NYダウ265ドル安、金融引き締めを警戒

 

16日のNYダウ工業株30種平均は3日続落し、前日比265ドル66セント安の3万4033ドル67セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)が午後に発表した米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を受け、金融政策の正常化が想定以上のペースで進むとの見方が広がり、売りが優勢となった。
 
FRBはこの日まで2日間の日程で開いた金融政策会合で、市場予想通りゼロ金利と量的緩和策の維持を決めた。また、会合後に発表した参加者による政策金利予想では、利上げ時期が3月時点の2024年以降から23年に前倒しされた。
 
今回の予想では、23年末までに利上げを見込んだ参加者は18人中13人と、3月の7人から増加。22年の利上げ想定も4人から7人に増えた。市場では「ハト派的な姿勢がやや弱まった」と受け止められ、株価は下げ幅を拡大した。金利予想発表後に米長期金利が急上昇したことも株価を下押し、ダウ平均の下げ幅は一時約380ドルとなった。
 
パウエル議長は会合後の記者会見で「委員会は資産購入策について議論することを決めた」と述べ、量的緩和の縮小(テーパリング)に言及した。ただ、実施時期は「今後の経済データを確認して判断する」との慎重姿勢を強調したうえ、インフレ加速は「一時的」との見方も大きく変えなかった。このため議長会見の途中でダウ平均は下げ渋る場面もあったが、全体としては「FRBは緩和的な金融政策の縮小に向けて準備を始めた」との見方が広がり、株売りを促した。
 
景気敏感株の下げが目立ち、化学のダウ、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、航空機のボーイングが2%安。消費関連株も売りに押され、ディスカウントストアのウォルマートやドラッグストアのウォルグリーンズ・ブーツ・アライアンスが安い。
 
FOMCを受け、米債券市場で長期金利が一時1.59%と前日終値(1.49%)から上昇した。利ざや拡大の観測からJPモルガン・チェースなど金融株の一角が買われ、相場を支えた。
 
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比33.173ポイント(0.2%)安の1万4039.684で終えた。スマートフォンのアップルが上昇した一方、ソフトウエアのマイクロソフトが下げるなど主力ハイテク株はまちまちだった。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
34,033.67-265.66
S&P500種
4,223.70-22.89
ナスダック
14,039.684-33.173
NY金(ドル/トロイオンス)
1,861.40+5.00
NY原油(ドル/バレル)
71.66-0.46
円・ドル
110.65 – 110.66+0.72

 


【シカゴ日本株先物概況】

 
16日のシカゴ日経平均先物は小幅に上昇した。9月物は前日比10円高の2万9330円で引け、16日の大取終値を80円上回った。円安が買いを支えた。
連邦準備制度理事会(FRB)による連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を控えた警戒感に寄り付きから下落。結果は市場の予想通り、大規模な金融緩和が据え置かれたが、同時に発表されたスタッフ予測において、成長やインフレ見通しが引き上げられ、さらに、利上げの時期の予想が前倒しされたため早期の金融引き締め警戒感が一段と強まり、相場を一段と押し下げた。日経平均先物は米株安が進んだため上値は重かった。
 
 
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
29330 ( +80 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
29355 ( +105 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

 
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7184.95(+12.47)
16日のFTSE100種総合株価指数は5日続伸した。前日の終値に比べ12.47ポイント高の7184.95と、終値ベースで2020年2月以来、約1年4カ月ぶりの高値で引けた。構成銘柄の約7割が上昇した。
米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を前に、買いが先行。指数構成銘柄の6割超が上昇した。朝方発表された5月の英消費者物価指数(CPI)は前年同月比2.1%と高い伸びとなったが、株式市場への影響は限られた。
医薬品株が株価指数を押し上げた。石油株などには売りが出て、上値は抑えられた。16日発表の米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果を控え様子見ムードもあった。
 
個別銘柄では、ブックメーカー(賭け屋)のフラッター・エンターテインメントと精密計測器メーカーのレニショーが3.2%高と上昇が目立った。エンジニアリング会社ウィアーグループが2.8%高、自動車保険大手アドミラル・グループが2.6%高、流通・アウトソーシング会社ブンズルが2.2%高と買われた。
 
一方、衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズは売られた。資源大手グレンコアと鉱業大手アングロ・アメリカン、金融大手バークレイズが1.2%安とさえなかった。
 
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15710.57(-18.95)
16日のドイツ株式指数(DAX)は小反落した。終値は前日と比べて18.95ポイント(0.1%)安の1万5710.57だった。前日に過去最高値を更新したため、利益確定の売りが出やすかった。
 
個別では、ドイツ銀行と自動車のBMWの下げが目立った。エネルギー関連のシーメンス・エナジーは上昇した。
 
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6652.65(+13.13)
 
 

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