29日のNYダウ工業株30種平均は前日比326ドル15セント高の2万6362ドル25セントとは続伸し3週間ぶりの高値で終えた。
米中が貿易協議での強硬姿勢を和らげたと受け止められ、中国関連とされる銘柄を中心に買いが優勢となった。金融株の上昇も相場を支えた。
中国商務省の報道官は29日、9月上旬に予定されている米中の閣僚級貿易協議について、双方が話し合いによる調整を続けていると表明。両国による追加関税拡大の発動を9月1日に控えて協議開催を危ぶむ声があったが、報道官は「冷静な態度で問題を解決したい」と強調。対米批判が抑制的だったことから、貿易戦争激化への警戒感が和らいだ。
中国関連株は軒並み上昇した。中国売上高比率が高い建機のキャタピラー、中国での生産・販売が多いスポーツ用品のナイキの上昇が目立った。中国が最大の市場である半導体株や、業績が貿易に左右されやすい運輸株も軒並み買われた。
米債券市場で長期金利が上昇し、利ざや拡大の期待からゴールドマン・サックスなど金融株に買い直しが入った。ダウ平均の上げ幅は一時370ドルを超えた。
また、朝方発表された4~6月期の米実質GDP(国内総生産)改定値は前期比2.0%増と速報値(2.1%増)からわずかに下方修正。米景気の後退懸念が強まり、1%台の成長に落ちるとの見方も一部で出ていただけに「底堅い景気動向を確認できた」(準大手証券)と安心感が広がった。特に経済のけん引役である個人消費が4.7%増と速報値(4.3%増)から上方修正されたことも好感された。
セクター別では、半導体・半導体製造装置や運輸が上昇する一方で食品・飲料・タバコや家庭用品・パーソナル用品が下落した。
ナスダック総合株価指数は同116.512ポイント(1.5%)高の7973.394で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,362.25+326.15
S&P500種
2,924.58+36.64
ナスダック
7,973.394+116.512
NY金(ドル/トロイオンス)
1,536.90-12.20
NY原油(ドル/バレル)
56.61+0.83
円・ドル
106.50 – 106.51+0.40
【シカゴ日本株先物概況】
29日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
9月物は前日比190円高の2万0705円で取引を終えた。大阪取引所の終値を245円上回った。
中国商務省の報道官が29日の記者会見で「中国は貿易戦争のエスカレートに断固反対する。冷静な態度で協議と協力し問題を解決したい」と発言した。
これを受け中国が対米姿勢を軟化させているとの見方から米株式相場が大きく上昇、日経平均先物も買われた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20705 ( +245 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20705 ( +245 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7184.32(+69.61)
FTSE100種総合株価指数は続伸した。前日の終値に比べ69.61ポイント高の7184.32で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。
米中貿易協議の進展期待が高まり、リスク選好気分が強まった。中国政府の報道官の貿易摩擦回避に前向きな発言が材料視された。
中国商務省の報道官が29日の記者会見で、9月に予定されている米中の閣僚級貿易協議について前向きな姿勢を示した。加えて、外国為替相場でのポンド安を背景にした多国籍企業銘柄の買いも相場を底上げした。海外での収益率が高い医薬品株やたばこ株、
個別銘柄では、酒類のディアジオなどの銘柄への買いも目立った。アナリストが投資判断を引き上げた計測機器のスミス・グループが5.1%高で上昇率トップ。オンライン食品販売オカド・グループも4.4%高と締まった。
半面、ソフトウエア開発のマイクロフォーカスが0.3%超安と急落した。売り上げが低迷で2019年10月期の業績見通しを引き下げ売りが膨らんだ。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11838.88(+137.86)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に反発した。終値は前日と比べて137.86ポイント高の11838.88だった。
米中貿易協議の進展に対する期待感や、イタリアの政治的混乱への警戒感が後退し投資家心理が改善した。
個別では、幅広い銘柄が買われ、下落したのは不動産のボノビアだけだった。鉄鋼のティッセン・クルップと素材メーカーのコベストロの上げが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5449.97(+81.17)
