23日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比227ドル59セント(0.7%)高の3万4043ドル49セントで終えた。
バイデン米政権が富裕層を対象に、株式などの売却益にかかるキャピタルゲイン課税を引き上げるとの22日の報道をきっかけに売りが先行した。売り一巡後は増税が相場に与える影響は限定的との見方から、前日に大きく下げたハイテク株中心に買いが広がった。
IHSマークイットがこの日発表した4月の米製造業購買担当者景況指数(PMI)速報値は60.6と、2007年の調査開始以降の最高を記録。3月の新築住宅販売件数は前月比20.7%増と、市場予想(ロイター通信調べ)の12.0%増を大きく上回った。こうした堅調な指標を眺めて、ダウ平均はほぼ終日堅調に推移した。
前日はバイデン米政権が議会に対し、富裕層の株式取引益増税を提案する見通しと報じられ、これが弱材料となった。だが、この日は押し下げ要因とはならず、ダウ平均は取引終盤には前週末に更新した史上最高値を目指す展開となった。
市場では冷静な見解が目立った。高所得者層へのキャピタルゲイン課税の税率引き上げの「ベースシナリオは28%」(UBS)。当初報じられたほどの引き上げ幅にはならないとの見方が広がった。また、増税の対象となる投資家が保有する株式が市場全体に占める比率は相対的に小さく、影響は限られるとの見方もあった。取引終了にかけハイテク株への買いの勢いが強まり、ダウ平均の上げ幅は300ドルを超える場面があった。
前日に下げたソフトウエアのマイクロソフトとスマートフォンのアップルが上昇した。顧客情報管理のセールスフォースも買われた。ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株も高い。ダウ平均構成銘柄以外では、SNS(交流サイト)のフェイスブックやインターネット通販のアマゾン・ドット・コムが買われた。
一方、22日夕に発表した2021年4~6月期の1株利益見通しが市場予想を下回った半導体大手のインテルは5%安。クレジットカードのアメリカン・エキスプレスも売られた。
ナスダック総合株価指数も反発し、前日比198.395ポイント高の1万4016.808で終えた。エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイス、アプライドマテリアルズなど半導体関連株が総じて上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,043.49+227.59
S&P500種
4,180.17+45.19
ナスダック
14,016.808+198.395
NY金(ドル/トロイオンス)
1,777.80-4.20
NY原油(ドル/バレル)
62.04+0.61
円・ドル
107.88 – 107.90-0.02
【シカゴ日本株先物概況】
23日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比300円高の2万9215円で引け、23日の大取終値を245円上回った。
前日に続きバイデン政権のキャピタルゲイン増税が回復を妨げるとの懸念に寄り付き後、下落。しかし、4月PMIや3月新築住宅販売件数が予想を上回ったため強い回復への期待が再燃し、上昇に転じた。潜在的な増税も、対象者数が非常に少数であることや詳細が不明で、実施もまだ先になるとの見方も支援し、引けにかけて上げ幅を拡大した。
バイデン政権の増税策への警戒感が一服し、シカゴ日経平均先物は米株とともに買われた。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
29215 ( +245 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
29225 ( +255 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
23日のFTSE100種総合株価指数は小幅に3日続伸した。前日の終値に比べ0.32ポイント高の6938.56で引けた。上昇と下落の銘柄数はほぼ拮抗した。
週末序盤のFT指数はジリ安。午後に入り、予想比強めの米経済指標を好感して米株価が上昇すると、英国株は小幅高で引けた。
銅価格の上昇を背景に鉱業株が買われ、株価指数を押し上げる一方で、医薬品株と石油株の下落が指数の上値を抑えた。
個別では、ブックメーカー(賭け屋)のフラッター・エンターテインメントの上げが目立った。ロシア鉄鋼大手エブラズが各2.6%高だった。
一方、英流通大手セインズベリーは2.6%安、英生活用品大手レキット・ベンキーザーは2.2%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
23日のドイツ株式指数(DAX)は3日ぶりに反落した。終値は前日と比べて40.90ポイント(0.3%)安の1万5279.62だった。
バイデン米政権が富裕層を対象にキャピタルゲイン課税の税率を引き上げる方針との報道で、投資家心理が冷え込んだ。インドなど一部アジア諸国で新型コロナウイルスの感染が拡大していることも売りにつながった。午後に米国株が上昇に転じると、ドイツ株の下げ幅は縮まった。
個別では、不動産サービスのドイチェ・ボーネンの下げが目立った。自動車のダイムラーは、2021年1~3月期決算で増益となったことから午前は買われたが、午後に売りに転じた。第1四半期に増収となったタイヤのコンチネンタルは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40(仏)6,257.94 -9.34
