16日の米株式相場は大幅に反落した。NYダウ工業株30種平均は前週末比2997ドル10セント(12.9%)安の2万0188ドル52セントで終えた。
トランプ米大統領が新型コロナウイルスによる米景気下押しが年後半以降も続くとの見通しを示し、取引終了にかけても幅広い銘柄に売りが膨らんだ。下げ幅は一時、3069ドルに達した。下げ幅は12日の2352ドルを上回り、過去最大だった。下落率は1987年10月19日のブラックマンデー(22.61%安)以来の大きさだった。
取引開始直後には、相場安定化を図るため、今月3回目となる「サーキットブレーカー」が発動し、取引が15分間中断した。15日には米連邦準備制度理事会(FRB)が緊急利下げと量的緩和の再開に踏み切ったが、景気悪化への懸念を和らげるには至らなかった。
トランプ氏は16日午後の記者会見で、新型コロナ感染の最悪期が「8月まで延びる可能性がある」と述べた。米景気についても「おそらく後退に向かっている」と指摘した。発言を受け、景気悪化が年後半も続くとの見方が強まり、相場は一段安となった。
ニューヨーク連銀が16日朝に発表した3月の製造業景況指数は、マイナス21.5と前月(12.9)から急低下した。09年以来の低水準で、前月からの下げ幅としては過去最大だった。景気悪化が数字にも表れてきたと受け止められた。
新型コロナの感染は米国内で急激に広がり、個人が外出を控える動きが広がっている。トランプ米大統領は、感染拡大を防止するため、10人以上の集会や外食を控えるよう国民に要請。影響が夏まで続く可能性にも言及した。ニューヨーク市内では、レストランや映画館などを閉鎖。ニュージャージー州では、夜間の外出を控えるよう呼び掛けた。国内各地で経済活動の縮小が急速に進み、景気悪化への懸念が広がった。
米連邦準備理事会(FRB)は15日夕、政策金利をゼロ近くまで下げる緊急利下げと量的緩和の再開を発表した。日曜日に急きょ発表するという異例の対応を取ったことで、景気懸念をあおった面がある。市場では「そもそも対応が遅い」との声も聞かれた。
市場心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は4割超上げ、一時83を超えた。不安心理が高まった状態とされる20を大幅に上回っており、投資家の先安懸念の強さがうかがえる。
ダウ平均を構成する全30銘柄が下落した。航空機のボーイングが2割超下落したほか、中華圏以外のすべての直営店を閉鎖すると発表したスマートフォンのアップルも13%下げた。
セクター別では消費者サービス、銀行が大幅下落。家庭・パーソナル要因や食・生活必需品小売りの下げは最小にとどまった。
ナスダック総合株価指数は前週末比970.283ポイント安の6904.592と大幅に下落した。米メディアによると1日の下落率としては過去最大だった。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やエヌビディアなど半導体株の下げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
20,188.52-2,997.10
S&P500種
2,386.13-324.89
ナスダック
6,904.592-970.283
NY金(ドル/トロイオンス)
1,486.50-30.20
NY原油(ドル/バレル)
28.69-3.04
円・ドル
105.89 – 105.90-0.70
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は大幅反落した。6月物は前週末比1710円安の1万6220円で引け、中心限月物終値ベースで16年8月3日以来、約3年7カ月ぶりの安値をつけた。16日の大取終値を620円下回った。
米連邦準備制度理事会(FRB)が週末に緊急追加利下げでゼロ金利政策に踏み切り、量的緩和を再開することを発表したものの、大規模緩和が逆に投資家の恐怖感に繋がり寄り付きで「サーキットブレーカー」となり一時取引が停止。過去2週間で3回目のサーキットブレーカー発動となった。トランプ大統領が会見で、新型コロナウイルスによる危機が7-8月頃まで継続する可能性を警告すると、下げ幅を一段と広げNYダウ工業株30種平均は過去最大の下げ幅を記録した。
この日の6月物安値は1万5860円、高値は1万8025円。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
16220 ( -620 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
16465 ( -375 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5151.08(-215.03)
16日のFTSE100種総合株価指数は前週末の上昇から一転して急反落した。前週末13日の終値に比べ215.03ポイント安の5151.08となり、終値では2011年11月下旬以来、8年4カ月ぶりの安値で引けた。
この日のFT指数は安寄り後、2011年10月以来約8年5カ月ぶりに5000の大台を割り込み、4898.79の安値を付けた。その後、同水準で横ばい推移する時間帯が続いたが、午後に入って米株価が下げ幅を縮小すると、FT指数も終盤に5100台を回復した。
構成銘柄の約8割が下落した。
新型コロナウイルスの流行拡大の懸念が収まらず、世界の主要株式市場で再び株価が急落した。欧米で相次ぐ移動制限によって経済活動の停滞は避けられないとの見方が強まり、欧州各国の株式市場でも売りが加速した。
個別銘柄では、航空株は各国の渡航制限の打撃を最も大きく受けるため急落した。英航空大手ブリティッシュ・エアウェイズなどを傘下に持つインターナショナル・エアラインズ・グループは27%安だった。格安航空会社(LCC)のイージージェットは19%超安で引けた。原油相場の急落で石油株の下落も目立った。景気動向に敏感な金融株にも売りが膨らんだ。なかでも投資関連のM&Gは25%安と大幅に下げた。
一方、ロシア鉄鋼大手エブラズは6.3%高、会計ソフト大手セージは5.3%高、品質検査会社インターテックは5.2%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 8742.25(-489.83)
16日のドイツ株式指数(DAX)はふたたび急反落した。終値は前週末と比べて489.83ポイント(5.31%)安の8742.25となり、2014年10月以来、約5年5カ月ぶりの安値(終値ベース)だった。
欧州で新型コロナウイルスの感染拡大が加速しており、ドイツなどが事実上の国境封鎖に踏み切った。16日午後には新型コロナ対策として、欧州連合(EU)の欧州委員会はEU域外から域内への不要不急な移動を制限する計画を加盟国に提示した。各国の移動制限による経済活動の停滞を警戒した売りが加速した。
個別では、VW(フォルクスワーゲン)をはじめ自動車株への売りが目立った。上昇したのはアディダスなど3銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 3881.46(-236.90)
