16日のNYダウ工業株30種平均は小幅に続伸し、前週末比26ドル76セント(0.1%)高の3万2223ドル42セントで終えた。
米連邦準備理事会(FRB)の急速な利上げによる景気悪化懸念が広がる中、ダウ平均は売りが先行して取引が始まった。米ニューヨーク連邦準備銀行が朝方発表したニューヨーク州製造業景況指数はマイナス11.6となり、前月から大幅に悪化。中国では4月の鉱工業生産と小売売上高がいずれも前年を下回り、新型コロナウイルス感染拡大による景気減速が鮮明になった。米中両国での景気後退リスクが意識された。ハイテク株や消費関連株は売られ、相場の重荷となった。
ただ、午後に入ると、下落が続いていた反動から、ヘルスケア関連銘柄などを中心に買いが優勢になり、ダウ平均はプラス圏に浮上。
中国・上海市が6月に都市封鎖を解除する方針を示したのを受け、米原油先物相場が一時、ほぼ2カ月ぶりの高値を付けた。石油のシェブロンが3%高となったほか、中国販売が多い建機のキャタピラーと工業製品・事務用品のスリーエム(3M)、化学のダウも買われた。医薬品のメルクなどディフェンシブ株も高い。
ダウ平均は午後に317ドル高まで上げ幅を拡大する場面があった。信用取引などに関連した投げ売りが前週で一巡したとの見方も、目先の戻りを期待した買いを誘った。
ただ、ダウ平均は取引終了にかけて上値が重くなり、引け間際に小幅に下げる場面もあった。ガソリン高が消費を抑えるとの懸念から消費関連株が売られ、映画・娯楽のウォルト・ディズニー、クレジットカードのアメリカン・エキスプレスが安い。金融引き締め局面では相対的な割高感が意識されやすい高PER(株価収益率)のハイテク株への売りも相場の上値を抑えた。顧客情報管理のセールスフォースやスマートフォンのアップルが下げた。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落し、前週末比142.211ポイント(1.2%)安の1万1662.791で終えた。主力株が売られ、ネット通販のアマゾン・ドット・コムやネット検索のアルファベットの下げが目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
32,223.42+26.76
S&P500種
4,008.01-15.88
ナスダック
11,662.791-142.211
FTウィルシャー5000
40,579.81-203.95
NY金(ドル/トロイオンス)
1,814.00+5.80
NY原油(ドル/バレル)
113.71-0.49
円・ドル
128.98 – 129.00-0.37
【シカゴ日本株先物概況】
16日のシカゴ日経平均先物は反落した。6月物は前週末比175円安の2万6500円で引け、16日の大取終値を20円上回った。16日の米株式市場は、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペースが従来想定されたほど急速にならないとの見方も同時に浮上し、金利が低下するとダウ平均は上昇に転じた。一方で、ナスダック総合株価指数が反落し、日経平均先物の上値を抑えた。市場には米金融引き締めへの警戒感が根強かった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
26500 ( +20 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
26515 ( +35 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7464.80(+46.65)
16日のFTSE100種総合株価指数は続伸し、前週末に比べ46.65ポイント(0.63%)高の7464.80で引けた。業績が景気動向に左右されにくい医薬品などディフェンシブ株が買われた。中国経済の減速懸念は根強い半面、上海市が6月に都市封鎖の解除に踏み切る方針を示したことから、商品需要が減退するとの警戒感が和らぎ、資源株にも買いが入った。
FTSEでは指数構成銘柄の約6割が上昇。産金大手フレスニロ(4.6%高)や資源大手グレンコア(3.4%高)など資源関連株が買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13964.38(-63.55)
16日のドイツ株価指数(DAX)は反落した。前週末に比べ63.55ポイント(0.45%)安の1万3964.38で終えた。16日発表の中国の経済指標が市場予想を下回り、同国景気の減速が欧州経済にマイナスの影響を及ぼすとの見方が出た。DAXではポルシェが3.7%安と売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6347.77(-14.91)
フランスCAC40種指数は0.23%安だった。4月の小売売上高など中国の弱い経済統計をきっかけに、同国経済の先行き懸念から軒並み下落して始まった。
