NYダウ457ドル安、ウイルス感染「第2波」を警戒

 
12日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前日比457ドル21セント安の2万3764ドル78セントで終えた。米経済活動の再開を期待した買いが先行したが、新型コロナウイルス感染の第2波を警戒した売りが次第に広がった。景気敏感株を中心に、引けにかけて一段安となった。相場上昇をけん引してきたハイテク株も利益確定売りに押された。
 
欧米では、新型コロナウイルスの感染拡大を受けた行動制限を解除する動きが継続。感染が深刻な米ニューヨーク州も15日から段階的に解除する計画だ。ダウ平均は、こうした動きを好感し、上昇して取引が始まった。
ただ、国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長が上院委員会で、経済活動の「性急過ぎる再開」がもたらすリスクを警告。感染拡大の「第2波」への警戒感が強まると、マイナスに転じ、引けにかけて下げ幅を広げた。
 
航空機のボーイング、建設機械のキャタピラーなど景気の影響を受けやすい資本財株が売り込まれた。リスク回避の債券買いで米長期金利が低下し、金融株のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースは3%強下落した。外出規制が長引けばテーマパーク事業の逆風になる娯楽・映画のウォルト・ディズニーの下げも目立った。
 
3月以降の相場上昇をけん引してきたハイテク株も利益確定売りが広がった。ソフトウエアのマイクロソフトとネット通販のアマゾン・ドット・コムは2%安強下げた。
 
米中関係悪化の懸念も投資家心理を冷やした。米上院は中国の少数民族、ウイグル族の人権を侵害する中国高官らに制裁を科す法案成立に動いていると米ブルームバーグ通信が12日、伝えた。新型コロナの感染源を巡る米中対立もくすぶっており、スポーツ用品のナイキなど中国関連とされる銘柄が売られた。
 
セクター別では不動産、銀行が大きく下落。家庭・パーソナル用品の下落は小幅にとどまった。
 
 
ナスダック総合株価指数は7営業日ぶりに反落し、前日比189.79ポイント(2.1%)安の9002.55で終えた。GAFAM(アルファベット、アップル、フェイスブック、アマゾン、マイクロソフト)はすべて下落。マイクロン・テクノロジーが5%下げるなど半導体株も売られた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
23,764.78-457.21
S&P500種
2,870.12-60.20
ナスダック
9,002.551-189.793
NY金(ドル/トロイオンス)
1,706.80+8.80
NY原油(ドル/バレル)
25.34+1.20
円・ドル
107.14 – 107.18-0.41

 


【シカゴ日本株先物概況】

12日のシカゴ日経平均先物は反落した。
6月物は前日比355円安の2万0145円で引け、12日の大取終値を145円下回った。
新型コロナウイルスの感染第2波への警戒感が広がり売られた。

国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は12日の議会公聴会で、経済活動の早すぎる再開は「感染の急拡大を引き起こすリスクがある」と警告した。NYダウは、ウイルス感染「第2波」への警戒感が高まり下落する展開となり、引けにかけては下げ幅を拡大した。
 
この日の6月物安値は2万0140円、安値は2万0525円。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20145 ( -145 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20175 ( -115 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5994.77(+55.04)
12日のFTSE100種総合株価指数は5日続伸した。前日の終値に比べ55.04ポイント高い5994.77で引けた。ただ、不動産株は不調。値上がり銘柄は約半数にとどまった。
この日のFT指数は一時6000の大台を回復し、6012.98まで上昇した。一方、安値は5911.37。過去数日のように、ボラティリティの低い取引が続いた。
 
新型コロナウイルスの感染第2波への警戒感からエネルギーや銀行といったセクターでは下落銘柄が目立ち、相場全体の上値は重かった。
スナク財務相は12日、新型コロナで休業を余儀なくされている労働者を対象に賃金の一部を支援する政策について、10月まで延長する方針を示した。8月からはコストの一部を企業にも負担してもらう考えも明らかにしたが、市場の反応は限定的だった。
 
個別銘柄では、通信株に買いが広がり、相場全体を押し上げた。セクター内でも特に堅調だったのがボーダフォン・グループで、8.7%高で終えた。同社は12日、2020年3月期の調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)が前の期に比べ2.6%増えたと発表し、好感した買いが集まった。
他では、英オンライン食品販売オカド・グループは7.4%高、英水道会社ペノングループは4.2%高。英たばこ大手インペリアル・ブランズと英エネルギー大手SSEは各4.1%高だった。
 
一方、英商業用不動産大手ランド・セキュリティーズは12.7%の大幅安。同業ブリティッシュ・ランドも10.3%安とふるわなかった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10819.50(-5.49)
12日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に続落した。終値は前日と比べて5.49ポイント(0.1%)安の10819.50だった。新型コロナウイルスの感染第2波への懸念がくすぶるなか、売りが優勢となった。経済活動再開への期待が根強い一方、新型コロナウイルス感染第2波への警戒感が上値を重くしている。
運輸関連セクターに買いが入る一方、保険セクターが売られている。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4472.50(-17.72)

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