NYダウ767ドル安と5日続落、下げ幅今年最大

5日のNYダウ工業株30種平均は大幅に5日続落し、前週末比767ドル27セント安の2万5717ドル74セントと6月5日以来2カ月ぶりの安値で終えた。
ダウ平均の下げ幅は今年最大で、2018年12月4日以来ほぼ8カ月ぶりの大きさ。
 
5日の上海外国為替市場の人民元相場は、対ドルで1ドル=7元台まで下落し、2008年5月以来、11年3カ月ぶりの安値を付けた。米中貿易摩擦が激しくなる中、中国当局が元安容認の姿勢に転じたためとみられる。
一方、トランプ米大統領はツイッターで「為替操作だ」と批判。市場では両国の対立激化への不安が強まる中、アップルが5%強下落するなどハイテク株を中心に幅広い銘柄が売られ、ダウは一時961ドル安まで下げた。
 
中国商務省は現地時間6日未明、米国からの農産品の購入を一時停止すると発表。トランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」の発動を表明したのを受けた制裁措置という。トランプ政権の反発は必至で、米中の対立が深まり、長期化は避けられないとの懸念が投資家心理を悪化させた。
 
中国側が強硬な態度を示したことで相場の地合いは一段と悪化。投資家の不安心理の指標となる「恐怖心指数(VIX)」は急上昇し、危険水準とされる20を上回った。
変動率を参照して自動的に資産配分を決めるリスク・パリティ戦略をとるファンドなどの機械的な売りも巻き込んだとみられる。
 
リスク回避姿勢から相対的に安全とされる米国債が買われた。米長期金利が2年10カ月ぶりの水準に低下(債券価格は上昇)し、利ざやの縮小懸念からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が売られた。原油先物相場が下落し、収益悪化への懸念からエクソンモービルやシェブロンが売られたのも相場の重荷だった。
 
米景気の先行き警戒感も売りを誘った。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況感指数は53.7と市場予想に反して前月から1.4ポイント低下した。低下は2カ月連続で16年8月以来2年11カ月ぶりの低水準だった。米中貿易摩擦や世界経済の減速を背景に「悪影響が製造業から非製造業まで広がってきた」との警戒感を誘った。
 
セクター別では全面安となり、特にテクノロジー・ハード・機器や半導体・半導体製造装置の下落が目立った。
 
ナスダック総合株価指数は6日続落し、278.033ポイント安の7726.040と6月6日以来の安値で終えた。「第4弾」にはノートパソコンやスマートフォンが含まれるため、画像処理半導体(GPU)のエヌビディアやマイクロン・テクノロジーといった半導体株に売りが膨らんだ。フェイスブックやアルファベット、アマゾン・ドット・コムなど主力株も軒並み大きく下げた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,717.74-767.27
S&P500種
2,844.74-87.31
ナスダック
7,726.040-278.033
NY金(ドル/トロイオンス)
1,476.50+19.00
NY原油(ドル/バレル)
55.01-0.65
円・ドル
105.62 – 105.63-0.32

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は大幅続落した。
9月物は前週末比635円安の2万0240円で引け、同限月物終値ベースで7カ月ぶりの安値をつけた。5日の大取終値を350円下回った。
米中貿易摩擦の激化を受け世界景気の先行き不安が広がった。トランプ米大統領が先週に中国への制裁関税発動を表明。それに対し、中国政府は5日に米国産農産物の購入停止を発表した。中国人民元が対ドルで11年ぶりの安値をつけ、トランプ大統領が為替操作と非難した。円高進行も日本株の重荷だった。
 
この日の9月物安値は2万0170円、高値は2万0920円。
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20240 ( -350 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20250 ( -340 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】
 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7223.85(-183.21)
FTSE100種総合株価指数は大幅に5日続落した。前週末の終値に比べ183.21ポイント安の7223.85と、6月上旬以来約2カ月ぶりの安値で引けた。ほぼ全銘柄が下落した。下げ幅は今年最大となり、7月29日の直近高値からは6%の下落率となった。
 
米中貿易摩擦の激化懸念を受けて全面安となった。アジアや他の欧州の株安、さらには米国株の寄り付きの急落も眺め、株安の連鎖が止まらなかった。
対ドルでの人民元安を受けて米中貿易摩擦の激化が通貨安競争にも発展するとの懸念から、投資家がリスク資産を圧縮する動きが加速した。中国関連株の売りが目立った。
 
個別銘柄では、資産運用会社ハーグリーブズ・ランズダウンが6.8%安で下落率トップ。英保険大手プルーデンシャルも5.5%安で連日の大幅安となった。同様にソフトウエア開発のマイクロフォーカスなどにも売りが広がった。
その他では小売りのマークス・アンド・スペンサー(M&S)が安かった。ネット専業スーパーのオカド・グループとの共同出資会社の手続きを完了したと発表した。オカドも下げた。
 
半面、金相場高を受けて関連のフレスニージョは4.7%がと大幅に上昇した。投資家のリスク回避で相対的に安全資産とされる金に買いが入った。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの民間医療サービス最大手NMCヘルスケアは横ばいだった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11658.51(-213.93)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅続落した。終値は前週末と比べて213.93ポイント安の11658.51だった。終値ベースで3月下旬以来、約4カ月ぶりの安値で引けた。
米中貿易摩擦の激化懸念が強まり、投資家がリスクを回避する動きから世界の主要株式市場で株価が大幅に下落した。
 
個別では、アディダスや医薬・農薬大手のバイエルなどをはじめ、ほぼ全銘柄が下落した。上昇したのは工業用ガスのリンデと航空のルフトハンザの2銘柄だった。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5241.55(-117.45)
フランスの株価指数CAC40の終値が前週末に比べて2%以上下落した。

株ちゃんofficial xはこちら!
目次