4日のNYダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反落し、前日比200ドル91セント安の2万6627ドル48セントで終えた。下げ幅は7月11日以来ほぼ3カ月ぶりの大きさだった。
堅調な米経済指標を受けて3日に急上昇した米長期金利は4日も高止まり。4日朝発表の週間新規失業保険申請件数と製造業受注がともに好調な景気動向を示す内容だったこともあり、10年債利回りは一時3.2%台まで上昇した。
米長期金利が急上昇し、割高感が強い銘柄の多いハイテク株を中心に売りが広がった。ダウ平均の下げ幅は356ドルまで広がる場面があった。
金利上昇で株価の割高感が強まるとの見方からアップルやマイクロソフトなどハイテク株が軒並み下落した。金利上昇が住宅販売の逆風になるとの見方からホームセンターのホーム・デポも大幅に下げた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が3日夕の講演で、政策金利を最終的に景気を抑制する水準まで上げる可能性があると指摘。さらに「景気を冷やしも過熱もさせない中立的な水準に達するまで、まだ道のりは長い」と話したと伝わった。
従来と比べて利上げに積極的なタカ派だったと受け止められた。前日から労働市場の過熱を示唆する経済指標が続き金利上昇が加速、米株式相場の重荷になった。
市場では「5日に9月の米雇用統計の発表を控えるほか、(コロンバスデーで債券市場などが休場となる)週明けは市場参加者が限られると予想され、早めに目先の利益を確定する目的の売りが出やすかった」との見方もあった。
一方、金利上昇で預貸利ざやが改善するとの期待から銀行株が買われ相場を下支えした。月内に発表が始まる米企業の18年7~9月期決算は引き続き大幅な増益が予想されている。相場の安値圏では見直し買いが入ったとの指摘も聞かれ、やや持ち直して終えた。
ナスダック総合株価指数は反落し、前日比145.575ポイント安の7879.510と、8月23日以来ほぼ1カ月半ぶりの安値で終えた。アルファベット(グーグル)やフェイスブック、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックスなど主力株が軒並み売られた。
セクター別では、銀行や電気通信サービスが上昇する一方で耐久消費財・アパレルやメディアが下落した。
個別では、携帯端末のアップル(AAPL)とネット小売のアマゾン(AMZN)は、ハードウェアに組み込まれたチップから中国によるスパイ活動を受けていたとの一部報道を否定したものの軟調推移。家具小売のピア・ワン・インポーツ(PIR)は、決算内容が嫌気され売られた。
一方で、書店のバーンズ・アンド・ノーブル(BKS)は、身売り検討が報じられ20%超の大幅上昇。アルコール飲料のコンステレーション・ブランズ(STZ)は、決算内容が好感されたほか、カナダの大麻業者への約40億ドルの投資にも自信を示し堅調推移となった。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,627.48-200.91
S&P500種
2,901.61-23.90
ナスダック
7,879.510-145.575
米10年債利回り(%)
3.187 +0.026
米2年債利回り(%)
2.8721 +0.012
NY金(ドル/トロイオンス)
1,201.60-1.30
NY原油(ドル/バレル)
74.68+0.35
円・ドル
113.90 – 113.91-0.39
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は大幅に反落した。
12月物は前日比525円安の2万3755円で終え、大阪取引所の終値を165円下回った。
米長期金利が約7年ぶりの高水準に上昇し、投資家心理が悪化した。円相場の反発も売り材料視された。市場は5日に発表される9月の米雇用統計に注目している。
12月物の安値は2万3615円、高値は2万4290円だった。
シカゴ日経225先物12月限 (円建て)
23755 ( -165 )
シカゴ日経225先物12月限 (ドル建て)
23790 ( -130 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7418.34(-91.94)
FTSE100種総合株価指数は、世界的な株安に連れ安となり、株価は反落した。前日3日の終値に比べ91.94ポイント安の7418.34で引けた。構成銘柄の約8割が下落した。日中を通して徐々に下げ幅が広がった。
欧米の国債利回りが上昇したことから、債券と比べた株式の割高感が意識され売りが広がった。たばこ株と医薬品株の値下がりが株価指数の下落に大きく寄与した。時価総額の大きい日用品のレキットベンキーザーと食品・日用品のユニリーバの大幅安も指数の押し下げ要因となった。
個別銘柄では、たばこのブリティッシュ・アメリカン・タバコは配当権利落ちで下げ幅が大きくなった。医薬品のシャイアーの値下がりも目立った。ファッションのバーバリー・グループは5%超下落した。中国の景気減速が懸念され、仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなど欧州の高級ブランド株が売られた。ネット専業スーパーのオカド・グループは7.8%安下がった。
半面、金利の上昇で恩恵を受けるとみられる銀行株は買われた。バークレイズの値上がりが目立った。保険株も堅調だった。英再保険大手リーガル・アンド・ゼネラルは1.2%高、英保険会社ダイレクト・ライン・インシュランス・グループは1.1%高、英金融大手バークレイズは1.0%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12244.14(-43.44)
ドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前営業日の2日と比べて43.44ポイント安の12244.14だった。午後に上昇に転じる場面もあったが、その後に米国株の下げ幅が広がると、DAX指数も再び下落した。構成銘柄の6割超が下がった。
個別では、アナリストが投資判断を引き下げたタイヤのコンチネンタルの値下がりが大きくなった。電力のRWEと素材メーカーのコベストロの下げも目立った。
一方で、金利の上昇で恩恵を受けるとみられる金融株が買われた。ミュンヘン再保険とドイツ銀行の値上がりが目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5410.85(-80.55)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて1%以上、下がった。
