20日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比256ドル33セント安の3万3821ドル30セントで終えた。
新興国を中心に世界の新型コロナウイルス感染者数の増加基調が続き、世界景気の足を引っ張りかねないとの見方から景気敏感株を中心に売りが広がった。
ダウ平均は、史上最高値圏で推移している。市場では高値への警戒感が強く、利益確定売りが出やすい。景気回復期待を背景に、最近上昇していた景気変動の影響が大きい銘柄で売りが先行した。また、世界保健機関(WHO)によると、過去1週間で報告された世界の新型コロナウイルスの新規感染者数は約522万人と、過去最多となった。感染拡大への懸念も相場の重荷となった。
インドや中南米では新型コロナの感染再拡大が深刻化し、世界の感染者数は過去最多水準に達している。海外での事業比率が高い銘柄が売られ、航空機のボーイングが4%安となり、化学のダウは3%下げた。長期金利が低下し、金融のゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースも売られた。アナリストが投資判断を引き下げたスポーツ用品のナイキも大幅安となった。
米国務省が世界のコロナ感染の再拡大に対処し、より厳格な渡航勧告を週内に発表する見通しと19日夜に伝わった。19日夕に発表した1~3月期決算が5四半期連続の最終赤字となったユナイテッド航空ホールディングスが9%下げた。他の空運株やクルーズ船株にも売りが波及し、旅行・レジャー関連株は総崩れだった。
来週に1~3月期決算の発表を控えるソフトウエアのマイクロソフトやスマートフォンのアップルも持ち高調整の売りに押された。市場では「米景気回復と企業業績への期待で相場は上がりすぎていたため、利益確定の売りが出やすい」(CFRAのサム・ストーバル氏)との声が聞かれた。ダウ平均の構成銘柄以外では、エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体銘柄への売りも目立った。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比128.497ポイント安の1万3786.268で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
33,821.30-256.33
S&P500種
4,134.94-28.32
ナスダック
13,786.268-128.497
NY金(ドル/トロイオンス)
1,778.40+7.80
NY原油(ドル/バレル)
62.46-0.2120日 18:05
円・ドル
108.07 – 108.09-0.33
【シカゴ日本株先物概況】
20日のシカゴ日経平均先物は続落した。6月物は前日比715円安の2万8625円で引け、20日の大取終値を515円下回った。
米株は続落。好決算発表が続いたものの、世界的なコロナ感染拡大による景気回復の遅れが懸念されたほか、主要3指数が最高値圏にあることで高値警戒感も強まり売りが出た。
6月物は一時2万8515円まで下げた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
28625 ( -515 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
28650 ( -490 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6859.87(-140.21)
20日のFTSE100種総合株価指数は続落した。前日の終値に比べ140.21ポイント(2.0%)安の6859.87で引けた。構成銘柄の9割近くが下落した。
時価総額の大きいたばこ株が大幅安となり、午前の株価指数を押し下げた。徐々に下げ幅を広げた後、午後に米国株が下がって始まると、英国株は一段安となった。午後は石油株と鉱業株の下落も株価指数の下げに大きく影響した。
個別銘柄では、インドなどで新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は8%超下げた。米バイデン政権がたばこのニコチン含有量を中毒にならない水準に引き下げることを義務付ける方針を検討中と報じられ、関連のブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)とインペリアル・ブランズはともに7%超下落した。衣料小売りと食品事業のアソシエーテッド・ブリティッシュ・フーズは減益決算を嫌気され売られた。英銀大手スタンダード・チャータードは4.1%安、英ホテル大手インターコンチネンタルホテルズグループは4.0%安だった。
半面、アナリストが株価目標を引き上げた不動産投資信託(REIT)のセグロの上昇が目立った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15129.51(-238.88)
20日のドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて238.88ポイント(1.6%)安の1万5129.51だった。
インドなどで新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、世界景気の回復を期待した最近の上昇は行き過ぎとの見方が強まり利益確定の売りが広がった。米国株が下がって始まるとドイツ株も一段安となった。
個別では、ドイツ銀行と半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げ幅が目立った。一方、上昇したのは不動産サービスのドイチェ・ボーネンなど3銘柄だけだった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6165.11(-131.58)
