NYダウ2352ドル安、米国の財政支援策に不透明感

12日の米株式相場はトランプ米政権が打ち出した欧州からの入国禁止措置による経済的影響への懸念が広がり、大幅に続落した。
NYダウ工業株30種平均は前日比2352ドル60セント(10.0%)安の2万1200ドル62セントと2017年6月以来、約2年9カ月ぶりの安値で終えた。下げ幅は9日の2013ドルを上回り過去最大で、下落率は87年10月19日のブラックマンデー(22.61%安)以来の大きさだった。
 
取引開始直後には多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数の下落率が7%を超えたため、全ての株式売買を一時中断するサーキットブレーカーが発動した。
 
前日の世界保健機関(WHO)による新型コロナが「パンデミック(世界的流行)とみなせる」との表明に加え、米国による対欧入国禁止措置の発表などを受け、アジアや欧州では株価が急落。株と並ぶリスク資産とされる原油相場にも売りが膨らんだ。代表的な指標である米国産標準油種WTIの清算値(終値に相当)はこの日、前日比1.48ドル(4.49%)安の1バレル=31.50ドルとなった。
 
トランプ米大統領が11日夜の演説で、新型コロナ対策として13日から英国を除く欧州からの渡航を30日間禁止すると発表し、人の移動を制限する動きがさらに世界景気を押し下げるとの懸念が広がった。一方、経済政策としては「選挙対策」との批判も多い給与税減税の必要性を改めて議会に呼びかけたものの、それ以外は具体策には乏しかったと受け止められた。
 
米国での感染拡大が加速し、12日までに米プロバスケットボール協会(NBA)やナショナル・ホッケー・リーグ(NHL)がシーズンを中断すると決めた。感染増加が顕著なNY州は12日に500人以上の規模の集会を禁止し、メトロポリタン美術館(NY市)が一時閉館を決めた。
 
午後に米連邦準備理事会(FRB)が短期金融市場への資金供給の拡大と毎月購入している米国債の年限を短期国債から長期国債などへも広げる策を発表した。発表を受けてダウ平均は715ドル安まで下げ幅を縮小する場面もあった。
 
ダウ平均では構成する30銘柄が全て下げた。新型コロナの影響で航空機受注が落ち込むとの見方から航空機のボーイングが18%安と連日で急落した。世界景気の落ち込みが業績を押し下げるとの見方から化学のダウなどを筆頭に景気敏感株の下げが目立った。
 
セクター別では耐久財消費債・アパレル、エネルギーが大幅に下落、一方、医薬品バイオテク、家庭・パーソナル用品の下げは最小にとどまった。
 
ナスダック総合株価指数も急落し、同750.249ポイント安の7201.802と19年1月以来の安値で終えた。ナスダック指数と多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数はともに2月に付けた過去最高値からの下落率が「弱気相場入り」の目安とされる20%を超えた。
 
 
NYダウ工業株30種(ドル)
21,200.62-2,352.60
S&P500種
2,480.64-260.74
ナスダック
7,201.802-750.249
NY金(ドル/トロイオンス)
1,590.30-52.00
NY原油(ドル/バレル)
31.05-0.45
円・ドル
104.82 – 104.83+1.16

 


【シカゴ日本株先物概況】

12日のシカゴ日経平均先物は急落した。3月物は前日比2105円安の1万7060円で引け、12日の大取終値を1300円下回った。この日の終値は中心限月物ベースで約3年4カ月ぶりの安値をつけた。また、下げ幅はシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)で04年上場して以来、過去最高になった。

新型コロナウイルスによる景気悪化懸念が一段と強まった。11日夜にトランプ米政権が新型コロナウイルス対策として英国を除く欧州からの入国を30日間禁止すると発表した。世界景気の停滞懸念が広がり、12日の米株式市場では取引を一時停止するサーキットブレーカーが発動し、NYダウ工業株30種平均は過去最大の下げ幅を記録した。
この日の6月物安値は1万6845円、高値は1万9340円。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
16855 ( -1285 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
17155 ( -985 )
( )は大阪取引所終値比
 

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5237.48(-639.04)
12日のFTSE100種総合株価指数は6日続落した。前日の終値に比べ639.04ポイント(10.9%)安の5237.48と、2011年11月以来およそ8年4カ月ぶりの安値で引けた。1日の下落率としては1987年10月のブラックマンデー以降で最大だった。全銘柄が下落した。
 
米国が新型コロナウイルスの対策として英国を除く欧州からの外国人の入国禁止措置を発表したことを受け、経済活動の一段の縮小を警戒した売りが広がった。米国株が大幅安で始まった後、英国は下げ幅を広げた。指数を構成する全銘柄が下落。全体の6割以上が2ケタの下落率だった。ただ、不正会計問題に揺れるNMCヘルスケアは取引が停止されている。
個別銘柄では、鉱業のアングロ・アメリカンは配当権利落ちもあり18%安。最近売り込まれている旅行関連株も急落し、クルーズ船運航を全面停止する旅行大手カーニバルは18%安。ECBの金融政策を受け、金融大手バークレイズが17%安となるなど、銀行株も軒並み落ち込んだ。米入国禁止を受け、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が16%、旅行代理店トゥイが17%それぞれ下落した。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 9161.13(-1277.55)
12日のドイツ株式指数(DAX)は6日続落した。終値は前日と比べて1277.55ポイント(12.24%)安の9161.13と、2016年2月以来およそ4年1カ月ぶりの安値だった。1日の下落率としては1989年10月以降で最大だった。
米国が新型コロナウイルス対策として英国を除く欧州からの外国人の入国禁止措置を発表したことで、世界的な経済活動が一段と縮小するとの警戒感が強まった。米国株の下げに伴い、欧州各国の株式相場も一段安となった。
 
個別では、自動車のダイムラーとドイツ銀行がそれぞれ18%下げた。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4044.26(-565.99)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて12%下げて、2016年6月以来およそ3年9カ月ぶりの安値だった。
 
 

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