2日のNYダウ工業株30種平均は8営業日ぶりに大きく反発した。前週末比1293ドル96セント高の2万6703ドル32セントで終えた。上げ幅は2018年12月26日(1086ドル)を上回り過去最大だった。
新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に歯止めがかからない中、先週の金融市場は大きく動揺。ダウの1週間の下げ幅は3583ドルと過去最大、下落率は12.4%と2008年の世界金融危機以来の大きさとなった。
こうした中、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は先週末、緊急声明を発表し、追加利下げの可能性を示唆。日銀の黒田東彦総裁も2日、「潤沢な資金供給と金融市場の安定確保に努めていく」との談話を発表したほか、欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁も適切な措置を講じる用意があると表明した。
主要中銀が協調して金融緩和に踏み切り、新型コロナウイルスによる景気減速を和らげるとの期待が強まった。大型のハイテク株を中心に幅広い銘柄に買いが優勢となった。
ダウ平均は日中に伸び悩む場面があったが、取引終了にかけては再び上げ幅を広げ、この日の高値圏で終えた。債券市場で米国債への売りが強まり、長期金利の低下に一服感が出た。投資家のリスク回避姿勢を背景に続いていた米国債への買いに一巡感が出たことも、株買いを誘ったとの指摘があった。
アナリストが投資判断を引き上げたアップルが9%上昇。ソフトウエアのマイクロソフトやSNS(交流サイト)のフェイスブックなど大型ハイテク株が軒並み買われた。新型コロナの影響による米消費者の日用品の買い占めが、短期的に収益を押し上げるとの期待からウォルマートなど小売関連も上げた。医療保険のユナイテッドヘルス・グループも7%上げ、ダウ平均を123ドルあまり押し上げた。
ダウ平均は構成する全30銘柄が上昇し、業種別S&P500種株価指数の全11種が上げた。投資家心理を測る指標である変動性指数(VIX)は前週末比で18%安の32台に下げた。不安心理が高まった状態の20は上回っている。
セクター別では、食品・生活必需品小売の上昇が目立った。テクノロジー、電気通信サービス、公益事業がそれに続いた。一方、運輸、資本財関連の伸びは低調にとどまった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、同384.797ポイント(4.5%)高の8952.165で終えた。
NYダウ工業株30種(ドル)
26,703.32+1,293.96
S&P500種
3,090.23+136.01
ナスダック
8,952.165+384.797
NY金(ドル/トロイオンス)
1,566.70-75.80
NY原油(ドル/バレル)
47.52+2.76
円・ドル
108.33 – 108.34-0.11
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は3営業日ぶりに反発した。
3月物は前週末比410円高の2万1425円で引け、2日の大取終値を255円上回った。
新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえ、日本や欧米など各国の中央銀行が景気下支えのため協調金融緩和に動くとの観測が広がり、買われた。
協調金融緩和への思惑を受け、2日のNYダウ工業株30種平均は8日ぶりに反発し過去最大の上げ幅を記録した。米株の上昇につれ日経平均先物も買われた。
3月物は一時2万1590円と2日の大取の日中高値まで上げた。この日の3月物安値は2万0505円だった。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21425 ( +255 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21435 ( +265 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6654.89(+74.28)
2日のFTSE100種総合株価指数は米株高などを眺めて3営業日ぶりに大幅に反発した。前週末の終値に比べ74.28ポイント(1.13%)高の6654.89で引けた。構成銘柄の約6割が上昇した。一時下落に転じる場面もあったが、午後に再び買いに押された。
新型コロナウイルスの感染拡大による景気下振れを抑えるため、世界各国の中央銀行が協調金融緩和に動くとの期待が高まった。原油高による石油株の上昇に加え、医薬品株の上げが株価指数を押し上げた。
個別銘柄では、医薬品のヒクマ・ファーマシューティカルズは、アナリストによる株価目標引き上げなどが好感され6%超上げた。同業のグラクソ・スミスクラインも4%超上昇した。害虫駆除のレントキル・イニシャルは6.0%高と大幅高だった。
一方、金利変動に敏感な銀行株は下落した。アナリストが株価目標を引き下げたロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)の下げが目立った。新型コロナの感染拡大懸念で引き続き旅行関連株は売られた。航空のインターナショナル・エアラインズ・グループは、アナリストが株価目標を引き下げたため8%超下げた。クルーズ運航のカーニバルは4.2%安と航空のイージージェット3.5%安と大幅安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 11857.87(-32.48)
2日のドイツ株式指数(DAX)は8日続落した。終値は前週末と比べて32.48ポイント(0.27%)安の11857.87と、2019年8月上旬以来ほぼ7カ月ぶりの安値だった。新型コロナウイルスの感染拡大による景気への悪影響が懸念された。
個別銘柄では、下落傾向が続く航空のルフトハンザは6%超下げた。航空エンジン大手のMTUエアロ・エンジンズは、アナリストが投資判断と株価目標をともに引き下げたことが嫌気され売られた。ドイツ銀行も大幅安だった。電力のRWEと日用品のバイヤースドルフは上昇した。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5333.52(+23.62)
