28日のNYダウ工業株30種平均は前日比258ドル20セント高の2万6036ドル10セントと反発で終えた。
英国による約5週間の議会休会が明らかとなり、合意なきEU離脱への懸念が強まったほか、米中貿易摩擦への警戒感も根強く、売りが先行した。
ダウ平均は朝方に140ドル安となる場面があった。世界経済の減速懸念や米中対立を巡る警戒感は根強い。英首相が議会を閉会する方針を示し、審議時間の不足から欧州連合(EU)からの「合意なき離脱」の可能性が高まったのも相場の重荷だった。
その後は原油相場の上昇や一部主要企業決算が好感され、堅調推移となった。
28日の原油相場が堅調に推移したことで、ダウもプラス圏に浮上し、上げ幅を拡大。米エネルギー情報局(EIA)が28日午前に発表した週間在庫週報で原油在庫が1000万バレル減と市場予想(210万バレル減)を上回る大幅な取り崩しになったことが好材料となった。エネルギー需要の増加の兆しと受け止められ、景気後退懸念が一時的に和らいだ。
ダウ平均銘柄では石油のシェブロンやエクソンモービルが上げた。
業種別S&P500種株価指数で「エネルギー」が1.4%高と上昇率首位となり、全体をけん引した。
また、米中貿易摩擦を巡る新たな悪材料が発生せず、米10年物国債と2年債の利回りが逆転する「逆イールド」の度合いもやや和らいだ。投資家心理の悪化にひとまず歯止めがかかり、直近まで下げがきつかった景気敏感株を中心に買い直された。
逆イールドによる利ざや縮小懸念が売り材料になっていたJPモルガン・チェースなど金融株が軒並み上昇した。建機のキャタピラーなど資本財株も幅広く買われた。
逆イールドの進展には歯止めがかかったが、米30年物国債利回りが一時1.90%と過去最低水準を付けるなど長期債の利回りは低下した。相対的に投資妙味が増した高利回り株に資金が向かい、通信のベライゾン・コミュニケーションズなどが買われた。
高値と安値の差である日中値幅は400ドルを超えた。9月2日のレーバーデーの祝日を控えて夏季休暇を取る市場参加者が多く、薄商いで値動きが大きくなりやすいとの指摘もあった。
セクター別では、自動車・自動車部品や耐久消費財・アパレルが上昇する一方でソフトウェア・サービスや公益事業が下落した。
ナスダック総合株価指数は、前日比29.936ポイント(0.4%)高の7856.882で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,036.10+258.20
S&P500種2,887.94+18.78
ナスダック
7,856.882+29.936
NY金(ドル/トロイオンス)
1,549.10-2.70
NY原油(ドル/バレル)
55.89+0.11
円・ドル
106.01 – 106.02+0.28
【シカゴ日本株先物概況】
日経平均先物は上昇した。
9月物は前日比100円高の2万0515円で引けた。大取終値を35円上回った。
米国株相場が堅調に推移し、日経平均先物にも買い安心感が広がった。
高値は2万0520円、安値は2万0315円だった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
20515 ( +35 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
20515 ( +35 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7114.71(+25.13)
28日のロンドン株式市場は4日ぶりに小反発し、FTSE100種総合株価指数は前日終値比25.13ポイント高の7114.71で終了した。
方向感のない動きとなったが、米国株が安く寄り付いた直後に切り返したのを眺めてプラス圏で引けた。ジョンソン英首相が欧州連合(EU)離脱の直前の10月14日に議会を開会すると発表。「合意なき離脱」の懸念が広がったが、主力の資源株が相場をけん引しているほか、外国為替市場でのポンド急落を受けて多国籍企業銘柄の一角も値上げ幅を広げた。
指数構成銘柄全体のうち、上昇は約5割にとどまった。
個別銘柄では、産金大手フレスニーヨが4.4%高と堅調。資源大手BHPビリトン2.4%高、鉱業大手アングロ・アメリカン1.6%高など他の資源株も締まった。石油大手BPは原油高を背景に2.2%高となった。
半面、不動産大手バークレー・グループ4.8%安を筆頭に、同テイラー・ウィンペイ3.6%安、同バラット・デベロップメンツ3.4%安と不動産株が軒並み下落した。
米たばこ大手フィリップ・モリスの買収交渉が伝えられる中、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ、インペリアル・ブランズのたばこ株はそろって横ばいだった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11701.02(-29.00)
ドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。終値は前日と比べて29ポイント(0.25%)安の11701.02だった。
英議会の閉会報道を受けて、英国の欧州連合(EU)離脱問題を巡る混乱が懸念され、投資家心理が悪化した。
個別銘柄では、半導体のインフィニオンテクノロジーズやIT(情報技術)のSAP、オンライン決済サービスのワイヤーカードなど景気敏感株が安かった。ドイツ取引所は続落。一方でデジタルベンチャー会社への出資を発表した消費財のヘンケルの上げが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5368.80(-18.29)
フランスの株価指数CAC40は小幅下落した。
