9日のNYダウ工業株30種平均は3日続落した。前週末比2013ドル76セント安の2万3851ドル02セントで終えた。下げ幅は過去最大で、2019年1月上旬以来の安値。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に加え、原油先物相場の急落で米エネルギー企業の業績悪化懸念が広がった。リスク回避姿勢が強まり、ほぼ全面安となった。
ダウ平均の下落幅はこれまで過去最大だった2月27日の1190ドル95セントを大きく上回った。2月12日に付けた過去最高値からの下落率は19.3%に達し、高値から20%以上下落する「弱気相場」入りが目前となった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は、終息の兆しがみえず、100カ国・地域に拡大した。米国でも感染者数が急増。先週末には、経済の中心地ニューヨーク州が緊急事態を宣言した。サプライチェーン(部品供給網)の混乱や旅行需要の減少などによる経済活動への影響で、景気後退への懸念が高まっている。
前週末に石油輸出国機構(OPEC)がロシアなど非加盟国と減産拡大で合意できず、サウジアラビアが増産と価格引き下げに転じた。米原油先物相場は一時3割強下落した。米経済で比重が大きいエネルギー企業の資金繰りが悪化し、景気を下押しするとの懸念が強まった。
エクソンモービルやシェブロンなど石油大手が売られ、シェール企業の株価は暴落した。原油安で財政が悪化する産油国が、穴埋めのために株式などの資産売却に動くとの見方も広がった。
9日は米長期金利が一時0.31%と過去最低を更新し、貸し出し利ざや悪化懸念から銀行株の下げがきつかった。JPモルガン・チェースは14%安、バンク・オブ・アメリカは15%安となった。
市場心理を測る指標となる米株の変動性指数(VIX)は一時、前週末より5割近く高い62.12まで上昇した。終値は54.46。不安心理が高まった状態とされる20を大きく上回って推移した。
セクター別ではエネルギーや銀行の下落が引き続き目立った一方で、食品・生活必需品小売りの下げは限定的となった。
S&P500種株価指数は午前に一時7%安となり、取引を一時停止する「サーキットブレーカー」が発動される場面もあった。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前週末比624.942ポイント(7.3%)安の7950.676で終えた。S&P500種も3日続落し、7.6%安の2746.56で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
23,851.02-2,013.76
S&P500種
2,746.56-225.81
ナスダック
7,950.676-624.942
NY金(ドル/トロイオンス)
1,675.70+3.30
NY原油(ドル/バレル)
30.24-0.89
円・ドル
102.14 – 102.15-0.08
【シカゴ日本株先物概況】
9日のシカゴ日経平均先物は急落した。
米国を含めて世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が報告され経済活動が停滞する中、原油価格が急落し、金融市場の新たなリスクになるとの不安が広がった。
9日のNYダウ工業株30種指数は過去最大の下げ幅を記録した。サウジアラビアが増産に転じたことで原油相場も急落した。
3月物は前週末比1555円安の1万8875円で引け、中心限月物終値ベースで17年4月24日以来、約3年ぶりに1万9000円を割り込んだ。下げ幅は18年2月5日以来、約2年1カ月ぶりの大きさ。9日の大取終値を535円下回った。
この日の3月物安値は1万8505円、高値は2万0110円。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5965.77(-496.78)
9日のFTSE100種総合株価指数は3日続落し大幅安となった。前週末の終値に比べ496.78ポイント安の5965.77と、終値で2016年6月中旬以来、約3年9カ月ぶりの安値で引けた。構成銘柄の全銘柄が下落した。指数構成銘柄のほぼ全てが下落。主力の石油株が下げを主導した。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気の下振れリスクや原油相場の急落で、投資家がリスク回避の動きを一段と強めた。原油安を受けて石油株に売りが集中した。
個別銘柄では、石油大手ロイヤル・ダッチ・シェルのA株(17.6%安)、B株(18.2%安)がともに急落。同BPも19.5%安で下落率トップとなった。金融大手スタンダード・チャータード(12.2%安)、同ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS、10.4%安)、同バークレイズ(9.8%安)など銀行株も総崩れだった。米株市場のクルーズ船株の急落が波及し、クルーズのカーニバルは15%超下げた。
半面、安全資産とされる金塊の底堅い動きを背景に、産金・産銀会社ポリメタル・インターナショナルだけがプラス(0.6%高)を確保した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 10625.02(-916.85)
9日のドイツ株式指数(DAX)は大幅続落した。終値は前週末と比べて916.85ポイント安の10625.02と、終値で2019年1月上旬以来、約1年2カ月ぶりの安値だった。
新型コロナウイルスの感染者が欧州にも広がっていることや、原油相場の急落で投資家がリスクを回避する動きを強め、売りが加速した。構成銘柄の全銘柄が下落した。
個別では、ドイツ長期金利の低下を背景に利ざやが縮小するとの見方からドイツ銀行が大幅に下げた。ダイムラーをはじめ自動車株の売りも目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 4707.91(-431.20)
フランスの株価指数CAC40は8%前後、下落した。
