30日のNYダウ工業株30種平均は反発した。前日比73ﾄﾞﾙ89ｾﾝﾄ（0.2%）高の3万0409ﾄﾞﾙ56ｾﾝﾄで終え、過去最高値を更新した。新型コロナウイルスのワクチンが普及し、2021年に世界経済が回復するとの期待が買いを後押しした。
英政府は30日、英製薬大手アストラゼネカとオックスフォード大が共同開発したコロナワクチンを承認したと発表した。年明けに接種が始まる見通し。先進国でのワクチン実用化は米ファイザー、米モデルナ製に続く3例目だが、他2製品に比べ安価で保存が簡単なことから、途上国での普及に期待が広がっている。
ただ、休暇シーズンで市場参加者が少なく、引き続き閑散ムードとなった。セクター別では、エネルギーと素材が上げをけん引した。
ムニューシン米財務長官が29日夕、追加経済対策の一環である現金給付の手続きを30日に開始すると述べたと伝わった。早期に現金が支給され、個人消費を支えるとの見方が広がった。米シカゴ購買部協会が30日発表した12月の景気指数（PMI）が市場予想に反して59.5と前月から上昇したことも、景気への楽観論につながった。
一方、ダウ平均は伸び悩む場面もあった。欧米で新型コロナの感染者数が高水準で推移し、米国では新型コロナの変異種の感染が確認された。カリフォルニア州は外出禁止命令を無期限で延長した。経済活動の制限が広がり、短期的な景気減速を懸念する売りが出た。
景気敏感株が総じて買われ、クレジットカードのビザやアメリカン・エキスプレスが高い。建機のキャタピラーや化学のダウなど資本財や素材株も買われた。原油高を受け、石油株も高い。
景気敏感株が買われた半面、スマートフォンのアップルやソフトウエアのマイクロソフトなど主力ハイテク株は売り優勢だった。医薬のメルクや通信のベライゾン・コミュニケーションズなどディフェンシブ銘柄の一角も下げた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比19.781ﾎﾟｲﾝﾄ（0.2%）高の1万2870.002で終えた。通期の電気自動車の販売台数が目標の50万台を上回るとの予測が出たテスラが大幅高。
NYダウ工業株30種（ドル）
30,409.56＋73.89
S&P500種
3,732.04＋5.00
ナスダック
12,870.002＋19.781
NY金（ドル/トロイオンス）
1,893.40＋10.50
NY原油（ドル/バレル）
48.30－0.10
円・ドル
103.11 – 103.12－0.13
【シカゴ日本株先物概況】
30日のシカゴ日経平均先物は小幅反落した。
3月物は前日比75円安の2万7405円で引け、30日の大取終値を35円下回った。
引けにかけて、持ち高調整の売りに押された。
午前中の市場では新型コロナウイルスのワクチン普及への期待から日経平均先物は米株とともに買い進まれたが、上値は重かった。
この日の3月物安値は2万7320円、高値は2万7605円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て) 27405 ( -65 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て) 27435 ( -35 )
※( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
30日のFTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ46.83ﾎﾟｲﾝﾄ安の6555.82で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。
英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンが英国で承認され、英国と欧州連合（EU）の貿易協定も下院で承認された。しかし、外為相場でポンド高が進んだことなどを背景に、株式相場は利益確定売りに押された。イングランドで都市封鎖（ロックダウン）の対象地域が拡大することも心理的重しとなった。資源株の下げが株価指数を押し下げた。
個別では、鉱業のフレスニージョは3%近く下落した。資源大手リオ・ティント（1.6％安）、鉱業大手アングロ・アメリカン（1.3％安）など資源株の一角も緩んだ。石油大手BP（1.1％安）など石油株もさえなかった。医療機器のスミス・アンド・ネフューの下げも目立った。
半面、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ（IAG）が1.1％高と締まり、金融大手ナットウエスト・グループも1．3％高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
30日のドイツ株式指数（DAX）は続落した。終値は前日と比べて42.60ﾎﾟｲﾝﾄ安の1万3718.78だった。30日は短縮取引で、売買は低調だった。
英政府による英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスのワクチン承認でおおむね上昇していたが、引け間際に下落に転じた。
個別では、航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズとハイデルベルクセメントの売りが目立った。一方、医薬・化学大手の独メルクは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40（仏）5,599.41-12.38
