NYダウ192ドル安、早期の金融緩和縮小や地政学的リスクを警戒
26日のNYダウ工業株30種平均は5営業日ぶりに反落し、前日比192ドル38セント安の3万5213ドル12セントで終えた。
朝方は高く始まったが、ダウ平均は、アフガンの首都カブールで起きた爆発や、FRB高官のタカ派発言が売り材料となり、マイナス圏に沈んだ。前日までの4営業日続伸を受けて利食い売りも出やすく、終盤にかけてジリジリと下げ幅を広げた。
アフガニスタンの首都カブールの国際空港の周辺で少なくとも2回の爆発があり、米兵を含めて60人超が死亡したと伝わった。バイデン政権は自爆攻撃の可能性があるとみており、投資家心理の重荷となった。
27日の国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に、持ち高調整の売りも出た。カンザスシティー連銀のジョージ総裁は26日、米CNBCテレビで「遅かれ早かれテーパリング(量的緩和の縮小)について協議する準備ができている」と話した。セントルイス連銀のブラード総裁も同日、「現時点で資産購入は必要ない」と発言するなど、テーパリングの前倒し懸念がやや高まった。
航空機のボーイングや建機のキャタピラーなど景気敏感株を中心に売りが優勢だった。米国での新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、スポーツ用品のナイキや映画・娯楽のウォルト・ディズニー、小売りのウォルマートなど消費関連株も下げた。
朝方はダウ平均が上昇する場面もあった。25日夕に市場予想を上回る四半期決算を発表した顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムが買われ、指数を支えた。
朝方発表された4~6月期の米国内総生産(GDP)改定値は前期比6.6%増と、速報値から小幅に上方修正された。また、新規失業保険申請件数は5週ぶりに悪化し、市場予想を小幅に上回った。ただ、いずれも株価にはあまり響かなかった。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比96.052ポイント安の1万4945.807で終えた。交流サイトのフェイスブックや電気自動車のテスラが下げた。アナリストが投資判断を引き上げたビデオ会議システムのズーム・ビデオ・コミュニケーションズは上昇した。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,213.12-192.38
S&P500種
4,470.00-26.19
ナスダック
14,945.807-96.052
NY金(ドル/トロイオンス)
1,795.20+4.20
NY原油(ドル/バレル)
67.87+0.45
円・ドル
110.05 – 110.06-0.112
【シカゴ日本株先物概況】
26日のシカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比150円安の2万7650円で引け、26日の大取終値を40円下回った。
NYダウは。企業の好決算を期待し、寄り付き後、上昇した。しかし、連邦準備制度理事会(FRB)の経済シンポジウムでのパウエル議長の演説を控え、数人の地区連銀総裁が新型コロナウイルスのデルタ株感染拡大にもかかわらず、年内の緩和縮小開始を支持したため、警戒感から下落に転じた。その後、アフガニスタン空港付近での同時多発テロを嫌気し引けにかけて下げ幅を拡大した。
アフガニスタン情勢の緊迫を受け米株とともにシカゴ日経平均先物は売られた。同国の首都カブールの国際空港周辺で26日に爆発が起き、投資家心理を冷やした。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
27650 ( -40 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
27655 ( -35 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7124.98(-25.14)
26日のFTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ25.14ポイント安の7124.98で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。
27日に国際経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)が開催される。同会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を控え、持ち高調整の売りが優勢だった。世界的な新型コロナウイルスの感染拡大に関連したリスクも売り材料となった。鉱業株の下落が株価指数の下げに影響した。
個別銘柄では、ロシアの金銀生産大手のポリメタル・インターナショナルと投資会社のメルローズ・インダストリーズはともに3%超下げた。
一方、建設資材のCRHは3.9%高、2021年1~6月期の良好な業績と中間配当の引き上げを発表し買われた。民放大手ITVが1.6%高、オンライン食品販売オカド・グループが0.9%高と堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15793.62(-67.04)
26日のドイツ株式指数(DAX)は続落した。終値は前日と比べて67.04ポイント(0.4%)安の1万5793.62だった。
新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、26日に発表された9月の独GfK消費者信頼感指数が低下し、売りが先行した。
個別では、2021年1~6月期決算を発表した料理宅配大手のデリバリーヒーローの下げが目立った。ドイツ銀行も売られた。素材メーカーのコベストロは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6666.03(-10.45)
