NYダウ3日続伸 367ドル高 政策リスク後退

 
4日のNYダウ工業株30種平均は前日比367ドル63セント高の2万7847ドル66セントと3日続伸で終えた。
一部の州で大統領選の開票作業が続いているものの、市場では民主党のバイデン前副大統領が勝利するとの見方が広がっている。ただ、議会上院で同党が過半数を確保する公算は小さくなっており、バイデン氏が目指す増税や規制強化へのハードルが高まる見通し。「急激な政策変更が回避される」との観測が、株価を押し上げた。
 
半面、バイデン政権での実施が期待されている大型財政出動やインフラ投資は、共和党の抵抗によって規模が縮小しかねない。この点は株価に逆風となるものの、この日はプラス面が大きく材料視された。
 
一方、トランプ大統領はミシガン州での集計方法に意義を唱えて提訴する方針を示し、ウィスコンシン州では再集計を要求していると伝わった。法廷闘争に発展すれば、結果判明の遅れにつながる可能性がある。
 
大統領選を取り巻く不透明感は強いままだが、市場では「(大統領と議会の多数派が異なる)ねじれ議会が継続することで、反トラスト法に基づいた巨大ハイテク企業への規制強化などが進みにくくなる」と好感する声が目立った。上院共和党の反対でバイデン氏が掲げる法人税増税の可能性が低下するとの見方も市場心理を支えた。
 
選挙直前は大統領と議会の上下両院を民主党が制する「ブルーウエーブ」の予想が強まっていた。大型財政出動を見込んで資本財など景気敏感株が買われ、経済対策の恩恵を受けにくいハイテク株は上値が重くなる傾向にあった。民主党の勢力が予想ほど強まらない見通しとなり、選挙前に盛んだった取引が巻き戻された面もある。
 
ダウ平均は昼過ぎに821ドル高を付ける場面があったが、その後は引けにかけて伸び悩んだ。景気敏感株からハイテク株への資金シフトが進み、景気敏感株が多いダウ平均の重荷になった。大統領選の結果確定に時間がかかるとの見方が広がったのも、上値を抑えたようだ。
 
個別では交流サイト(SNS)のフェイスブックが8%あまり上昇、グーグルの持ち会社のアルファベットやネット通販のアマゾン・ドット・コムも約6%上げた。スマートフォンのアップルも大幅高だった。長期金利が急低下したこともハイテク株など成長企業の買いを誘った。
 
薬価引き下げにつながる医療制度改革が進みにくくなるとしてヘルスケア株の買いも目立った。医療保険のユナイテッドヘルス・グループは10%上げ、1銘柄でダウ平均を240ドル近く押し上げた。製薬のメルクやバイオ医薬品のアムジェンも上げた。
 
半面、大型インフラ投資への期待が後退し、建機のキャタピラーが7%下げ、化学のダウも大幅安となった。金利低下を受けてJPモルガン・チェースなども売られた。
 
ナスダック総合株価指数も3日続伸し、前日比430.21ポイント高の1万1590.78で終えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
27,847.66+367.63
S&P500種
3,443.44+74.28
ナスダック
11,590.781+430.209
NY金(ドル/トロイオンス)
1,896.20-14.20
NY原油(ドル/バレル)
39.14+1.48
円・ドル
104.50 – 104.52-0.37

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
4日のシカゴ日経平均先物は上昇した。
12月物は前日比55円高の2万3885円で引け、4日の大取終値を145円上回った。
大統領選の行方は不明だが、共和党が上院過半数を維持する可能性が強まったため、最終的にバイデン氏が勝利した場合でも民主党が提示している増税や規制強化は大きく進展しないとの期待が強まり、寄り付き後から大きく上昇した。
規制強化や企業増税といった政策導入への懸念が薄れ、日経平均先物は米株とともに買われた。
この日の12月物高値は2万4070円、安値は2万3495円。
 
 
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23885 ( +145 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23905 ( +165 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5883.26(+96.49)
4日のFTSE100種総合株価指数は3日続伸した。前日の終値に比べ96.49ポイント高の5883.26で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。
米大統領選の開票が進む中、相場は寄り付きから乱高下した。ただ、大接戦となっているが、株式相場は民主党のバイデン候補の勝利を見込んだ買いを集めた。
午後には米国株の上昇に伴い英国株も上げ幅を広げた。ポンド相場の下落で通貨安の恩恵を受ける多国籍企業銘柄が買われ、株価指数の上昇に大きく影響した。
 
個別銘柄では、医薬品のアストラゼネカやブリティッシュ・アメリカン・タバコ、酒類のディアジオなどの上げが目立った。銀行株は売られた。
半面、スタンダードチャータード銀行とHSBCホールディングスの下げが大きくなった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12324.22(+235.24)
4日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸した。終値は前日と比べて235.24ポイント高の1万2324.22だった。米大統領選の接戦が続くなか、午後に上げ幅を広げた。
 
個別では、料理宅配大手のデリバリーヒーローが8%近く上げた。不動産のボノビアも大幅高だった。2020年1~9月期の利益が増加し、12月期通期の業績見通しも会社予想の上限に達するとの見方を示したことが好感された。
下落したのはタイヤのコンチネンタルの1銘柄だけだった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4922.85(+117.24)
欧州の主要株式相場も上昇し、フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて2.4%上げた。

株ちゃんofficial xはこちら!
目次