12日のNYダウ工業株30種平均は小幅に3日続伸した。前日比14ドル88セント高の3万5499ドル85セントで終え、連日で過去最高値を更新した。
夏場以降に出遅れていたハイテク株に見直し買いが入り、ダウ平均を支えた。ただ、新型コロナウイルスの感染拡大で経済活動の正常化が遅れるとの懸念がくすぶり、景気敏感株には売りが出た。
朝方発表された最新週の新規失業保険申請件数は前週比1万2000件減少の37万5000件と、3週連続で改善し、雇用情勢回復の期待感が広がった。一方、7月の卸売物価指数(PPI)は前月比1.0%上昇と、市場予想(ロイター通信調べ)の0.6%上昇を上回る内容。インフレ懸念が強まり、相場の圧迫要因となった。
ダウは序盤に取引時間中の史上最高値を更新した後は利益確定の売りに押され、取引の大半で軟調に推移。ハイテク、ヘルスケア株主導でじりじりと値を戻し、終盤にプラス圏に浮上した。ナスダック総合指数は3日ぶりに上伸して終了した。
スマートフォンのアップルや顧客情報管理のセールスフォース・ドットコム、ソフトウエアのマイクロソフトが上昇。3銘柄でダウ平均を約80ドル押し上げた。7月以降、米株市場では成長株から景気敏感など割安株に資金を移す動きが強まり、主力ハイテク株は出遅れ気味だった。12日はこうした取引をひとまず巻き戻す動きが出たようだ。
米債券市場で長期金利が前日比0.02%高い1.37%に上昇する場面があり、利ざや改善期待からJPモルガン・チェースなど金融株も上げて終えた。
ダウ平均は一時132ドル安となるなど前日終値を下回する場面が多かった。米国では新型コロナの1日あたりの感染者数(7日平均)が11万人台に上昇し、今後数週間は上昇基調が続くとみられている。空運大手のサウスウエスト航空は11日の米証券取引委員会(SEC)への届出で8月に入って予約が減り、解約も増えていると指摘した。
旅行・レジャー関連の消費が鈍る可能性が意識され、クルーズ船株や空運株の下げが目立った。ダウ平均の構成銘柄ではクレジットカードのビザやアメリカン・エキスプレスが下げた。
バイデン政権のインフラ投資計画の前進を好感して今週に入って上昇が目立っていた建機のキャタピラーや化学のダウなど、資本財や素材株にも利益確定売りが出た。半導体のインテルも安い。DRAMの需給サイクルがピークを過ぎたとしてアナリストが投資判断を引き下げたマイクロン・テクノロジーが大幅安となり、連れ安した。
ナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発し、前日比51.127ポイント高の1万4186.262で終えた。アップルなどに加え、電気自動車のテスラや交流サイトのフェイスブックも上げた。
S&P500種株価指数は3日続伸し、前日比13.13ポイント高の4460.83で終え、連日で過去最高値を更新した。
NYダウ工業株30種(ドル)
35,499.85+14.88
S&P500種
4,460.83+13.13
ナスダック
14,816.262+51.127
NY金(ドル/トロイオンス)
1,751.80-1.50
NY原油(ドル/バレル)
68.88-0.21
円・ドル
110.39 – 110.44+0.02
【シカゴ日本株先物概況】
12日のシカゴ日経平均先物は反落した。9月物は前日比175円安の2万8055円で引け、12日の大取終値を35円上回った。朝安で始まった。12日のNYダウ工業株30種平均が反落して始まり、日経平均先物にも売りが先行した。
12日朝発表の7月生産者物価(PPI)の伸びが予想を上回り、インフレ高進への脅威が再燃し、寄り付き後、下落。その後、週次新規失業保険申請件数が3週連続で減少したことを好感した買いも目立ち、下げ幅を縮小した。日経平均先物は米株の上昇につれて下げ幅を縮めた。
シカゴ日経225先物9月限 (円建て)
28055 ( +35 )
シカゴ日経225先物9月限 (ドル建て)
28080 ( +60 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7193.23(-26.91)
12日のFTSE100種総合株価指数は5営業日ぶりに反落した。前日の終値に比べ26.91ポイント安の7193.23で引けた。午後に下げ幅をやや広げた。構成銘柄の約6割が下落した。鉱業株と石油株の下落が株価指数を押し下げた。
個別銘柄では、ロシアの鉄鋼大手エブラズは7%超の下げと目立った。鉱業のリオ・ティントは、配当権利落ちで5%超下落した。
一方、総合保険のアビバは、株主還元計画を発表し3%超上げた。計測機器大手スミス・グループが2.3%高、資産運用会社ハーグリーブズ・ランズダウンが2.1%高と堅調だった
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 15937.51(+111.42)
12日のドイツ株式指数(DAX)は3日続伸した。終値は前日と比べて111.42ポイント高の1万5937.51と、終値ベースで連日の過去最高値の更新となった。午後に上げ幅を広げた。
個別では、ドイツテレコムは、2021年4~6月期の利益が市場予想を上回り、21年12月期通期の業績見通しも上方修正したことから買われた。同社はオランダ子会社の売却に向け積極的な交渉を進めていることも明らかにした。医薬・化学大手の独メルクも上昇した。料理宅配大手のデリバリーヒーローは7%超下げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 6882.47(+24.48)
