28日のNYダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反落した。前週末比150ドル57セント安の3万4283ドル27セントで終えた。ダウ平均は5月につけた過去最高値に迫っており、足元で上昇が目立っていた景気敏感株に利益確定売りが膨らんだ。一方、米長期金利は低下し、ハイテク株など高PER(株価収益率)銘柄には買いが入り、指数を下支えした。
この日は主要経済指標などの新規の手掛かりに乏しい中、原油安を眺めてエネルギー株が軟調となったほか、前週末に買われた金融株に売りが広がった。また、次世代機「777X」投入の遅れをめぐる懸念が浮上した航空機のボーイングが前週末比3%超下落し、ダウの重しとなった。
米個人消費の回復期待を背景に株価の強含みが続いていたクレジットカードのアメリカン・エキスプレスやビザも下げた。前週末に好決算を材料に急騰したスポーツ用品のナイキが反落。米原油先物相場の下落を受け、石油のシェブロンも3%下げた。
前週のダウは計1000ドル超の上げを演じており、利益確定の売りも出たもようだ。
一方、長期金利低下も支援要因となる中、ハイテク株は堅調な展開を維持。ナスダック総合指数は2営業日ぶりに取引時間中と終値の史上最高値を塗り替えた。終値ベースでは1%高。市場では「マクロ要因の新規材料が限られる中、エネルギー株を売ってハイテク株を買うような動きが出た」との指摘が聞かれた。
顧客情報管理のセールスフォース・ドットコムやソフトウエアのマイクロソフト、スマートフォンのアップルが上げた。
業種別では、エネルギーが売り込まれたほか、金融、資本財なども軟調だった一方、IT、通信、公益は堅調だった。
ナスダック総合株価指数は反発した。前週末比140.120ポイント(1.0%)高の1万4500.508と、過去最高値を更新した。半導体のエヌビディアが上場来高値を更新した。マイクロン・テクノロジーやアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)など半導体関連株は総じて買われた。米連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴していた件で、米首都ワシントンの連邦地裁が訴えを退けたと伝わり、SNS(交流サイト)のフェイスブックは4%高となった。時価総額は初めて1兆ドルを突破した。
S&P500種株価指数は3日続伸し、前週末比9.91ポイント(0.2%)高の4290.61で終えた。前週末に続き過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
34,283.27-150.57
S&P500種
4,290.61+9.91
ナスダック
14,500.508+140.120
NY金(ドル/トロイオンス)
1,780.70+2.90
NY原油(ドル/バレル)
72.70-0.21
円・ドル
110.59 – 110.61-0.05
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前週末比95円安の2万8915円で引け、28日の大取終値を35円下回った。
28日のNYダウ工業株30種平均が反落した。シカゴ日経平均先物に売りが波及した。航空機メーカー、ボーイングの下げが重しとなったほか、欧州やアジアで新型コロナの変異ウイルス感染が拡大し、渡航規制が強化されたことなどが嫌気されダウは下げた、一方、米長期金利が低下しナスダック総合株価指数が過去最高値を更新し、下げ渋る場面もあった。市場関係者は7月2日発表の6月の米雇用統計に注目している。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28915 ( -35 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28945 ( -5 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7072.97(-63.10)
28日のFTSE100種総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前週末の終値に比べ63.10ポイント(0.9%)安の7072.97で引けた。構成銘柄の約7割が下落した。午後に米国株が下がって始まると英国も一段安となった。石油株と銀行株の下落が株価指数の下げに大きく影響した。新型コロナウイルスの感染が再拡大していることを受け、経済の先行きへの懸念が強まった。
個別銘柄では、ファッションのバーバリー・グループは8%超下落した。同社が最高経営責任者(CEO)は2021年末で退任すると発表したことが売り材料となった。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)も6%近く下げた。
一方、アストラゼネカが2.0%高など医薬品株は買われた。セキュリティソフト大手アバスト・ソフトウエアが1.9%高、オンライン食品販売オカド・グループが1.7%高と堅調だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15554.18(-53.79)
28日のドイツ株式指数(DAX)は3営業日ぶりに反落した。終値は前週末と比べて53.79ポイント(0.3%)安の1万5554.18だった。終日方向感の定まらない展開だった。
個別では、自動車のダイムラーは、アナリストが投資判断と株価目標をともに引き下げたことが嫌気され売られた。ハイデルベルクセメントの下げも目立った。料理宅配大手のデリバリーヒーローは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6558.02(-64.85)
