29日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比51ドル74セント高の2万4578ドル96セントで終えた。
米主要企業の2018年10~12月期決算が佳境に入る中、好決算企業には個別の買いが入り、29日の相場を支えた。朝方発表された米工業・事務製品大手スリーエム(3M)の決算は、中国事業の減速で2019年の業績見通しを下方修正したものの、市場は10~12月期の1株当たり利益が市場予想平均を上回ったことを好感した。3M株1銘柄でダウ平均を25ドル押し上げた。
また、製薬大手ファイザーの1株当たり利益は市場予想をわずかに上回っただけだったが、同社首脳が新薬候補に自信を示したことで買いが入った。ダウは構成銘柄である両社株の上昇でプラス圏を維持した。
決算が嫌気され前日に急落した建機のキャタピラーなど、中国関連とされる銘柄の一角が買い直された。
ただ、週内には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表や米中の閣僚級の貿易協議など重要イベントが続く。結果を見極めたいとのムードも強く、買い一巡後は上値が重くなった。ダウ平均は小安くなる場面もあった。
また、29日の取引終了後に発表されるアップルの決算を控え、様子見ムードも強かった。中国経済の減速を受けてアップルは今月2日に10~12月期の売上高見通しを下方修正済み。主力ハイテク株の業績への警戒感は強く、今週に決算を発表するフェイスブックやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトにも売りが出て、ナスダック指数は軟調に推移した。
ナスダック総合株価指数は続落し、同57.395ポイント安の7028.290で終えた。前日に業績見通しを引き下げ株価が急落したエヌビディアなど半導体株への売りも続いた。
セクター別では資本財や素材が上昇する一方で電気通信サービスや半導体・半導体製造装置が軟調。
個別では、バイクメーカーのハーレー・ダビッドソン(HOG)は、貿易摩擦に起因したコスト増などを理由に、冴えない決算と慎重な2019年の業績見通しを示し下落した。通信のベライズン(VZ)は、決算で売上高が予想を下回ったことが嫌気され軟調推移となった。
ビデオゲーム小売のゲームストップ(GME)は、身売りを断念したことを明らかにして急落。
一方で化学製品メーカーのスリーエム(MMM)は予想を上回る決算を発表して上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,579.96+51.74
S&P500種
2,640.00-3.85
ナスダック
7,028.290-57.395
NY金(ドル/トロイオンス)
1,303.10+5.00
NY原油(ドル/バレル)
53.27+1.28
円・ドル
109.39 – 109.40+0.16
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅反発した。
3月物は前日比45円高の2万0620円で引け、29日の大取終値を10円下回った。
米株式市場で企業の好決算を背景にNYダウ工業株30種平均が反発し、相場を支えた。
今週は30日の米連邦公開市場委員会(FOMC)、30~31日の米中貿易協議を控え、市場には結果を見極めたいムードが広がった。
この日の3月物高値は2万0740円、安値は2万0385円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20620 ( -10 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20630 ( 0 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6833.93(+86.83)
FTSE100種総合株価指数は6営業日ぶりに大幅反発した。前日の終値に比べ86.83ポイント高の6833.93で引けた。
英国の欧州連合(EU)からの離脱修正案の議会採決を29日夜に控え、離脱延期に対する期待感が広がった。ただ、米国株の乱高下を眺めて、引けにかけて伸び悩んだ。指数構成銘柄全体の約8割が上昇した。幅広い銘柄が買いが広がるなか、たばこと資源株の値上がりが株価指数の上げに大きく影響した。
個別銘柄では、過去数日にわたり下落傾向にあったブリティッシュ・アメリカン・タバコは、アナリストによる投資判断引き上げなどを受けて5.7%と大幅高となった。商品相場の上昇を背景に、リオ・ティントなど鉱業株やBPなど石油株が買われた。包装のDSスミスも大幅高。
半面、金融サービスのハーグリーブス・ランズダウンは6%超下落した。軟調な金融市場を背景に、2018年12月までの上半期の管理資産が減少したことが響いた。旅行のTUIと航空のイージージェットも売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11218.83(+8.52)
ドイツ株式指数(DAX)は小反発した。終値は前日と比べて8.52ポイント高の11218.83だった。下がって始まったものの、その後上昇に転じた。
個別では、世界景気の先行き不透明感からディフェンシブ銘柄が買われ、電力のエーオンとRWEの値上がりが目立った。工業用ガスのリンデも上昇した。
一方で、第4四半期の決算を発表したIT(情報技術)のSAPは大幅下落した。タイヤのコンチネンタルも軟調だった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4928.18(+39.60)
