27日のNYダウ工業株30種平均は続伸し、前日比160ドル35セント高の2万8492ドル27セントと約半年ぶりの高値で終えた。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長はカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウムで講演し、インフレ率が目標の2%を一時的に上回ることを許容する新たな政策方針を明らかにした。FRBがハト派姿勢を明確にしたことが好感され、ダウ平均は買いが優勢となった。
ダウ平均は取引時間中に昨年末終値(2万8538ドル44セント)を上回る場面があった。コロナ禍で2月下旬に急落して以降では初めて。
市場では「利上げは向こう数年間はなく、米株式に一段の上昇余地が見込まれた」との声があった。
インフレ期待の高まりで米長期金利が上昇し、JPモルガン・チェースなど金融株が買われた。低金利が景気回復を後押しするとの見方から、航空機のボーイングなど資本財株も上昇した。映画・娯楽大手のウォルト・ディズニーなどのレジャー株、ウォルマートなど小売株も上げた。
米国でコロナ感染者数が減少傾向にあることや、治療法やワクチン開発の進展も投資家心理を支えた。薬品・医療機器のアボット・ラボラトリーズは27日、短時間かつ低コストで抗体検査ができるキットの使用許可を米食品医薬品局(FDA)から得たと発表した。手軽に検査できるようになれば、日常生活の正常化に近づくとの期待につながった。
セクター別では食・生活必需品小売りや銀行が上昇した一方で、メディア娯楽が売られた。
ナスダック総合株価指数は6営業日ぶりに反落し、前日比39.72ポイント安の1万1625.34で終えた。景気敏感株に資金が移り、上昇基調が続いたハイテク株は利益確定売りに押された。スマートフォンのアップルやSNS(交流サイト)のフェイスブックなど主力ハイテク株の一角が下げた。
NYダウ工業株30種(ドル)
28,492.27+160.35
S&P500種
3,484.55+5.82
ナスダック
11,625.337-39.723
NY金(ドル/トロイオンス)
1,932.60-19.90
NY原油(ドル/バレル)
42.98-0.06
円・ドル
106.52 – 106.54+0.52
【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は続落した。9月物は前日比65円安の2万3215円で引けた。大阪取引所の終値を5円上回った。
NYダウは、パウエルFRB議長の講演ではインフレ目標変更で物価2%超も容認する新指針が発表され、長期にわたる低金利維持の思惑がさらに強まり、大きく上昇して寄り付いた。
ウイルス検査の拡大期待が強まり、引けにかけて再び上昇幅を拡大する展開となった。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
23215 ( +5 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
23225 ( +15 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 5999.99(-45.61)
27日のFTSE100種総合株価指数は反落した。前日の終値に比べ45.61ポイント安の5999.99で引けた。終値が6000を下回るのは7月下旬以来、約1カ月ぶりとなる。資源・素材株や医薬品株、銀行株など時価総額の大きい銘柄が売られ、下げを主導した。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の発言などを手掛かりに乱高下したが、引けにかけて下げ足を速めた。構成銘柄の約8割が下落した。
個別銘柄では、航空機エンジンのロールス・ロイスは資産売却の発表が嫌気され、午前は一時9%安と大幅に下落していたが結局1%安で引けた。アナリストが目標株価を引き下げた住宅サービス会社のホームサーブの下落が目立った。
半面、広告のWPPグループは大幅上昇した。配当の再開発表が買い手掛かりなった。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループなど旅行関連株も買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 13096.36(-93.79)
27日のドイツ株式指数(DAX)は反落した。終値は前日と比べて93.79ポイント安の1万3096.36だった。
前日に大幅高となった反動で売りが優勢だった。料理宅配大手のデリバリーヒーローが安かった。オンライン食品会社との買収で合意したと伝わったが、事業拡大に懐疑的な売りが強かった。
個別では、半導体のインフィニオンテクノロジーズは利益確定の売りで下落した。自動車株の一部が上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5015.97(-32.46)
