NYダウ31ドル高、米中交渉を注視
18日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前週末比31ドル33セント高の2万8036ドル22セントと前週末に続けて過去最高値を更新、S&P500種株価指数は小幅に上昇し、過去最高値を更新した。
米中の貿易協議の行方を見極めたいとして方向感に乏しかったが、業績期待が高い銘柄中心に買いが入り、指数を押し上げた。
米CNBCテレビは18日、中国政府筋の話として、米中貿易協議「第1段階」の合意への署名に「中国は悲観的になっている」と伝えた。中国は発動済みの追加関税の撤回確約を署名の条件と位置付けているが、トランプ米大統領が撤回を渋っていることなどが理由という。協議進展への期待が後退する中、午前中のダウは前週末終値を挟んで一進一退の展開となった。
一方、米商務省はこの日、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対して5月から実施している制裁について、スマートフォンの保守などに関わる取引を暫定的に認める例外措置を延長すると発表。報道を受け、貿易摩擦が和らぐことを期待した買いが優勢となり、ダウは昼すぎからプラス圏を維持したまま推移した。
前週から動画配信サービスを始めた映画・娯楽のウォルト・ディズニーが買われた。ヘルスケア改革などに関連した収益悪化懸念が後退した医療保険のユナイテッドヘルス・グループが上昇した。2銘柄でダウ平均を44ドル程度押し上げた。米長期金利が低下し、配当利回りの高い不動産や公益事業関連なども上げた。
ただ、前週末15日に初めて2万8000ドルの大台を突破した高値警戒感から当面の利益を確定する売りも出て、ダウの上値は重かった。
工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や建機のキャタピラーなど中国売上高比率の高い銘柄は売られた。原油先物相場が下げ、シェブロンやエクソンモービルなどエネルギー株も下げた。
セクター別では、家庭用品・パーソナル用品や耐久消費財・アパレルが上昇する一方でエネルギーや自動車・自動車部品が下落した。
ナスダック総合株価指数も続伸し、同9.109ポイント(0.1%)高の8549.938と連日で過去最高値を更新した。アップルやフェイスブックなど主力株の一角が買われた。アナリストによる目標株価引き上げが伝わったエヌビディアなど半導体株も上げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,036.22+31.33
S&P500種
3,122.03+1.57
ナスダック
8,549.938+9.109
NY金(ドル/トロイオンス)
1,468.50-4.90
NY原油(ドル/バレル)
56.86-0.86
円・ドル
108.67 – 108.68-0.24
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小幅に続伸した。
12月物は前週末比30円高の2万3395円で引け、18日の大取終値を5円下回った。好調な米企業業績への期待などを背景に米株高が進み、日経平均先物は買われた。
米商務省が18日、中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)に対して限定的な取引を認める例外措置の90日間延長を決めたことも投資家心理を明るくした。
一方で米メディアが18日、米中貿易協議の合意について中国側には悲観的なムードが強まっていると伝えたため上値は重かった。同報道によると、中国側が合意したと理解していた関税の段階的な撤廃についてトランプ米大統領が約1週間前に実現を否定したためという。市場は20日発表の米連邦公開市場委員会の議事録(10月開催分)に注目している。
この日の12月物高値は2万3495円、安値は2万3270円。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23395 ( -5 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23400 ( 0 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7307.70(+4.76)
FTSE100種総合株価指数は小幅に続伸した。前週末の終値に比べ4.76ポイント高の7307.70で引けた。構成銘柄の半数以上は上昇した。日中を通して狭い範囲での展開だった。
医薬品株の上昇が株価指数を押し上げる一方で、原油相場の下落を背景に石油株が売られ、指数の上値を抑えた。
個別銘柄では、総合ヘルスケアのNMCヘルスは5%超の上昇と目立った。アナリストが株価目標を引き上げた電力のSSEと英資産運用会社ハーグリーブズ・ランズダウンは2.1%高と共に買われた。
一方、総合保険のアヴィヴァは4%超下落した。シンガポール事業の売却の観測が広がっていたが、同社は同国と中国の部門を保持する一方で、他の一部アジア部門の戦略を見直していることを明らかにした。複数のアナリストが株価目標を引き下げたファッションのバーバリー・グループも売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13207.01(-34.74)
ドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前週末と比べて34.74ポイント(0.26%)安の13207.01だった。
中国側が米中貿易協議の合意について悲観的だとの一部報道を受けて、欧州各国株式相場はそろって午後に一段安となった。
個別では、自動車株が下落した。フォルクスワーゲンが4%超下がった。2020年までの5年間の営業利益と売上高の伸びの見通しをそれぞれ引き下げたことが響いた。素材メーカーのコベストロの下げも目立った。一方で、電力のRWEと不動産のボノビアは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5929.79(-9.48)
