7日のNYダウ工業株30種平均は、前日比473ドル39セント安の2万5965ドル09セントと大幅に続落した。3月29日以来の安値で終えた。
米中の貿易協議の先行きに警戒感が増した、建機のキャタピラーやアップルなど中国の売上高比率が高い銘柄を中心に幅広い銘柄に売りが膨らんだ。下落率は1月3日以来の大きさだった。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は6日、2000億ドル相当の中国からの輸入品に対する追加関税を、10日に10%から25%に引き上げる方針を表明。先週の北京での貿易協議後に中国側の姿勢が後退したと主張し、中国側の対応を「約束破り」と批判した。これに先立ち、トランプ大統領は5日、追加関税の引き上げをツイッターで表明していた。
米中両政府の協議中止も懸念されていたが、中国商務省はこの日、劉鶴副首相が9、10両日の貿易協議に出席するため訪米すると発表。ただ、交渉の行方は依然予断を許さず、場合によっては決裂の可能性すらあり得るとの見方も浮上する中、株式相場は寄り付きから大幅安となった。中国市場への依存度が比較的高いハイテクや製造業が下げを主導し、全11セクターがマイナスとなった。
また、航空機のボーイングは米中貿易協議への警戒感に加え、2度の墜落事故を起こした新型機「737MAX」の生産回復が遅れるとしてアナリストが投資判断と目標株価を引き下げたのが売り材料視された。天候要因などからアナリストが業績見通しを引き下げたホームセンターのホーム・デポも売られ、ダウ平均の重荷になった。
投資家心理は急速に悪化し、通称「恐怖指数」と呼ばれる米株式の変動性指数(VIX)は前日から3割強高い21台まで上昇する場面があった。20を超えると不安心理が高まった状態とされる。変動率を参照して自動的に資産配分を決めるリスク・パリティ戦略をとるファンドなどの機械的な売りも巻き込んだとみられ、ダウ平均の下げ幅は一時648ドルに達した。
株安を受けて相対的に安全とされる米国債が買われ、米長期金利が低下。利ざやが縮小するとの観測からゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株が売られたのも相場の押し下げにつながった。
セクター別では自動車・自動車部品を除いて全面安となり、特にテクノロジー・ハード・機器や半導体・半導体製造装置の下落が目立った。
ナスダック総合株価指数は、159.533ポイント安の7963.756と4月11日以来の安値で終えた。
フェイスブックやアマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、アルファベット(グーグル)のFANGがそろって大幅安となるなど手じまい売りが広がった。中国売上高が大きく米中摩擦の激化の影響を受けやすいとして、画像処理半導体(GPU)のエヌビディアやインテルなど半導体関連株にも売りが膨らんだ。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,965.09-473.39
S&P500種
2,884.05-48.42
ナスダック
7,963.756-159.533
NY金(ドル/トロイオンス)
1,285.60+1.80
NY原油(ドル/バレル)
61.58+0.18
円・ドル
110.23 – 110.24-0.42
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は大幅続落した。
6月物は前日比555円安の2万1650円で引け、7日の大取終値を290円下回った。
米中貿易協議の先行き警戒感が強まり、日経平均先物は米株とともに売られた。円高進行も弱材料になった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21650 ( -290 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21675 ( -265 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7260.47(-120.17)
7日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前営業日3日の終値に比べ120.17ポイント安の7260.47と、終値で3月下旬以来の安値で引けた。1日の下げ幅としては3月22日以来の大幅下落だった。6日は英国の祝日で休場だった。
トランプ米大統領の対中追加関税引き上げ表明を受け、米中貿易摩擦の激化懸念が広がった。投資家のリスク回避気分が強まり、欧州株は軒並み軟調。米国株の寄り付きの急落も相場を押し下げた。
指数構成銘柄全体の約9割が下落した。金融株や資源株など幅広い銘柄に売りが入った。
個別銘柄では、中国景気との関連が強いファッションのバーバリー・グループや保険のプルーデンシャル、銀行のHSBCホールディングスへの売りが目立った。午後にかけて原油相場の大幅下落を受けて石油株への売りが加速した。石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルはA株が3.2%安、B株が3.9%安と軟調。銅価格も安くなったことで鉱業株も下げた。金融大手HSBCホールディングスは2.7%安、同バークレイズ2.6%安など銀行株も軒並み下落した。
半面、公益事業株や医薬品株など景気動向に左右されにくいとされるディフェンシブ銘柄が堅調だった。電力のSSEとヒクマ・ファーマシューティカルズは1.0%高と上げが目立った。同アストラゼネカも0.4%高と強含んだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12092.74(-194.14)
7日のドイツ株式指数(DAX)は大幅続落した。終値は前日と比べて194.14ポイント安の12092.74だった。
前日に引き続き大幅に下落した。米中摩擦の激化が警戒されたほか、7日に欧州連合(EU)の欧州委員会が発表した経済見通しで、ユーロ圏の実質成長率を前回2月時点の予測から引き下げたことも重荷になった。構成銘柄の8割が下落した。
個別では、消費財のヘンケルが大幅安で引けた。BMWをはじめ自動車大手3社も売られた。中国市場の減速などが響き、いずれも業績が落ち込んだことが売り材料視された。
一方でオンライン決済サービスのワイヤーカードと不動産のボノビアが大幅に上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5395.75(-87.77)
