27日のNYダウ工業株30種平均は6日続落した。前日比1190ドル95セント(4.4%)安の2万5766ドル64セントで終え、2019年8月27日以来、半年ぶりに2万6000ドルを下回った。下げ幅は18年2月5日(1175ドル)を上回り過去最大だった。
12日に付けた過去最高値からの下落率は「調整局面」入りとされる10%を超えた。
中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎は世界各地に拡大。米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)の集計では50カ国・地域に広がり、死者は2800人以上に上る。米国内でもカリフォルニア州を中心に感染拡大の懸念が広がっている。27日は取引開始後にダウ平均が急落。その後、値ごろ感の出た銘柄に押し目買いの動きもみられ、下げ幅を縮小する場面もあったが限定的だった。
バンク・オブ・アメリカは27日、20年の世界の経済成長率の見通しを従来の3.1%から2.8%に下方修正した。米マイクロソフトが1~3月期のパソコン関連部門の売上高が会社予想を下回ると発表するなど、新型肺炎の影響が企業業績を下押しする可能性が高まり、投資家はリスク回避の姿勢を強めた。
投資家のリスク回避姿勢の動きは続き、相対的に安全資産とされる米国債が買われた。長期金利の指標となる米10年物国債利回りは過去最低を更新した。
投資家心理を測る指標の変動性指数(VIX)は一時、前日に比べ3割超上昇し、38近辺まで上昇した。不安心理が高まった状態とされる20を上回る水準で一段と上げた。「投資家は新型コロナを巡るヘッドラインに敏感に反応するようになっている」との見方があり、指数の値動きの激しさにつながった。
セクター別では全面安となり、特にテクノロジー・ハード・機器や不動産の下落が目立った。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比414.295ポイント安の8566.480で終えた。26日夕に20年1~3月期のパソコン関連部門の売上高が当初予想に届かないと発表したソフトウエアのマイクロソフトが売られた。SNS(交流サイト)のフェイスブックやインターネット通販のアマゾン・ドット・コムが下落した。
NYダウ工業株30種(ドル)
25,766.64-1,190.95
S&P500種
2,978.76-137.63
ナスダック
8,566.480-414.295
NY金(ドル/トロイオンス)
1,643.10-6.90
NY原油(ドル/バレル)
46.34-2.39
円・ドル
109.57 – 109.58-0.53
【シカゴ日本株先物概況】
27日のシカゴ日経平均先物は急反落した。
新型コロナウイルスの感染拡大による世界景気の悪化懸念が投資家心理を冷やした。27日のNYダウ工業株30種平均は6日続落し、過去最大の下げ幅を記録した。
米国内の新型コロナまん延への警戒感も強まっている。米疾病対策センター(CDC)は26日、米カリフォルニア州で新型コロナウイルスの感染者が確認されるなど、同ウイルスの蔓延による世界経済への影響懸念から売りが先行。投資家心理の悪化が続いているほか、原油相場の下落や米長期金利の低下も重なり、大幅下落となった。
またトランプ米大統領は26日、新型コロナへの対策強化のため責任者にペンス副大統領を指名した。
3月物は前日比980円安の2万1225円で引け、約5カ月半ぶりの安値をつけた。27日の大取終値を625円下回った。
この日の3月物安値は2万1215円。高値は2万2325円。
シカゴ日経225先物3月限 (円建て)
21225 ( -625 )
シカゴ日経225先物3月限 (ドル建て)
21230 ( -620 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
FTSE100 6796.40(-246.07)
27日のFTSE100種総合株価指数は大幅に反落した。前日の終値に比べ246.07ポイント安の6796.40と、2019年1月下旬以来およそ13カ月ぶりの安値で引けた。4銘柄を除くすべての銘柄が下落した。
新型肺炎の感染拡大を背景に、投資家のリスク回避姿勢が強まった。日経平均株価などのアジア株の大幅下落を受けて急落で寄り付き、米国株の寄り付きの下げを眺めて一段安となった。
個別銘柄では、広告のWPPグループは16%急落した。2019年10~12月期の減収に加え、20年通期の業績も前年並みにとどまるとの見通しを示したことが嫌気された。ロシアの鉄鋼大手エブラズは、19年通期の減益を発表し10%超下げた。配当権利落ちで航空のイージージェットと銀行のバークレイズもそれぞれ下げが大きくなった。
新型コロナの感染拡大を背景に最近下落傾向にあるインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG、7.9%安)、と旅行のTUI(8.2%安)は、この日も大幅安だった。19年通期の減益と最高経営責任者(CEO)の辞任を発表した住宅建設のパーシモンの下げも目立った。
半面、医薬品のヒクマ・ファーマシューティカルズは4.6%高、19年通期の業績が市場予想を上回り買われた。19年通期の好業績を発表した害虫駆除のレントキル・イニシャルも上げた。総合保険のRSAインシュアランス・グループも上昇。総合ヘルスケアのNMCヘルスは前日と同水準だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
DAX 12367.46(-407.42)
27日のドイツ株式指数(DAX)は6日続落し、終値は前日と比べて407.42ポイント安の12367.46と2019年10月上旬以来およそ4カ月半ぶりの安値だった。構成銘柄のほぼ全てが値下がりした。
新型コロナウイルスの感染拡大で世界的に景気が下押しされるとの懸念から、欧州各国の株式相場はそろって大幅に下落した。
個別では、ドイツ銀行が6%超下げた。航空のルフトハンザも6%安。半導体のインフィニオンテクノロジーズの下げも目立った。
■フランス・パリ株価指数
CAC40 5495.60(-188.95)
フランスの株価指数CAC40の終値が前日に比べて3%下落し、19年10月上旬以来およそ4カ月半ぶり安値だった。
