20日のNYダウ工業株30種平均は前週末比592ドル05セント安の2万3650ドル44セントと3営業日ぶりに反落した。
ダウが前週までの2週間で3200ドル近く上昇していたことも持ち高調整の売りを誘った。今週も新型コロナ問題で打撃を受けた米主要企業の1~3月期決算の発表が相次ぐため、投資家の間で警戒感が広がっていた。
また、ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う需要減退懸念に加え、貯蔵能力の限界到達で供給過剰が一段と進むとの見方も重しとなり、米国産標準油種WTIの中心限月5月物は史上初のマイナス価格となった。前例のない原油安で業績悪化が確実視されるエネルギー株などに売りが膨らみ、ダウは一時615ドル安まで下落した。
トランプ米政権と米議会指導部は4500億ドル規模の追加の経済対策を発動する方向で調整している。中小企業への支援などを含む。20日にも合意するとの観測もあったが、この日は調整がつかなかったと伝わると売りが加速する場面があった。
中国の顧客から小型機「737MAX」の受注が取り消されたと伝わった航空機のボーイングが7%近く下落。化学のダウやクレジットカードのアメリカン・エキスプレスも下げた。テーマパークの閉園の長期化懸念が強まった映画・娯楽のウォルト・ディズニーも売られた。
一方、各国の外出制限で恩恵を受けているインターネット通販大手アマゾン・ドット・コムや動画配信大手ネットフリックスなどは買われ、相場の下支え役となった。新型コロナのワクチンや治療薬の開発に期待が高まるヘルスケア株の一角にも買いが入った。
セクター別では公益事業、不動産が大きく売られたが、医薬品・バイオテクや小売の下落は最小にとどまった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、同89.41ポイント(1.0%)安の8560.73で終えた。消費者の「巣ごもり消費」の恩恵を受けるとの見方から、ネット通販のアマゾン・ドット・コムや動画配信のネットフリックスなどの上昇が支えとなり、小高く推移する場面もあった。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,650.44-592.05
S&P500種
2,823.16-51.40
ナスダック
8,560.728-89.413
NY金(ドル/トロイオンス)
1,711.20+12.40
円・ドル
107.60 – 107.61-0.09
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は反落した。
6月物は前週末比295円安の1万9310円で引け、20日の大取終値を330円下回った。米原油価格が初のマイナスを記録し、投資家心理を冷やした。NY原油先物(5月限)が急落し歴史上初めてのマイナス圏での取引に入ると、株式相場も下げ幅を拡大する展開となった。新型コロナウイルスによる景気悪化への警戒感が強まり、日経平均先物は米株とともに売り進まれた。
この日の6月物安値は1万9295円、高値は1万9765円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19310 ( -330 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
19395 ( -245 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5812.83(+25.87)
20日のFTSE100種総合株価指数は3営業日続伸した。前週末の終値に比べ25.87ポイント(0.5%)高い5812.83で引けた。
原油相場が暴落する中、石油株は底堅く推移した。株価指数全体としては前日終値を挟んだ水準で方向感を欠く動きとなった。欧州ではドイツなどで都市封鎖の解除が相次いでいるが、新型コロナウイルスの感染が高止まりする英国では見通しは立っていない。
指数構成銘柄全体のうち、上昇、下落ともに約半数だった。
上昇銘柄には、業績が世界景気の動向に比較的左右されにくい銘柄が目立った。
個別銘柄では、英蘭ユニリーバやレキットベンキーザーなどの日用品株、アストラゼネカやスイスのロシュなど医薬品株が買われた。
一方で、格安航空大手イージージェットが4.2%安、航空大手IAGも3.3%安と航空株が軟調。広告大手WPPも1.3%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10675.90(+50.12)
20日のドイツ株式指数(DAX)は3営業日続伸した。終値は前週末と比べて50.12ポイント(0.5%)高い10675.90だった。ドイツでは20日から小・中規模の商店の営業が再開した。正常化への動きが改めて意識され、相場を支えた。
感染拡大ピークアウトの期待が高まり、投資マインドの改善が続いている。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4528.30(+29.29)
