9日のNYダウ工業株30種平均は5日続伸し、前日比182ドル33セント高の2万4542ドル54セントで終えた。
寄付きはもみ合う展開となったものの、米国によるイラン核合意の離脱及び、同国への経済制裁の再開を受けて原油相場が上昇し、エネルギーセクターが選好された
米指標油種WTIの期近6月物は一時1バレル71ドル台前半と期近物として約3年5カ月ぶりの高値を更新。石油企業の業績が改善するとの見方が強まった。
また、米長期金利の10年物国債利回りが、3%台に上昇した。貸出金利と預金などの調達金利との差に当たる利ざやが拡大するとの見方から、ゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融株に買いが広がった。ダウ平均の上げ幅は一時220ドルを超えた。
ナスダック総合株価指数は4日続伸し、前日比73.003ポイント高の7339.905と3月21日以来ほぼ1カ月半ぶりの高値で終了した。
前日夕に取締役の一部刷新を発表したフェイスブックや、アルファベット(グーグル)、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなどの主力株が軒並み上昇し、指数を押し上げた。
セクター別では、エネルギーや銀行が上昇する一方で電気通信サービスや公益事業が下落した。
個別では、前日夕に発表した四半期決算が市場予想を上回ったうえに強気な見通しを示した旅行予約サイトのトリップアドバイザーが急伸した。
タイヤ販売でアマゾン・ドット・コムと提携すると発表した百貨店のシアーズ・ホールディングスが上昇。10日夕に決算発表を控える画像処理半導体(GPU)のエヌビディアは上場来高値を更新した。
一方、旅行口コミサイトのトリップアドバイザー(TRIP)は、決算内容が予想を上振れ大幅上昇。クーポン共同購入サイトのグルーポン(GRPN)は、通期見通しを上方修正し買われた。
前日夕に発表した決算で主力のメディア部門の苦戦が嫌気された映画・娯楽大手ウォルト・ディズニーが下げた。
VIX指数は13.42と低下(前営業日14.71)。イラン核合意からの米離脱でリスク回避は強まりやすく、株価動向は不安定だった。
しかし、中東の地政学リスクの高まりが、原油の供給を停滞させるとの見方が台頭。原油高がエネルギー株を支援した。米株はマイナス圏へ沈む場面を挟みながらも、大幅高へ転じる底堅い推移。
VIX指数は一時13.38と、3日ぶりの水準へ低下した。
NYダウ工業株30種(ドル)
24,542.54+182.33
S&P500種
2,697.79+25.87
ナスダック
7,339.905+73.003
米10年債利回り(%)
3.0061 +0.038
米2年債利回り(%)
2.5341 +0.021
NY金(ドル/トロイオンス)
1,313.00-0.70 9日 終値
NY原油(ドル/バレル)
71.23+0.09
円・ドル
109.73 – 109.74+0.02
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は小反落した。
6月物は前日比15円安の2万2485円で終えた。大阪取引所の終値を65円上回った。円相場の下落やNY株式相場の上昇が支えになったものの、手掛かりに乏しく値幅は限られた。
この日の高値は2万2495円、安値は2万2360円だった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
22485 ( +65 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
22500 ( +80 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7662.52(+96.77)
FTSE100種総合株価指数は大幅反発した。前日8日の終値に比べ96.77ポイント高の7662.52で引けた。構成銘柄の約8割が上昇した。米国株の上昇に伴い、午後に上げ幅が広がった。
米国のイラン核合意からの離脱発表を受け、対イラン制裁の再開で供給不足が懸念される原油が、大幅上昇。これを受けて時価総額の大きい石油株が買われ、株価指数の上げに大きく貢献した。決算発表が続くなか、その結果も明暗を分けた。
個別では、ロイヤル・ダッチ・シェルとBPはともにアナリストによる株価目標の引き上げも買い材料となり、午後にはそれぞれ一段高となった。
たばこ株の上げも株価指数を押し上げた。なかでもインペリアル・ブランズは上期の売上高と営業利益がともに市場予想を上回ったことが好感され6%超上昇した。BHPビリトンなど鉱業株と、バークレイズなど銀行株も上がった。
半面、ファッションのバーバリー・グループは6%下落した。富豪の株主が保有株全株を売却していることが明らかとなり嫌気された。食品サービスのコンパス・グループは、上期営業利益が市場予想を下回ったことなどから4%超下がった。
武田薬品工業による買収に合意した医薬品のシャイアーは、前日の大幅高の反動で下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12943.06(+30.85)
ドイツ株式指数(DAX)は反発した。終値は前日8日と比べて30.85ポイント高の12943.06だった。午後にはやや伸び悩んだ。構成銘柄の6割が上昇した。
個別では、重電のシーメンスは4%近く上がった。通期利益見通しを引き上げたことが好感された。コメルツ銀行と素材メーカーのコベストロの上げも目立った。
一方で、ドイツテレコムは売られた。英携帯電話サービスのボーダフォン・グループが米メディア大手から欧州の一部事業を買収することで合意し、これがドイツテレコムの業績に悪影響を及ぼすおそれがあるとの見方が広がった。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5534.63(+12.70)
