12日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反発し、前日比372ドル65セント高の2万5425ドル76セントと昨年12月3日以来ほぼ2カ月ぶりの高値で終えた。
米議会与野党は前日、国境の壁建設予算をめぐって原則合意に達した。政府機関の再閉鎖回避へと前進したため、株式市場は寄り付きから買いが優勢となった。
米与野党指導部が11日夜、政府閉鎖の再発回避に向けた新予算の暫定案で基本合意した。13億7500万ドルを投じメキシコとの国境沿いにフェンスを新設する。トランプ米大統領が求めていた57億ドルを下回るが、トランプ氏は12日、「政府閉鎖は起きないだろう」と述べた。15日に迫った現行予算の期限切れ前に政府閉鎖が回避できるとの期待から、幅広い銘柄が買われた。
また、米政府機関の再閉鎖が回避できるとの観測が広がったうえ、11日から次官級協議が始まった米中の貿易交渉が進展しているとの期待も相場を押し上げた。
建機のキャタピラーや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、航空機のボーイングなど中国への収益依存度の高い銘柄に買いが膨らんだ。3銘柄でダウ平均を110ドル近く押し上げた。商品先物市場で原油や天然ガスなど資源価格が上昇した。収益悪化懸念が後退し、エクソンモービルやシェブロンなどエネルギー関連株に買いが入ったのも相場の追い風になった。
ただ、閉鎖回避にはトランプ大統領の予算案への署名が必要。トランプ氏は合意内容を「喜ばしいとは言えない」と批評する一方で、「再び(政府機関が)閉鎖することはないと思う」と発言したことから、政府閉鎖に対する投資家らの過度の懸念は後退した
いずれの交渉も最終的な打開策にまで至っていないことから、終盤にかけては幾分様子見ムードも広がった。
市場関係者は「大統領が超党派合意を受け入れて署名まで進むかは不透明であるほか、米中協議の期限延長の可能性も浮上している」と指摘した。
セクター別では、素材や半導体・半導体製造装置が上昇する一方で不動産や消費者・サービスが下落した。
ナスダック総合株価指数は3日続伸し、106.714ポイント高の7414.619と昨年12月3日以来ほぼ2カ月ぶりの高値で終えた。アマゾン・ドット・コムやアルファベット(グーグル)、ネットフリックスなど主力株が軒並み買われた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,425.76+372.65
S&P500種
2,744.73+34.93
ナスダック
7,414.619+106.714
NY金(ドル/トロイオンス)
1,314.00+2.10
NY原油(ドル/バレル)
53.34+0.93
円・ドル
110.44 – 110.45-0.17
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は続伸した。3月物は前日比470円高の2万0920円で引け、12日の大取終値を40円上回った。
米与野党の議会指導部が11日に新たな予算案で基本合意し、政府機関の再閉鎖が回避されるとの見方が広がった。
トランプ米大統領が米中貿易協議の期限延長の可能性を示唆し、合意成立への思惑も浮上した。投資家心理が改善し、米株とともに買われた。
この日の3月物高値は2万0960円、安値は2万0390円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
20920 ( +40 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
20930 ( +50 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7133.14(+4.03)
FTSE100種総合株価指数は小幅続伸となり、英FT100種平均株価指数(FTSE100)は前日終値比4.03ポイント高の7133.14で終了した。
朝方は高値で寄り付いたものの、その後ポンドの強含みを眺めて値を消した。終値はほぼ横ばいとなった。指数構成銘柄のうち、高安はそれぞれ約半々だった。銀行株や石油株が強含む一方、小売株は軟化した。
個別銘柄では、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビの民間医療サービス最大手NMCヘルスケアが1.9%高で上昇率トップ。原油高を背景に、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルは0.6%高、同BPも0.2%高と強含んだ。
米中の貿易協議が進展するとの期待を背景に鉱業株が上げた。ただ、引けにかけてアングロ・アメリカンとアントファガスタが売りに転じた。ヘルスケア関株も堅調だった。
半面、前日大幅に上昇した旅行のTUIが下げ幅を広げ、7%超安で引けた。マイクロフォーカスをはじめソフトウエア関連株にも売りが広がった。英スーパーマーケット2位のセインズベリーの下げが目立った。英当局が同3位のアズダとの合併の審査期間を4月末まで延長すると発表した。3月末に英国の欧州連合(EU)離脱期限が迫るなか、先行き不透明感が懸念された。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11126.08(+111.49)
ドイツ株式指数(DAX)は続伸。終値は前日11日と比べて111.49ポイント高の11126.08だった。
米中の貿易協議が進展するとの期待から投資家心理が改善した。
個別では、タイヤのコンチネンタルが大幅に上昇した。仏タイヤのミシュランが急伸した流れが波及した。自動車株も上げた。
一方、鉄鋼のティッセン・クルップが下落。オンライン決済サービスのワイヤーカードは続落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5056.35(+41.88)
フランスの株価指数CAC40では、好決算を発表したミシュランが13%高となり、指数をけん引した。
