NYダウ221ドル安、世界経済減速への懸念

29日のNYダウ工業株30種平均は、前日比221ドル36セント安の2万5126ドル41セントと続落した。2月11日以来ほぼ3カ月半ぶりの安値で終えた。
 
29日付の共産党機関紙・人民日報は、中国は世界最大のレアアース生産国だと説明した上で「米国の電子製品や軍事装備などは(製造に欠かせない原料として)中国のレアアースに深く依存している」との論説を掲載。制裁関税強化で譲歩を迫る米国に対し、レアアースの輸出制限で報復する構えを示唆した。エスカレートする米中対立への懸念から、ダウは一時410ドル近く下落した。心理的な節目の2万5000ドルを取引時間中としてはほぼ3カ月半ぶりに割り込む場面があった。
 
米中対立が激化するとの警戒感を誘い、スポーツ用品のナイキや工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など中国への依存度が相対的に高い銘柄を中心に売りが広がった。
 
米債券市場で相対的に安全資産とされる米国債に買いが膨らんだ。長期金利の指標とされる10年物の米国債利回りは一時2.21%と2017年9月以来の水準に低下(価格は上昇)した。10年債の利回りが3カ月物の米財務省証券(TB)利回りを下回る長短金利の逆転(逆イールド)が鮮明で、景気の先行き不透明感が増したのも投資家心理の悪化につながった。
 
米原油先物市場では、景気減速で需要が細るとの懸念から7月物が期近物として一時約2カ月半ぶりの安値を付けた。業績が悪化するとの見方からシェブロンやエクソンモービルといった石油株への売りも目立った。
 
S&P500種株価指数は3月8日以来の安値で終えた。全11業種が下落した。
 
セクター別では、半導体・半導体製造装置や保険が上昇する一方で、耐久消費財・アパレルや医薬品・バイオテクノロジーが下落した。
 
ナスダック総合株価指数は、60.041ポイント安の7547.310と3月8日以来ほぼ2カ月半ぶりの安値で終えた。アマゾン・ドット・コムやネットフリックス、グーグルの持ち株会社アルファベット、フェイスブックなど主力株が軒並み売られた。
 
NYダウ工業株30種(ドル)
25,126.41-221.36
S&P500種
2,783.02-19.37
ナスダック
7,547.310-60.041
NY金(ドル/トロイオンス)
1,286.30+3.80   
NY原油(ドル/バレル)
59.06-0.08
円・ドル
109.54 – 109.55+0.34

 


【シカゴ日本株先物概況】

シカゴ日経平均先物は続落した。
6月物は前日比140円安の2万0875円で終え、大阪取引所の終値を75円下回った。米中貿易摩擦の激化見通しから米株とともに売られた。
中国メディア報道などを受け中国がレアアース(希土類)の対米輸出規制に動くとの観測が強まった。米中貿易摩擦の長期化により世界景気が低迷するとの警戒感が続いている。
6月物の安値は2万0720円、高値は2万1060円だった。
 
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
20875 ( -75 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
20880 ( -70 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7185.30(-83.65)
FTSE100種総合株価指数はリスク回避の高まりを受けて全面安の展開となり、続落した。前日の終値に比べ83.65ポイント安の7185.30で引けた。構成銘柄の9割近くが下落した。
 
米中貿易摩擦の激化が世界景気の減速につながるとの警戒感から、投資家がリスク資産を圧縮する動きで欧州市場の株価は下落した。英国株も朝方から資源株を中心に売りが優勢だった。時価総額の大きい大型株への売りが目立った。一時下げ幅は100ポイントを超える局面があった。
銅と原油相場の下落を受けて鉱業株と石油株が売られた。たばこ株や医薬品株、銀行株にも売りが膨らんだ。
 
個別銘柄では、ソフトウエア開発のマイクロフォーカスやファッションのバーバリー・グループなど米中摩擦に影響の受けやすい銘柄が下がった。英オンライン食品販売オカド・グループと建機レンタルのアシュテッド・グループは各3.1%安。英医療機器・精密部品大手スミスグループは3.0%安だった。
 
半面、水道のセバーン・トレントなど景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄の公益事業株は上昇した。リスク回避の買いで金相場が上昇したことで関連のフレスニージョも買われた。携帯電話サービスのボーダフォン・グループも高かった。
 
 
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11837.81(-189.24)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に続落した。終値は前日と比べて189.24ポイント安の11837.81だった。終値ベースで4月2日以来ほぼ2カ月ぶりの安値水準だった。
米中貿易摩擦の激化による世界景気の減速を警戒した売りが広がったほか、イタリア財政問題も引き続き指数の重荷になった。全銘柄が下落した。
 
個別では、オンライン決済サービスのワイヤーカードが大幅下落した。鉄鋼のティッセン・クルップも安かった。
 
 
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5222.12(-90.57)
 
 

 

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