11日のNYダウ工業株30種平均は続伸した。前日比220ドル30セント高の3万5484ドル97セントで終え、連日で過去最高値を更新した。
11日朝発表の米労働省が発表した7月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比5.4%上昇、食品とエネルギーを除いたコアは同4.3%上昇と、前月に続き記録的な伸びとなったが、ほぼ市場予想の範囲内にとどまった。また、コアの伸びは5カ月ぶりに減速した。
CPIは新型コロナウイルス禍からの景気回復に伴うインフレ加速が「一時的」だとする米連邦準備制度理事会(FRB)や市場の見方に沿う内容。FRBがゼロ金利解除を急ぐことはないとの安心感が、株価を押し上げた。
10日には超党派で1兆ドルのインフラ投資法案が議会上院で可決された。道路や電力網、高速インターネット設備への投資が進むと受け止められ、10日に続き資本財や素材株が買われた。建機のキャタピラーは4%高。化学のダウも2%高だった。2度の墜落事故を起こした主力小型機「737MAX」について、中国で試験飛行を実施したと伝わった航空機のボーイングも高い。
「投資家は成長株から割安株に資金を移し始めている」という。ゴールドマン・サックスなど金融株も高い。ホーム・デポなど小売株も堅調だった。
経済活動正常化で恩恵を受ける資本財や金融などの景気敏感銘柄が前日に続き上昇。半面、コロナ禍で高まった「巣ごもり」需要を背景に買われてきたIT株は総じて軟調に推移した。
ナスダック総合株価指数は小幅に続落した。前日比22.952ポイント安の1万4765.135で終えた。主力ハイテク株はまちまち。スマートフォンのアップルは小幅高。ネット通販のアマゾン・ドット・コムや交流サイトのフェイスブックは下げた。バイオ製薬のモデルナとビデオ会議のズーム・ビデオ・コミュニケーションズの下げも目立った。
S&P500種株価指数は続伸した。前日比10.95ポイント高の4447.70で終えた。ダウ平均と同様に連日で過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,484.97+220.30
S&P500種
4,447.70+10.95
ナスダック
14,765.135-22.952
NY金(ドル/トロイオンス)
1,753.30+21.60
NY原油(ドル/バレル)
69.34+0.09
円・ドル
110.42 – 110.43
【シカゴ日本株先物概況】
11日のシカゴ日経平均先物は続伸した。
9月物は前日比265円高の2万8230円で引け、11日の大取終値を160円上回った。
11日発表の7月消費者物価指数(CPI)の伸びが一段落しインフレ高進への脅威が後退。金融引き締めを急ぐ必要性が示されなかったため、寄り付き後、上昇した。インフラ投資が回復を強めるとの期待も根強く、ダウは終日堅調に推移した。
米連邦準備理事会(FRB)が量的金融緩和の縮小(テーパリング)を早めるとの見方が薄れ買われた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28230 ( +160 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28245 ( +175 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7220.14(+59.10)
11日のFTSE100種総合株価指数は4日続伸した。前日の終値に比べ59.10ポイント高の7220.14と終値ベースで2020年2月以来、1年半ぶりの高値で引けた。
米消費者物価の発表を受けてインフレ懸念が後退し、買いが優勢となった。指数構成銘柄の8割以上が上昇した。好決算や企業買収の発表が買いを支えた。業種別では鉱業株と石油株の上昇が目立った。
個別銘柄では、蒸気システムのスパイラックス・サーコ・エンジニアリングは、2021年1~6月期の営業利益が大幅増となり4%超上昇した。保険のアドミラル・グループも、21年1~6月期の大幅増益と特別配当を発表し4%近く上げた。セキュリティー対策ソフト大手のアバストも買われた。米国の同業ノートンライフロックが10日、アバストの買収で合意したと発表したことが材料となった。
一方、英保険大手のフェニックス・グループ・ホールディングスは、21年1~6月期の営業利益が市場予想を下回り売られた。料理宅配のジャスト・イート・テイクアウェー・ドットコムは4%下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15826.09(+55.38)
11日のドイツ株式指数(DAX)は続伸した。終値は前日と比べて55.38ポイント高の1万5826.09と、終値ベースで過去最高値を更新した。
午後に発表された7月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、米国で早期の金融引き締め観測が後退したため欧州各国の株式相場は上げ幅を広げた。
個別では、ミュンヘン再保険は、アナリストによる株価目標引き上げなどが好感され買われた。産業機器のシーメンスも上昇した。半導体のインフィニオンテクノロジーズは売られた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6857.99(+37.78)
