8月31日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落した。前週末比223ドル82セント安の2万8430ドル05セントで終えた。
ダウ平均は8月に入り2000ドル超上昇しており、月内最終売買日ということもあって、利益確定の売りが優勢だった。
ダウ平均は利益確定売りで序盤から下落。同指数はこのところ、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ目標をめぐる新方針を示したことで、事実上のゼロ金利が長期化するとの見方が広がったことや、ハイテク株への成長期待などを手掛かりに、上昇基調が続いていた。
ダウ平均は5カ月連続で上昇した。8月は7.6%上昇し、8月の上昇率としては1984年以来、36年ぶりの大きさだった。
8月に入って前週末までに1割強上昇していた映画・娯楽のウォルト・ディズニー、航空機のボーイング、工業製品・事務用品のスリーエム、化学のダウへの売りが目立った。前週末まで指数への影響度が最大だったアップルが株式分割により、影響度が低下したことも指数の下落につながったとの見方がある。
米連邦準備理事会(FRB)のクラリダ副議長が31日の講演で、前週にFRBが発表した新指針では「低失業率だけでは政策変更の理由にはならない」との見解を示した。ゼロ金利政策の長期化観測が強まり、米長期金利が低下した。利ざや悪化懸念も金融のJPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスの重荷となった。
中国政府によるハイテクなどの技術輸出の規制強化を受け、中国企業の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国事業の売却交渉の不透明感が意識された。買収交渉を進めていたソフトウエアのマイクロソフトと小売りのウォルマートが売られたのもダウ平均を押し下げた。
一方、31日から株式分割後の株価で取引が始まったスマートフォンのアップルは3%高となり、ダウ平均を下支えした。31日からダウ平均の構成銘柄になったバイオ製薬のアムジェンと顧客情報管理(CRM)のセールスフォース・ドットコムは上昇した。一方、機械のハネウェル・インターナショナルは下落した。
セクター別ではテクノロジー・ハード・機器が上昇した一方で、銀行、エネルギーが下落。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前週末比79.82ポイント高の1万1775.46と過去最高値を更新した。米連邦航空局(FAA)からドローン(小型無人機)による国内配送サービスの許可を得たと発表したアマゾン・ドット・コムが上場来高値を付けた。この日から株式分割後の株価で取引が始まった電気自動車(EV)のテスラは13%高で終えた。半導体株の一角への買いも目立った。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,430.05-223.82
S&P500種
3,500.31-7.70
ナスダック
11,775.456+79.823
NY金(ドル/トロイオンス)
1,978.60+3.70
NY原油(ドル/バレル)
42.87+0.26
円・ドル
105.86 – 105.87+0.04
【シカゴ日本株先物概況】
31日のシカゴ日経平均先物は反発した。9月物は前週末比165円高の2万3100円で引け、31日の大取終値を60円下回った。
NYダウはTikTokの米国事業売却に中国政府の許可が必要となるよう規則が変更されたとの報道を受けて、米中対立懸念が強まり寄り付きから下落した。
一方、安倍首相の辞任表明を巡り、菅義偉官房長官の出馬検討などを受け買い安心感が広がった。円安も買いを支え、9月物は前夜の夜間取引で一時2万3370円まで上げた。
この日の9月物安値は2万2950円。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
23100 ( -60 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
23105 ( -55 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
サマーバンクホリデーのため、休場
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4947.22(-55.72)
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12945.38(-87.82)
