NYダウ32ドル安、ハイテク株利益確定売り

 
28日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落した。前日比32ドル23セント(0.1%)安の2万4101ドル55セントで終えた。欧米で経済活動が段階的に再開され、景気回復に向かうとの期待から買いが先行した。ただ、主力ハイテク株が軒並み売られ、引け間際に下げに転じた。
 
米国ではテキサス州が5月から小売店などの営業を再開し、オハイオ州は4日から製造業から段階的に活動を再開する。一連の動きを受けて、化学のダウやクレジットカードのアメリカン・エキスプレス、金融のゴールドマン・サックスなどが買われた。経済再開を好感し、ハイテク株やヘルスケア株から景気敏感株に乗り換える動きが広がったようだ。
 
一方、午前に民間調査会社コンファレンス・ボードが発表した4月の消費者景気信頼感指数は86.9と、前月の118.8から急低下し、2014年以来の低水準となった。市場予想の87.9も下回った。現況指数も76.4に急低下し、下げ幅は過去最大となった。調査は「消費者による経済的な見通しへの楽観が減っており、消費に影響する可能性がある」と警告した。
 
大手ハイテク株は相場が崩れた2月下旬以降も業績期待からの買いが集まっていたが、利益確定売りに押された。ネット通販のアマゾン・ドット・コムと検索サイトのアルファベットは3%安、動画配信のネットフリックスは4%安となった。
 
また、この日発表された米企業の1~3月期決算はまちまちな内容だった。
スリーエム(3M)は高機能マスクの需要が増え、売上高や1株当たり利益が市場予想を上回った。キャタピラーは売上高、1株当たり利益ともに市場予想に届かず、通期予想を撤回した。
通期予想の下方修正を発表した製薬のメルクが売られたのもダウ平均の重荷だった。同社に限らず「コロナショック」の中でも値持ちが良かった医薬やバイオ、医療保険などヘルスケア株は総じて売られた。
 
セクター別では耐久消費財・アパレルや資本財が上昇した一方で、メディア・娯楽、ヘルスケア機器・サービスが売られた。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比122.43ポイント(1.4%)安の8607.73で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
24,101.55-32.23
S&P500種
2,863.39-15.09
ナスダック
8,607.731-122.433
NY金(ドル/トロイオンス)
1,722.20-1.60
NY原油(ドル/バレル)
12.94+0.60
円・ドル
106.81 – 106.83-0.05

 


【シカゴ日本株先物概況】

28日のシカゴ日経平均先物は5営業日続伸した。6月物は前日比180円高の1万9970円で引け、同限月物終値ベースで3月6日以来、約8週間ぶりの高値をつけた。28日の大取終値を160円上回った。
朝方に経済再開への期待から日経平均先物は米株とともに買われた。しかし、4月消費者信頼感指数や地区連銀製造業指数が大幅に落ち込んだほか、大手ハイテク株の決算発表が今週多数予定されており、いったん手仕舞う動きが広がり、引けにかけて上げ幅を縮めた。
 
この日の6月物高値は2万0140円、安値は1万9615円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
19970 ( +160 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20025 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
28日のFTSE100種総合株価指数は新型コロナウイルスの感染拡大に伴うリスク回避の後退を受けて続伸した。前日の終値に比べ111.71ポイント高い5958.50で引けた。
終値としては3月10日以来約1カ月半ぶりの高値。指数採用銘柄の約8割が値上がりした。
 
欧米の一部の国や地域で経済再開に向けた動きが広がり、世界景気の先行き懸念が後退。業績が景気動向に左右されやすい銀行株や資源関連株を中心に買いが広がった。28日には、オーストリア政府が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐために導入していた外出制限を4月末で解除すると発表した。
 
個別銘柄では、英金融大手ロイズ・バンキング・グループが8.9%高。英小売りJDスポーツファッションと英ビジネス情報会社インフォーマは各8.5%高。旅行大手カーニバルは8.0%高などの上昇が目立った。
 
一方、英格安航空大手イージージェットは2.9%安、ロシア鉄鋼大手エブラズは2.5%安、メキシコ産金大手フレスニロは2.0%安、英生活用品大手レキット・ベンキーザーは1.9%安と売られた。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
28日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて135.64ポイント(1.3%)高い10795.63だった。
欧州でも外出規制の一部緩和の動きや、30日に開催されるECB理事会での追加緩和策への期待が好感されているようだ。欧州主要600社の株価指数であるストックス600も上昇し、前日に比べ5.65ポイント(1.7%)高い341.09で取引を終えた。

■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)4,569.79 +64.53 +1.4
フランス株も小じっかり。4月の消費者信頼感指数が95と市場予想(83)を上回り、買いが先行の動きをみせている。

 

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