなった。
ただ、引けにかけては米国株の上昇を眺めて下げ渋った。指数構成銘柄全体の約半数が下落した
 
個別銘柄では、保険のRSAインシュアランス・グループとアヴィヴァは8日、2019年の期末配当の支払いを停止する方針だと、それぞれ発表した。金融監督当局が、金融市場の混乱で運用損が発生する場合に備えるよう保険業界に要請したことに応えた。RSAとアヴィヴァの株価はいずれも約5%下落した。他の保険会社も追随するとの見方から保険株が総じて売られ、相場全体を下押しした。産金大手フレスニーヨが5.5%安で下落率トップ。資源大手BHPビリトン(3.8%安)など資源株は総じて軟調だった。
 
半面、民放大手ITVが7.2%高と締まった。国際商品相場が軟調に推移するなか、豪英BHPビリトンやスイス系グレンコアなど資源株も安かった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10332.89(-23.81)
8日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に下落した。終値は前日と比べて23.81ポイント安の10332.89だった。前日は大幅高となり、反動売りが出ているもよう。銀行や運輸セクターの下落が目立っている。
同日開かれたユーロ圏財務相会合(ユーログループ)は新型コロナウイルスをめぐる経済対策で合意できず中断した。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4442.75(+4.48)
 
 

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