5日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比483ドル22セント高の2万9290ドル85セントで終えた。過去3日間の上昇幅は1034ドルに達した。
新型コロナウイルスによる肺炎をめぐり、中国や英国の研究者が治療薬やワクチンの開発で前進したと報じられ、株価は寄り付きから上昇した。この日発表された米経済指標が良好な内容だったことも、ダウ平均をさらに押し上げた。
5日、ロイター通信などが中国メディアを引用して「中国の浙江大学の研究者が新型肺炎に効果的な治療薬を発見した」と伝えた。英国の科学者がワクチン開発で大きく前進したとの報道もあった。中国人民銀行(中央銀行)は金融市場への巨額の資金供給に加え、預金準備率の引き下げなど追加緩和に動くとの観測も強まっている。5日の中国株高も重なり、投資家心理が改善した。
米雇用サービス会社、ADPが朝方発表した1月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数が前月比29万100人増えた。市場予想(15人増)を上回った。米サプライマネジメント協会(ISM)発表の1月の非製造業景況感指数は55.5と市場予想(55.0)より良かった。米景気の拡大基調は続いているとの見方も買いを促した。
この日は米原油先物相場が6営業日ぶりに反発したことを好感し、エクソンモービルなどのエネルギー株が上げを主導。また、アイオワ州で行われた民主党の大統領選候補指名争いで、事前予想に反してブティジェッジ前インディアナ州サウスベンド市長がリードしたことが好感された。
ナスダック総合株価指数は前日比40.709ポイント高の9508.683、S&P500種株価指数は37.10ポイント高の3334.69で終えた。ともに3日続伸し、過去最高値を更新した。
個別銘柄では、医療保険のユナイテッドヘルス・グループが大きく上げ、1銘柄でダウ平均を100ドル強押し上げた。原油先物相場の上昇を受け、シェブロンなど石油株が上昇。IT(情報技術)のIBMの上げも目立つ。中国売上高が大きい化学のダウや工業製品・事務用品のスリーエム、建機のキャタピラーも高い。
NYダウ工業株30種(ドル)
29,290.85+483.22
S&P500種
3,334.69+37.10
ナスダック
9,508.683+40.709
NY金(ドル/トロイオンス)
1,562.80+7.30
NY原油(ドル/バレル)
51.17+1.56
円・ドル
109.79 – 109.80+0.46
【シカゴ日本株先物概況】
5日の日経平均先物は3営業日続伸した。
新型肺炎の治療薬開発を巡る前向きな報道や5日発表の1月ADP雇用統計が15年5月以来の大きな伸びとなったほか、ISM非製造業指数も予想を上回る堅調な内容となり、終日堅調となった。日経平均先物は好調な景気指標を手掛かりに米株とともに買い進まれた。
3月物は前日比325円高の2万3690円で引け、今年1月23日の終値を約2週間ぶりに回復した。5日の大取終値を330円上回った。
この日の3月物高値は2万3700円、安値は2万3215円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23690 ( +330 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23695 ( +335 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7482.48(+42.66)
5日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日の終値に比べ42.66ポイント高の7482.48で引けた。構成銘柄の7割が上昇した。
中国の大学の研究チームが新型肺炎の効果的治療薬を発見したとの報道を受けて、感染拡大への過度な警戒感が和らいだ。投資家心理が改善し、新型肺炎の発生から下落傾向にあった銘柄を中心に買いが入った。
中国の需要減少を巡る懸念が後退したことで、原油と銅相場が上昇。これを追い風に石油株と鉱業株が買われた。保険や銀行など金融株も軒並み上昇した。
個別銘柄では、好決算を発表したアイルランド段ボール大手スマーフィット・カッパが6.7%高。英包装資材DSスミスは6.1%高、包装資材大手モンディは5.1%高、英ビジネス情報会社インフォーマは4.4%高となった。
半面、たばこのインペリアル・ブランズと医薬品のグラクソ・スミスクラインが大幅に下落した。それぞれ決算が悪化し、売りが膨らんだ。インペリアルは一時10%超下げた。ボーダフォン・グループなど通信株も売られた。アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの民間医療サービス最大手NMCヘルスケアは3.1%安とふるわなかった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13478.33(+196.59)
5日のドイツ株式指数(DAX)は大幅に続伸した。終値は前日と比べて196.59ポイント高の13478.33だった。
新型肺炎の感染拡大をめぐる過度な警戒感が和らぎ、買い安心感につながった。幅広い銘柄が買われ、構成銘柄の約8割が上昇した。
個別では、決算を発表した半導体のインフィニオンテクノロジーズが10%高と急伸。通年の決算が増収になる見通しを示したことなどが好感された。
一方で航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは売られた。アナリストが投資判断を引き下げたことが響いた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5985.40(+50.35)
欧州の主要株式市場も総じて上昇した。
