4日のNYダウ工業株30種平均は4日続伸し、前日比332ドル26セント高の3万1055ドル86セントと2週ぶりの高値で終えた。バイデン米政権による追加経済対策の期待が高まり、良好な米経済指標の発表が続いたことも買いを誘った。金融など景気敏感株の一角が上昇し、相場をけん引した。
米メディアによると、バイデン大統領は3日夕、新型コロナウイルス感染拡大を受けた1兆9000億ドル規模の経済対策に盛り込んだ現金給付に関し、対象者を絞ることは検討するものの、金額は維持するとの方針を示した。市場では「経済対策規模は、最終的に1兆ドル程度に減額される」(米エコノミスト)との見方が多いが、大幅な減額がないまま、早期に成立するとの期待が高まり、景気変動の影響を受けやすい銘柄などが買われた。
米労働省が朝方発表した週間新規失業保険申請は77万9000件と、3週連続で改善。市場予想も大きく下回った。景気への楽観姿勢が強まり、相場を下支えした。
米下院は3日、2021会計年度の予算議案を可決した。上院でも可決されれば、財政調整法を活用して与党・民主党単独で追加経済対策を成立させる道が開ける。共和党との調整を経ず、大型の追加対策が成立するとの期待が高まった。
前週に混乱を巻き起こした個人投資家による投機的な売買が弱まったことも買い安心につながった。投機取引の対象だったゲーム専門店のゲームストップは4割、映画館運営のAMCエンターテインメント・ホールディングスは2割下げた。
ダウ平均の構成銘柄では、クレジットカードのビザと同業のアメリカン・エキスプレスが4%上昇。長期金利の上昇で銀行のJPモルガン・チェースは2%上げた。前日夕に韓国の現代自動車グループ傘下の起亜と電気自動車の開発で近く提携すると報じられたスマートフォンのアップルは3%高。
ナスダック総合株価指数は反発し、前日比167.200ポイント(1.2%)高の1万3777.743と過去最高値を更新した。3日夕に市場予想を上回る2020年10~12月期決算を発表した決済サービスのペイパル・ホールディングスや電子商取引のイーベイが大幅高。一方、10~12月期決算で売上高が市場予想に届かなかった半導体のクアルコムは9%安で終えた。
S&P500種株価指数は4日続伸し、前日比41.57ポイント(1.1%)高の3871.74で終えた。こちらも過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
31,055.86+332.26
S&P500種
3,871.74+41.57
ナスダック
13,777.743+167.200
NY金(ドル/トロイオンス)
1,791.20-43.90
NY原油(ドル/バレル)
56.46+0.77
円・ドル
105.54 – 105.55+0.35
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。3月物は前日比30円高の2万8610円で引け、4日の大取終値を280円上回った。
週次新規失業保険申請件数が予想外に減少し労働市場の改善に期待が高まり寄り付きから上昇。追加経済対策が成立するとの期待も高く、景気敏感株を中心に買われ、終日堅調に推移。引けにかけては上げ幅を拡大した。
この日の3月物高値は2万8660円、安値は2万8290円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
28610 ( +280 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
28620 ( +290 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6503.72(-4.10)
4日のFTSE100種総合株価指数は小幅ながら続落した。前日の終値に比べ4.10ポイント(0.1%)安の6503.72で引けた。
株価指数は狭いレンジ内の動き。イングランド銀行(英中銀)は金融政策を据え置いたが、市場予想通りだったこともあり、ほぼ横ばいで引けた。事前にマイナス金利政策の導入観測も出ていたが、中銀の強気な景気見通しを受けて後退した。
構成銘柄の約6割が上昇したが、時価総額の大きい石油株が下落し相場の重荷になった。日中を通して方向感の定まらない動きだった。
個別銘柄では、石油のロイヤル・ダッチ・シェルが売られた。2020年12月期決算の大幅赤字が材料視された。BPも連れ安した。食品・日用品のユニリーバは、アナリストによる目標株価の引き下げが響き安かった。金相場の下落で関連のフレスニージョなどに売りが出た。
半面、ロイズ・バンキング・グループ(5.6%高)をはじめナットウエスト(5.5%高)、バークレイズ(2.8%高)など銀行株がそろって大幅高となった。英長期金利が上昇し、利ざや拡大を見込んだ買いが入った。医薬品のアストラゼネカとグラクソ・スミスクラインも上げた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14060.29(+126.66)
4日のドイツ株式指数(DAX)は4日続伸した。終値は前日と比べて126.66ポイント高の1万4060.29だった。終値ベースで1月上旬に付けた過去最高値を更新した。
個別では、医薬・農薬大手のバイエルが高かった。除草剤の発がん性をめぐる集団訴訟問題が解決したとの報道を好感した。料理宅配大手のデリバリーヒーローは利益確定の売りで下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5608.54(+45.49)
