28日のNYダウ工業株30種平均は6営業日ぶりに反発した。前日比187ドル05セント高の2万8722ドル85セントで終えた。
前日に453ドル安と大きく下げた反動で、自律反発狙いの買いが入った。
中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は100人を超え、患者数は4600人を突破。中国本土以外でも患者は17カ国・地域の60人以上に拡大した。ただ、訪中した世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長が「中国が取る措置を断固支持する」と述べたことなどを受け、この日の市場では警戒感が幾分緩和した。前日に急落していた反動もあり、朝方から買い戻しの動きが優勢となった。
インテルなど前日に大きく下げた半導体株が買われた。米長期金利の低下が一服し、JPモルガン・チェースなど金融株の上げも目立った。「今年1~6月期のスマートフォンの出荷台数を前年同期に比べて1割強増やす」と伝わったアップルの上昇もダウ平均を押し上げた。
米国が中国本土への渡航の警戒レベルを引き上げたり、香港が中国旅行者の受け入れを停止したりと、新型肺炎の感染拡大を防ぐ取り組みが続いている。死者数は増えており懸念は残るが、景気への影響を警戒する株売りは28日のところはひとまず弱まった。
工業製品・事務用品のスリーエムが5%を超える下げとなり、ダウ平均を押し下げた。2019年10~12月期決算で1株利益が市場予想に届かなかった。製薬のファイザーも大幅安。
セクター別では食品・飲料・タバコを除いて全面高となり、特に半導体・半導体製造装置やテクノロジー・ハード・機器の上昇が目立った。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比130.371ポイント高の9269.681で終えた。ソフトウエアのマイクロソフトやSNS(交流サイト)のフェイスブックなどが買われた。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,722.85+187.05
S&P500種
3,276.24+32.61
ナスダック
9,269.681+130.371
NY金(ドル/トロイオンス)
1,569.80-7.60
NY原油(ドル/バレル)
53.98+0.8428日 16:59
円・ドル
109.14 – 109.15+0.07
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は4営業日ぶりに反発した。
新型肺炎の感染拡大を懸念するリスク回避の売りが一服した。28日の中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席の発言や香港の中国旅行者の受け入れ停止などを手掛かりに、感染拡大への懸念がやや薄れた。引け後に予定される携帯端末のアップル(AAPL)や半導体のアドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)の好決算への期待が広がり、NYダウは終日堅調推移となった。
3月物は前日比310円高の2万3340円で引け、28日の大取終値を180円上回った。この日の3月物高値は2万3355円、安値は2万2990円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
23340 ( +180 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
23360 ( +200 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7480.69(+68.64)
28日のFTSE100種総合株価指数は反発した。前日の終値に比べ68.64ポイント高の7480.69で引けた。構成銘柄の9割が上昇した。
新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大は歯止めがかかっていないが、ひとまず売りが一巡して一服感が広がった。米国株の寄り付きの上昇を眺めて一段高になった。
時価総額の大きい医薬品株、銀行株、石油株には割安感を意識した買いが集まった。売りに押されていた鉱業株や航空など旅行関連株も軒並み買い戻された。
個別銘柄では、ホテル大手インターコンチネンタルホテルズグループが3.1%高と堅調。資源大手グレンコア2.8%高、産銅大手アントファガスタ2.6%高など前日売られた。
半面、複数のアナリストが目標株価などを引き下げた酒類の酒造大手ディアジオが1.4%安と軟調。旅行代理店トゥイも0.6%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13323.69(+118.92)
28日のドイツ株式指数(DAX)は大幅反発した。終値は前日と比べて118.92ポイント高の13323.69だった。
前日に急落したことを受け、幅広い銘柄で値ごろ感に着目した買いが入った。
個別では、タイヤのコンチネンタルが高かった。一方、2019年12月期決算が減益となったIT(情報技術)のSAPが安かった。半導体のインフィニオンテクノロジーズも下落した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5925.82(+62.80)
欧州の主要株式市場も総じて大幅に上昇した。
