NYダウ308ドル安、欧州の景気回復の遅れ

23日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比308ドル05セント(0.9%)安の3万2423ドル15セントで終えた。欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大し、世界経済の正常化が遅れると懸念された。資本財や金融など景気敏感株が売られ、最近上昇が続いていた旅行・レジャー関連株も大幅に下げた。
 
欧州では、新型コロナウイルスの感染拡大懸念が強まっている。ドイツは23日、変異ウイルスの拡大を受け、現行のロックダウン(都市封鎖)の期限を延長。イースター休暇中は規制を一段と厳格化すると発表した。フランスやイタリアは前週、一部地域で規制強化に動いた。
米メディアによると、世界保健機関(WHO)は22日、変異ウイルスの感染拡大が世界の多くの地域でみられると警鐘を鳴らした。米国では、新規感染者数の下げ止まりが見られる中、感染防止策の緩みへの懸念が強まっている。
 
英製薬のアストラゼネカが米国で実施したワクチンの臨床試験について米国立アレルギー感染症研究所が23日、「データが不完全な可能性がある」と指摘した。市場のワクチン普及期待に水を差し、心理面の重荷となった。
 
米国でも1日当たりの新規感染者数がやや増えている。市場では「米景気回復への過度な期待が後退し、上昇が続いた景気敏感株に持ち高調整の売りが出た」との指摘があった。
 
景気敏感株が売られ、化学のダウや航空機のボーイング、建機のキャタピラーが4%下落した。米長期金利の低下を嫌気して、金融のゴールドマン・サックスも安い。コロナ禍が業績を直撃する旅行・レジャー関連株が売られ、映画・娯楽のウォルト・ディズニーは2%安。ダウ平均の構成銘柄以外では空運のアメリカン航空グループとユナイテッド航空ホールディングスが7%安。カーニバルが8%安となるなどクルーズ船株も軒並み大幅安だった。
 
一方、コロナ禍が業績の逆風になりにくいハイテク株の一角が買われ、ソフトウエアのマイクロソフトが高い。ダウ平均の構成銘柄以外では、在宅勤務や巣ごもり消費の拡大の恩恵を受ける銘柄に資金が向かい、ネット通販のアマゾン・ドット・コム、動画配信のネットフリックスの上げが目立った。飲料や日用品、公益事業などディフェンシブ株も高い。
 
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前日比149.845ポイント(1.1%)安の1万3227.697で終えた。マイクロン・テクノロジーが6%安となるなど、半導体銘柄が下げを主導した。
 
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
32,423.15-308.05
S&P500種
3,910.52-30.07
ナスダック
13,227.697-149.845
NY金(ドル/トロイオンス)
1,725.10-13.00
NY原油(ドル/バレル)
57.49-0.27
円・ドル
108.60 – 108.61-0.16
 


【シカゴ日本株先物概況】

 
23日のシカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比435円安の2万8680円で引け、23日の大取終値を130円下回った。
世界景気の先行きを警戒する売りが出た。欧州で新型コロナウイルスが収束せずドイツがロックダウンを延長するなど、世界経済の回復に不透明感が広がり、寄り付き後、下落した。ハイテク株も下落。引けにかけて、原油価格の下落、北朝鮮が短距離ミサイルを先週末に発射したとの報道を受けた地政学的リスク上昇への警戒感も強まり、下げ幅を拡大した。
この日の6月物安値は2万8615円、高値は2万9320円。
 
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28680 ( -130 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28710 ( -100 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6699.19(-26.91)
23日のFTSE100種総合株価指数は新型コロナウイルスの感染第3波到来をめぐる懸念や原油安を背景に反落した。前日の終値に比べ26.91ポイント安の6699.19で引けた。下落した銘柄数は53と半数を上回った。
新型コロナウイルスの感染第3波を抑えるため、ドイツで4月上旬にロックダウン(都市封鎖)が実施される。欧州での行動制限の強化により、経済の正常化が遅れるとの懸念から売りが優勢だった。商品相場の下落を背景に石油株や鉱業株が売られ株価指数の下げに大きく影響した。
 
個別銘柄では、石油のBPと鉱業のアントファガスタの下げが目立った。航空機エンジンのロールス・ロイスは6%近く下げた。同社がノルウェーのエンジン部門をロシアへ売却する計画について、ノルウェー側が差し止めると発表したことが売り材料となった。薬品のアストラゼネカも下落した。同社製ワクチンの米国での臨床試験(治験)で、不完全なデータが提供された可能性があると米側に指摘されたことが嫌気された。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も大幅安だった。
 
一方、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズ・グループは2.8%高、水道大手セバーントレントは2.7%高。アナリストが株価目標を引き上げた配送のブンズルは買われた。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 14662.02(+4.81)
23日のドイツ株式指数(DAX)は小幅に続伸した。終値は前日と比べて4.8ポイント高の1万4662.02だった。
ドイツで4月上旬にロックダウン(都市封鎖)が実施される。行動制限の強化で景気回復が遅れるとの懸念から朝方は売りが先行したが、午後にかけて上昇に転じた。
 
個別では、エーオンなど電力株が買われた。不動産サービスのドイチェ・ボーネンの上げも目立った。最近上昇傾向にあった自動車のフォルクスワーゲン(VW)は売られた。
 
 

■フランス・パリ株価指数
CAC40 5945.30(-23.18)
 
 

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