7日のNYダウ工業株30種平均が米中間の「貿易戦争」に対する過度の懸念が後退し3日続伸した。前日比126ドル73セント高の2万5628ドル91セントと2月下旬以来、約5カ月半ぶりの高値で終えた。
この日のダウは高寄りして開始。米中間の「貿易戦争」がエスカレートするとの懸念から、前日には中国での事業展開に積極的なボーイングやキャタピラーなどが売られたが、これらの銘柄に買い戻しが入った。
ダウ平均は190ドル高まで上げ幅を広げる場面があった。S&P500種株価指数は4日続伸し2858.45で終え、1月下旬の過去最高値(2872.87)に近づいた。
QUICK・ファクトセットによると2018年第2四半期の主要企業の増益率は24%と第1四半期を上回り、2010年以来の高い伸びとなる見通しだ。第3、第4四半期も高成長が続く見込みで、企業業績の良好さが改めて意識された。投資家の間では買い安心感が広がった。
長期金利の指標である米10年債利回りが3%を下回る水準で推移しており、外国為替市場では対主要通貨でドル高が一服している。ハイテク関連や輸出企業に悪影響を与えるとされる金利上昇やドル高への懸念が後退したことも相場を支えた。
一方、夏季休暇シーズンで商いが薄い中、米連邦公開市場委員会(FOMC)や雇用統計といった注目イベントも通過し、材料出尽くし感から動意に乏しい展開でもあった。
ナスダック総合株価指数は6日続伸し、同23.986ポイント高の7883.664で終えた。6日続伸は3月中旬以来ほぼ5カ月ぶり。
セクター別では、各種金融や半導体・半導体製造装置が上昇する一方で食品・飲料・タバコや消費者・サービスが下落した。
個別では、電気自動車のテスラ(TSLA)は、サウジアラビアの政府系ファンドが同社株を約20億ドル取得している事が明らかとなったが、更にイーロン・マスクCEOが1株420ドルによる株式非公開化を検討していることを明らかにして大幅上昇となった。事務用品小売のオフィスデポ(ODP)は、決算内容が予想を上振れ大幅上昇した。
一方で、食品メーカーのディーン・フーズ(DF)は、通期見通しを引き下げ大幅下落。高級ホテルのマリオット・インターナショナル(MAR)は、決算内容が嫌気され軟調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,628.91+126.73
S&P500種
2,858.45+8.05
ナスダック
7,883.664+23.986
米10年債利回り(%)
2.9767 +0.039
米2年債利回り(%)
2.6738 +0.025
NY金(ドル/トロイオンス)
1,218.30+0.60
NY原油(ドル/バレル)
69.12-0.05
円・ドル
111.38 – 111.39+0.03
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は反発し、この日の高値圏で終えた。
9月物は前日比135円高の2万2675円で取引を終え、大阪取引所の終値を45円上回った。円安に加え、中国株高や米企業の好業績などを手がかりに米株式相場が上昇し、買われた。
この日の9月物の高値は2万2680円、安値は2万2515円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
22675 ( +45 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
22685 ( +55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7718.48(+54.70)
FTSE100種総合株価指数は米欧の貿易摩擦をめぐる懸念の後退を背景に3日続伸した。前日6日の終値に比べ54.70ポイント高の7718.48で引けた。
この日のFT指数はジリ高。7600台後半で寄りつくと、午前9時すぎに7700台に乗せ、7752.08まで上昇した。構成銘柄の約7割が上昇した。
アジア株高の流れを引き継いで欧州株は軒並み上昇した。朝方から資源株が買われ、指数をけん引した。
個別銘柄では、資産運用のスタンダード・ライフ・アバディーンが4%強上げ、上昇率の首位となった。上期決算は減益となったものの、早期の自社株買い計画の発表が好感され買われた。なかでも主力の鉱業株が午後に上げ幅を広げ、資源商社のグレンコアは3.9%高、アングロ・アメリカンも3.5%高と、大幅に上昇した。
半面、品質試験サービスのインターテック・グループは午後にかけて売りが膨らみ、9.8%安と大幅下落。決算内容が市場の予想に届かなったことに加え、アナリストが同社の業績の伸びがやや減速していると指摘したことが嫌気された。同様に決算が市場予測を下回った金融サービスのハーグリーブス・ランズダウンも安くなった。インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは3.0%安下げも目立った。アナリストが米国での今後の稼働率上昇に慎重な見方を示したことなどで売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12648.19(+49.98)
ドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日6日と比べて49.98ポイント高の12648.19だった。
中国・上海市場で株式相場が大幅上昇し、欧州市場にも買い安心感が広がった。
ドイツポストが大幅高で引けた。ドイツ銀行や自動車株が買われた。前日大幅下落した工業用ガスのリンデは買い戻された。
一方、コメルツ銀行や医療機器のフレゼニウスが安かった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5521.31(+44.13)
