9日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比138ドル97セント安の2万5828ドル36セントと3月28日以来の安値で終えた。
米中両政府はこの日から2日間、ワシントンで閣僚級貿易協議を開く。米政権は中国製品への追加関税を、10日午前0時過ぎに10%から25%に引き上げると正式通知。中国も報復措置を取る構えを見せている。貿易摩擦激化への懸念と協議決裂への警戒感から、株価は大幅安で寄り付き、ダウは一時450ドル近く下落した。
航空機のボーイングや建機のキャタピラー、工業製品・事務用品のスリーエム(3M)など中国での売上高が大きい銘柄に売りが膨らんだ。貿易摩擦の影響を受けやすいアップルや投資判断と目標株価が引き下げられたインテルなど半導体関連のハイテク株の下げも目立った。
ただ、トランプ米大統領がこの日、中国の習近平国家主席から「素晴らしい書簡」を受け取ったと記者団に表明。大統領は週内に中国と合意に至る可能性が依然あるとの見方を示した。これを好感し、株価は午後に入り大きく値を戻した。ダウ平均は82ドル安まで下げ幅を縮小する場面があった。
ナスダック総合株価指数は4日続落し、同32.732ポイント安の7910.587と4月9日以来の安値で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,828.36-138.97
S&P500種
2,870.72-8.70
ナスダック
7,910.587-32.732
NY金(ドル/トロイオンス)
1,285.20+3.80
NY原油(ドル/バレル)
61.60-0.52
円・ドル
109.71 – 109.72+0.09
【シカゴ日本株先物概況】
シカゴ日経平均先物は4日続落した。
6月物は前日比200円安の2万1325円で終え、大阪取引所の終値を55円下回った。
9~10日に開く米中貿易協議の先行き警戒感が根強く米株安や円高が進んだのを受け売りが出た。
トランプ米大統領は9日、2000億ドル(約22兆円)分の中国製品への制裁関税を10日に引き上げると改めて表明した。一方の中国も報復関税を検討しており、合意が遠のくとの懸念が売りを誘った。
ただ、トランプ米大統領が中国の習近平国家主席から協力姿勢を示す書簡を受け取ったと明かし、投資家心理が改善する場面もあった。
シカゴ日経225先物6月限 (円建て)
21325 ( -55 )
シカゴ日経225先物6月限 (ドル建て)
21340 ( -40 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 7207.41(-63.59)
FTSE100種総合株価指数は大幅下落した。前日の終値に比べ63.59ポイント安の7207.41で引けた。終値では3月下旬以来、約1カ月ぶりの安値水準となった。
米中貿易協議に不透明感が広がり、投資家のリスク回避姿勢が強まった。株価は終日安値圏で推移。昼頃には下げ渋る場面もあったが、米国株の寄り付きの急落を眺めて下げ幅を拡大した。指数構成銘柄全体の約7割が下落。幅広い銘柄に売りが入った。
中国経済の影響を受けやすい銀行株と鉱業株がそれぞれ全面安となり、相場の下落を主導した。
個別銘柄では、配当の権利落ちとなったセントリカは下げ幅を広げ、10%安で引けた。メディアのITVも売りがかさんだ。四半期の広告収入が予想以上に減少したことで複数のアナリストが一斉に目標株価を引き下げたことが響いた。情報・出版のインフォーマは4.6%安と売られた。
半面、住宅建設のバラット・ディベロップメンツの上げが目立った。通年利益の見通しに前向きな姿勢を示し、アナリストが目標株価を引き上げたことが買い手がかりになった。四半期決算の内容を好感した買いで保険のRSAインシュアランス・グループは上げた。たばこ株にも買いが入った。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11973.92(-206.01)
ドイツ株式指数(DAX)は大幅に反落した。終値は前日と比べて206.01ポイント安の11973.92と4月以来、約1カ月ぶりの安値水準で引けた。
米中貿易摩擦の激化懸念で世界的に株安傾向となり、投資家心理が悪化した。輸出銘柄を中心に幅広い銘柄に売りが広がり、構成銘柄の約8割が下落した。
個別では、タイヤのコンチネンタルが大幅安となったほか、自動車株への売りが目立った。保険のアリアンツや半導体のインフィニオンテクノロジーズも安かった。
一方、アナリストが目標株価を引き上げた不動産のボノビアが上げた。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5313.16(-104.43)
フランスの株価指数CAC40は前日に比べ2%近く下落した。
