NYダウ184ドル安、金利高を警戒

29日のNYダウ工業株30種平均は続落した。前週末比184ドル41セント(0.6%)安の3万2098ドル99セントと、約1カ月ぶりの安値で終えた。

 
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は前週末、米西部ワイオミング州ジャクソンホールで開かれたシンポジウムで、高インフレの抑制に最優先で取り組む姿勢を強調し、金融引き締めを「しばらくの間」継続する必要があるとの見解を示した。さらに、米経済に「いくらかの痛み」がある可能性に触れ、景気後退もやむを得ないとの考えを示唆した。米景気の一段の悪化を懸念した売りが続いた。
 
米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での講演で、パウエル議長はインフレ抑制について「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べた。経済全体の需要を抑えて物価を下げるために「潜在成長率を下回る成長を続ける必要がある」とも主張。景気の下支えよりも物価抑制に重点を置く姿勢を明確に示した。金融引き締めが市場の想定よりも長期化するとの懸念から、前週末にダウ平均は1008ドル安と大幅に下落した。週明け29日も売りが続き、ダウ平均の下げ幅は一時は300ドルを超えた。
 
売り一巡後は下げ渋り、ダウ平均は小幅に上昇する場面もあった。29日は米原油先物相場が大幅に上昇し、石油株が買われたのも相場を下支えした。今週は9月2日に8月の米雇用統計が発表される。FRBは今後の利上げペースは経済データ次第としており、内容を見極めたい雰囲気も強かった。「夏季休暇を取る市場関係者が多く、薄商いで値動きが大きくなりやすい」との声も聞かれた。
 
工業製品・事務用品のスリーエム(3M)や化学のダウなど景気敏感株の下げが目立った。米長期金利が29日未明に一時3.13%と6月下旬以来の高水準を付けた。金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいハイテク株も売られた。顧客情報管理のセールスフォースが3%安、スマートフォンのアップルとソフトウエアのマイクロソフトも安い。半面、石油のシェブロンは買われた。
 
ナスダック総合株価指数も続落した。前週末比124.041ポイント(1.0%)安の1万2017.669と、約1カ月ぶりの安値で終えた。電気自動車のテスラと半導体のエヌビディアが下げた。
 

 


【シカゴ日本株先物概況】

29日のシカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前週末比185円安の2万8035円で引け、29日の大取終値を125円上回った。
米利上げの長期化による景気悪化を警戒する売りが続いた。米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で26日にパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長が講演し、インフレ抑制のための利上げ継続姿勢を示した。

シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28035 ( +125 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28035 ( +125 )
( )は大阪取引所終値比

【欧州株式市場】

■イギリス・ロンドン株価指数

英国はサマー・バンクホリデーのため休場。

■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12892.99(-78.48)

29日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前週末比78.48ポイント(0.60%)安の1万2892.99で終えた。欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)がインフレ抑制のため、大幅な利上げを続け、世界景気が冷え込むとの見方から売りが出た。DAXではバイエルが4.9%安と下落率トップ。プーマ(2.6%安)やアディダス(2.2%安)も売られた。ポルシェ(3.7%高)など自動車関連株は堅調だった。

■フランス・パリ株価指数
CAC40 6222.28(-51.98)

フランスCACは0.83%安だった。米欧での積極的な利上げ観測を嫌気し、売りが先行した。

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